ハバナで約70万人が対米抗議 キューバ封鎖と「テロ支援国」指定に反発
キューバの首都ハバナで、米国の対キューバ政策に反対する大規模デモが行われ、約70万人が米国大使館前を行進しました。長年続く経済封鎖と「テロ支援国」指定の見直しを求める声が、2025年のいま、改めて高まっています。
米大使館前を約70万人が行進 標的は封鎖と制裁
現地時間の金曜日、ハバナの米国大使館前の海沿いの通りに、キューバ各地から集まったとされる約70万人が集結しました。参加者たちはキューバ国旗を振りながら、「封鎖反対」と訴えるスローガンを繰り返し、ワシントンに対し、何十年も続く対キューバ経済封鎖の終了と、キューバを米国務省のいわゆるテロ支援国リストから外すよう求めました。
この行進は、米国の外交施設の前で行われた抗議としては数年ぶりの大規模なもので、長期化する制裁への不満と危機感の大きさを映し出した形です。
ディアス=カネル氏とラウル・カストロ氏が参加
行進の先頭には、ミゲル・ディアス=カネル国家指導者が立ち、前国家指導者のラウル・カストロ氏もこれに加わりました。ディアス=カネル氏は演説で、米国がキューバをテロ支援国に分類し続けていることについて「虚偽であり、不道徳だ」と強く批判しました。
さらに同氏は、米国がキューバのインフラを狙う準軍事組織を訓練していると非難し、現政権であるバイデン政権が前政権時代の厳しい経済措置を維持していると指摘しました。長年にわたる経済封鎖については「容赦ない」として、制裁が一層強化されていると訴えました。
一方でディアス=カネル氏は、キューバの人びとは米国の人びとに対して敵意を抱いているわけではないと強調しました。そのうえで、主権や社会主義体制を弱体化させようとするいかなる試みに対しても屈しない姿勢を示し、「米国がわれわれの決意を打ち砕こうとし続けるなら、彼らが見いだすのは反骨と揺るがぬ決意だけだ」と語りました。
市民の声 「封鎖は残酷で非人道的」
デモにはさまざまな背景を持つ人びとが参加しました。人びとはキューバ国旗を掲げ、「封鎖をやめろ」と声を合わせました。
その中には、ヤンキエル・カルドーソさんの姿もありました。カルドーソさんは、平和や愛、団結をうたうメッセージが書かれたTシャツを着て行進し、隣には「封鎖のない世界で育ちたい」という願いを込めたTシャツを着た息子が寄り添って歩いていました。カルドーソさんは、対キューバ封鎖は「残酷で非人道的」であり、キューバの発展を妨げていると批判しました。
医療現場からも参加 制裁の影響を証言
このデモには医療従事者や医学生も多く参加していました。コロンビア出身の医学生、シルビア・フリアナ・カサディエゴさんは、キューバの対外的な医療支援や連帯を称賛しつつ、米国の制裁を非難しました。「制約が多い中でも、キューバは常に手を差し伸べてきました。それはコロンビアだけでなく、ラテンアメリカ全体に向けてです」と語り、制裁が地域にもたらす影響を指摘しました。
キューバ人医学生のケビン・ペレスさんは、米国の政策が国内の医療体制に大きな打撃を与えていると述べました。「医療は最も影響を受けた分野の一つです。それでも私たちは祖国を守るため、常に立ち続けます」と話し、厳しい環境下でも医療現場を支え続ける決意を示しました。
人びとが訴える「2つの要求」
今回の行進で、市民や指導部が繰り返し訴えたのは主に次の2点です。
- 長年続く対キューバ経済封鎖(ブロッケード)の終了
- キューバを米国務省のテロ支援国リストから外すこと
参加者たちは、こうした措置がキューバ経済だけでなく、医療や教育など生活のあらゆる側面に影響を及ぼしていると訴えています。特に医療分野では、医薬品の調達や設備の更新が難しくなるなど、人びとの健康に直結する制約が生まれていると指摘されました。
2025年の米キューバ関係を考える視点
2025年現在も続く米キューバ関係の緊張の中で、今回のデモは、制裁の影響を日々の生活で感じる人びとの不満と、主権や体制を守ろうとする強い意思を象徴する出来事と言えます。
一方で、ディアス=カネル氏が米国の人びとへの敵意を否定した点は、政府間の対立と市民レベルの関係を切り分けようとするメッセージとしても読み取れます。制裁の在り方や、その人道的影響をどう評価するのかは、国際社会全体に投げかけられた問いでもあります。
数年ぶりとなる米国大使館前での大規模な抗議は、キューバ国内の危機感と結束を示すシグナルでもあります。今後、ワシントンがこうした声にどう応えるのか、そして国際社会が制裁と対話のバランスをどう考えるのかが、2025年の重要な論点となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








