ポルトガルワインに広東語のアクセント マカオ実業家ウー一家の挑戦 video poster
ポルトガルの歴史あるワイナリーに、マカオ出身の実業家一家が新しい風を吹き込んでいます。一帯一路の流れのなかで生まれたこの投資は、ワイン造りと家族の夢、そしてマカオとポルトガルの長い関係を静かに映し出しています。
マカオからやってきたウー一家の物語
2013年、建設業で成功したマカオの実業家ウー・ジーウェイさんと妻のラオ・チャオペンさんは、ポルトガルを訪れ、その土地に一目ぼれしました。
ウーさんは、起業家であり慈善活動家でもあり、建設の専門家としてオフィスビルなど多くのプロジェクトに携わってきました。自身について、ラオさんによると、こう冗談を口にすることもあったといいます。
ラオさんによれば、ウーさんは「私はワインの専門家ではありませんが、建設の話ならネジ一本の名前まで言えますよ」と笑いながら話していたといいます。
このストーリーのポイント
- マカオの実業家ウー・ジーウェイさん夫妻が2013年にポルトガルでワイナリーに出会う
- 一帯一路構想とマカオ・ポルトガルの良好な関係が投資の背景にある
- 建設の専門家だったウーさんが、家族の夢としてワイン造りに挑戦
- ポルトガルワインにアジアの視点と広東語のアクセントを加える試み
500年の歴史を持つキンタ・ダ・マルメリェイラ
夫妻が心を奪われたのは、リスボンから車で約40分の場所にあるキンタ・ダ・マルメリェイラという、広大な葡萄畑の広がる屋敷でした。緑の丘陵に連なるぶどう畑と、およそ500年にわたる歴史と文化をまとったその土地を前に、ウー夫妻は購入を決意します。
現在、ラオさんは休眠期に入った12月のぶどうの木々に囲まれながら、CGTNの取材に当時を振り返り、この場所を選んだ理由を静かに語っています。
一帯一路とマカオ・ポルトガルのつながり
ラオさんは、2013年というタイミングが重要だったと話します。一帯一路構想が習近平国家主席によって打ち出された後、夫妻はポルトガルへの投資を決めました。
ラオさんは「2013年、一帯一路構想が提唱された後、私たちはポルトガルに投資するためにやって来ました。ここを選んだのは、マカオを通じた良好な関係があったからです」と説明しています。
長くポルトガルと深い歴史的な結びつきを持つマカオは、中国本土とポルトガル語圏をつなぐ窓口としても知られています。ウー夫妻の決断は、その関係性を背景にした、ごく個人的でありながら象徴的な一歩だといえるでしょう。
建設のプロが挑むワイン造り
建設分野の専門家であるウーさんにとって、ワイン造りは新しい挑戦でした。しかし、ものづくりに対する姿勢は共通しています。細かなネジの種類まで把握する現場感覚は、土壌の状態やぶどうの出来に目を配るワイン造りにも通じます。
ワインの世界に飛び込んだことで、ウー一家はポルトガルの伝統と自らのルーツであるマカオ、さらには広東語圏の文化をゆるやかにつなぎ合わせていきました。まさに、ポルトガルワインに広東語のアクセントが加わったかのようです。
家族の夢を静かに支えるぶどう畑
キンタ・ダ・マルメリェイラでの挑戦は、単なるビジネスではなく、ウー一家の家族の夢を形にする試みでもあります。500年の歴史をもつ土地に、新しい世代の物語を重ねていくことは、時間のスケールの違いを感じさせます。
12月の畑で休むぶどうの木々のように、ワイン造りには時間をかけて熟成させるプロセスがあります。ウー夫妻の投資もまた、一気に成果を求めるのではなく、ゆっくりと文化や信頼を育てていく長期的な取り組みとして続いています。
グローバル化の中の小さな物語として
世界規模での投資やインフラ計画は、しばしば巨大な数字や国家間の駆け引きとして語られがちです。一方で、ウー夫妻のように、ある土地を好きになり、家族で移動し、異なる文化と向き合いながら事業を育てる人々の物語は、ニュースの見出しになりにくい存在かもしれません。
しかし、こうした小さな物語の積み重ねこそが、国と地域の関係をゆっくりと変えていきます。ポルトガルのワイナリーで働く人々、マカオや中国本土から訪れる関係者、そしてそこから世界に届けられるワイン。その一つひとつに、ウー一家の選択と、一帯一路の時代に生きる人々の模索が映し出されています。
グローバル化のあり方が問い直される今、遠く離れたポルトガルのぶどう畑で続くこの挑戦は、私たちに次のような問いを投げかけているようです。
自分の専門や慣れ親しんだ場所を離れてでも、どんな夢なら追いかけてみたいと思うのか──。
Reference(s):
Portuguese wine with a Cantonese accent: keeping Wu family dream alive
cgtn.com








