米下院がつなぎ予算可決 政府閉鎖を土壇場で回避
米下院、政府閉鎖寸前でつなぎ予算を可決
米国の連邦政府が一部閉鎖に追い込まれる数時間前、米下院は新たなつなぎ予算(短期歳出法案)を可決し、政府閉鎖の回避に向けて一歩踏みとどまりました。法案は現行水準での政府支出を来年3月中旬まで延長し、その間に本格的な予算協議を進める狙いです。
- 下院は賛成366、反対34でつなぎ予算を可決
- 政府資金を現行水準のまま来年3月14日まで延長
- トランプ次期大統領の介入で一時混乱するも、最終的に与野党が妥協
つなぎ予算の中身とねらい
今回のつなぎ予算は、連邦政府の支出水準を現状のまま来年3月中旬まで維持する内容です。これにより、議会には本格的な歳出法案を交渉・成立させるための追加時間が与えられます。
採決では、下院議員は賛成366票、反対34票で法案を承認しました。反対票を投じたのはいずれも共和党議員で、財政や債務をめぐる路線の違いが同党内でも残っていることをうかがわせます。
トランプ次期大統領の土壇場介入
今週初め、下院は1,500ページに及ぶ超党派の歳出法案案を公表していました。この案は、政府の現行支出を3月14日まで維持することに加え、総額1,000億ドルの災害復旧支援や、農業法(ファームビル)の1年延長と1,000億ドル規模の農家支援を盛り込んだものでした。
しかし、大統領就任を控えるドナルド・トランプ氏がこの案に反対を表明します。トランプ氏は、民主党側の要求を「ほぼすべて受け入れる」ような内容だと批判し、より簡素な歳出法案と、債務上限を引き上げる条項の追加を求めました。
次期大統領のこうした介入を受け、共和党指導部は急きょ方針の練り直しを迫られます。トランプ氏の意向が、すでに議会運営にも強い影響力を持っていることが浮き彫りになりました。
「プランB」の挫折と再交渉
マイク・ジョンソン下院議長ら共和党指導部は、いわゆる「プランB」となる別案を作成しました。この案は116ページに圧縮され、政府資金を3月14日まで延長する点は維持しつつ、
- 1,000億ドルの災害支援
- 100億ドルの経済支援を含む農家支援
- 2027年1月30日までの債務上限延長
などを盛り込みつつ、当初の超党派合意に含まれていた一部の政策条項を削除したものとされます。
しかし、この改訂版は木曜日の採決で否決されました。政府の借り入れ上限を引き上げることに難色を示す保守派共和党議員が反対に回ったほか、民主党側も「土壇場での債務上限取引」に応じることを拒んだからです。
プランBの挫折を受け、共和党指導部は再び民主党指導部との交渉に乗り出しました。そして連邦政府の一部閉鎖まで残り約6時間というぎりぎりのタイミングで、新たな短期予算案に合意し、今回の可決に至りました。
繰り返される「瀬戸際政治」
米議会は本来、新会計年度が始まる10月1日までに歳出法案を成立させることが求められています。しかし、近年は与野党の対立が激しく、期限までに合意できない状況が続いています。その結果、今回のような短期のつなぎ予算で連邦政府を一時的に運営する場面が繰り返されています。
今年9月下旬にも、議会は9月30日から12月20日まで政府資金を延長する短期予算を可決していました。今回の法案は、それに続く「二度目の延長」となり、年末から来春にかけても同様の攻防が続く可能性があります。
こうした「瀬戸際」での予算交渉が常態化すると、政府機関の運営だけでなく、政策の予見可能性や信頼性にも影響しかねません。とくに、債務上限問題がその都度政治的な争点化する構図は、今後も米国政治の不安定要因として意識されそうです。
日本と世界への含意
今回のつなぎ予算可決により、直近の政府閉鎖リスクはいったん和らぎましたが、根本的な財政問題の解決には至っていません。来年3月中旬の新たな期限に向けて、再び大規模な与野党対立が起きる可能性は残されたままです。
米国の財政運営や債務上限をめぐる不透明感は、金融市場を通じて世界経済にも波及します。日本企業や投資家にとっても、米国の予算・債務をめぐる政治の動きは、為替や金利、景気見通しに影響を与えうる重要な要因です。
大統領就任前から強い影響力を示すトランプ氏と、議会共和党、そして民主党が今後どのように妥協点を探るのか。今回のつなぎ予算は、来春に向けた「序章」にすぎないと言えます。次の期限が近づく前に、より持続可能な合意を築けるかどうかが、米国だけでなく世界全体の関心事になっていきそうです。
Reference(s):
U.S. House passes stopgap funding bill aimed at averting govt shutdown
cgtn.com








