中国とEUは橋をかけ直せるのか──EV関税と外交50年目の試練 video poster
EV関税をめぐる対立で、中国とEUの関係が揺れています。2024年の年末、習近平国家主席の欧州訪問や、この1年で相次いだEU各国指導者の北京訪問で育まれた善意が、試練に直面している形です。
EV関税が象徴する「難しい関係」
今回の電気自動車(EV)をめぐる関税問題は、単なる通商のもめ事ではありません。世界を代表する二つの経済圏である中国とEUの間で、産業政策や競争条件をどうすり合わせるかという、構造的な課題を浮かび上がらせています。
欧州側には、自動車産業や雇用を守りたいという思いがあります。一方、中国側には、グリーン技術やEV分野での強みを正当に評価してほしい、という見方があります。双方の認識のずれが、関税というかたちで表面化していると言えます。
外交ラッシュで積み上がった「善意」
それだけに、2024年夏の習近平国家主席の欧州訪問や、ここ12か月ほどの間に相次いだ欧州各国の指導者たちの北京訪問で築かれてきた信頼は重要でした。対話の頻度が高まるほど、互いの立場や懸念を直接伝える機会が増え、誤解を避けることにもつながるからです。
しかし、EV関税をめぐる緊張は、その積み上げてきた善意を後退させかねない局面を生んでいます。2024年末、中国とEUはまさに「橋をかけ直せるかどうか」が問われる場面に立っていました。
50周年という節目が意味するもの
こうした状況の中で、翌年5月には中国とEUの外交関係樹立50周年という節目が控えていました。半世紀にわたって続いてきた関係を、これからの50年につなげられるのか――この問いが、2024年末の重要なテーマになっていました。
50周年という時間の厚みは、単なる記念行事以上の意味を持ちます。対立があっても、長い関係の中で築かれた利害と信頼があれば、落ち着いて解決策を探る余地が生まれます。逆に言えば、この節目で信頼が大きく傷つけば、その影響も長期に及びかねません。
番組「The Agenda」が投げかけた視点
こうした背景を踏まえ、国際ニュース番組「The Agenda」では、中国とEUの関係をテーマに議論が行われました。司会はジュリエット・マン氏。ゲストには、欧州委員会で国際関係部門のディレクターを務め、WTOと国連のEU代表部を率いた経験を持つジョン・クラーク氏、復旦大学の国際政治学者である尹志光(イン・ジグアン)氏、そしてフィンランドの国会議員で元運輸相のティモ・ハラッカ氏が参加しました。
政策実務、学術、そして欧州の国内政治という異なる立場からの議論は、中国とEUの関係を一面的ではなく、多層的に捉えるためのヒントを与えてくれます。英語で掲げられた問い「Can China and the EU rebuild bridges?(中国とEUは橋をかけ直せるのか)」は、通商問題にとどまらず、より広い意味での信頼と協力の再構築を指しています。
橋をかけ直すための3つのカギ
この問いを手がかりにすると、これからの中国・EU関係を考えるうえで、少なくとも次の3つのポイントが浮かび上がります。
- 対話のチャンネルを維持すること:関税のような難しい議題こそ、首脳や閣僚レベルの対話の場を途切れさせず、相互理解を積み重ねることが重要です。
- 経済摩擦をルールで管理すること:貿易や投資をめぐる対立はゼロにできませんが、世界貿易機関(WTO)などのルールや協議の仕組みを活用し、予測可能で透明性の高いかたちで管理していくことが求められます。
- 共通の課題で協力の余地を広げること:気候変動対策やグリーン技術、インフラ、デジタル分野など、中国とEUが協力すれば世界全体にプラスとなる分野は少なくありません。対立だけでなく、協力の可能性にも目を向ける視点が必要です。
読者が押さえておきたいポイント
国際ニュースとして中国とEUの関係を見るとき、対立の場面はどうしても目立ちます。ただ、関税や安全保障上の懸念といったニュースの背後には、長い外交関係の蓄積と、経済・気候・技術といった幅広い共通関心があることも忘れてはなりません。
2024年末に投げかけられた「橋をかけ直せるのか」という問いは、2025年の今もなお、国際秩序と世界経済の行方を考えるうえで重要なテーマであり続けています。見出しだけでなく、その背景にある構造や利害を意識してニュースを読み解くことが、これからの時代を生きる私たちに求められているのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com







