シリア新政権が全武装勢力を国家管理下に SDFや難民帰還はどうなる?
約14年に及ぶ内戦が続くシリアで、政権を握ったばかりのアフメド・アル・シャラー新指導者が、国内のあらゆる武器を国家の管理下に置く方針を打ち出しました。本記事では、このシリア情勢の国際ニュースを日本語で整理し、今後の焦点を考えます。
シリア新指導者「すべての武器を国家管理下に」
シャラー氏は、軍事攻勢によって政権を掌握してから約2週間が経過した日曜日、トルコのハカン・フィダン外相と行った共同記者会見で方針を表明しました。
シャラー氏は、国内の武器はすべて国家の管理下に置くと強調し、武装勢力が独自に武器を保有する状況を認めない姿勢を示しました。
クルド主導のSDFも対象、武装勢力は軍に編入へ
今回の方針の対象には、クルド系勢力が主導するシリア民主軍(SDF)が支配する地域も含まれるとされています。シャラー氏は、いわゆる革命派の武装勢力だけでなく、SDFの支配地域に存在する勢力も、国家管理の枠外で武器を持ち続けることはできないと述べました。
さらに、国内の武装集団は順次、自らの解散を発表し、正規のシリア軍に編入されていくと説明しています。これは、分裂した武装勢力を一つの国家組織のもとに統合しようとする動きであり、治安回復に向けた一歩と見ることもできます。
一方で、これまで自治や自衛を掲げてきた勢力にとっては、どのような条件で統合されるのかが重要な関心事となりそうです。
宗派・少数派の保護を強調「シリアはすべての人の国」
シャラー氏はまた、宗派や少数派コミュニティの安全確保にも言及し、国内の宗派間・民族間で起こりうる攻撃から人々を守ると述べました。加えて、外部の勢力が緊張や不信をあおり、宗派対立を引き起こそうとする動きからも保護する必要があると強調しました。
そのうえで、シリアはすべての人の国であり、共存が可能だと訴えています。長期にわたる内戦の中で亀裂が深まった社会をどのように立て直すのか、新体制の姿勢が注目されます。
トルコ外相は制裁解除と帰還支援を要請
会見に同席したトルコのフィダン外相は、シリアに科されている制裁をできるだけ早く解除するべきだと述べ、国際社会に協力を呼びかけました。
フィダン氏は、シリアが立ち直るために国際社会が動き出し、国内外に避難している人々が故郷に戻れるよう支援する必要があると強調しました。
約14年に及ぶ内戦の結果、シリア人口の半数以上が家を追われ、その多くが周辺国に逃れたとされています。隣国トルコにはおよそ300万人が暮らしており、受け入れ国にとっても大きな負担となってきました。
約14年続く内戦、その重い代償
シリアの内戦は、これまでに50万人以上の命を奪い、人口の半数以上を国内外での避難生活に追いやったとされています。これは単なる政治危機にとどまらず、社会全体の構造を変えてしまう規模の衝撃です。
長期の戦闘はインフラや地域経済にも深刻な影響を与えており、新しい体制が安定したとしても、復興には長い時間と大きな資源が必要になるとみられます。
これからの焦点:治安、政治参加、難民帰還
今回の発表は、2025年現在のシリア情勢にとって大きな節目になりうる一方で、多くの課題も残しています。特に重要になりそうな論点を整理します。
- 武装勢力の統合が、自発的で透明なプロセスとして進むのか、それとも圧力を伴うのか
- クルド主導勢力や各地の少数派コミュニティの権利や自治が、どのような形で保障されるのか
- 宗派や民族の違いを超えた共存に向けて、どのような政治対話や和解の仕組みをつくるのか
- 制裁の見直しや国際支援が、復興と安全な帰還につながる形で設計されるのか
武器を国家の管理下に置くという宣言は、表面的には治安回復を目指す動きに見えます。しかし、それが本当に人々の安心と共存につながるかどうかは、今後の具体的な制度設計と運用次第です。
newstomo.comでは、このシリア情勢に関する国際ニュースを引き続きウォッチし、日本語で分かりやすく伝えていきます。
Reference(s):
cgtn.com







