ガザ北部病院をイスラエル軍が急襲 パレスチナ側が「重大な犯罪」と非難
ガザ地区北部の病院がイスラエル軍の軍事作戦の舞台となり、パレスチナ側が「重大な犯罪」だとして強く非難しています。医療施設への攻撃とその正当性をめぐり、現地では緊張と不信がさらに高まっています。
ガザ北部のカマル・アドワン病院を急襲
現地時間の金曜日、ガザ北部ベイトラヒヤにあるカマル・アドワン病院にイスラエル軍が突入し、院内の患者や避難者に対して退避を命じたとパレスチナ保健省が明らかにしました。病院はガザ北部の医療拠点の一つで、周辺ではこれまでも激しい軍事作戦が続いてきました。
保健省によると、数十人の患者と数百人の人々が病院からの退避を強いられ、施設の一部が炎上しました。また、同じガザ地区内の別の場所への空爆などで少なくとも25人が死亡し、そのうち15人はガザ市内の一軒家にいた人々だったと医療関係者や救急当局が伝えています。
パレスチナ保健省は、ベイトラヒヤの病院に対する圧力は以前から続いていたとしたうえで、「現在、院内のスタッフとの連絡が途絶えている」と説明しています。保健省のムニール・アルブルシュ局長は声明で「占領軍が今まさに病院の中にいて、病院を焼いている」と述べ、被害の深刻さを訴えました。
「重大な犯罪」としてパレスチナ側が非難
パレスチナ大統領府は、公式通信社ワファを通じて声明を発表し、イスラエル軍による今回の行動を「重大な犯罪」であり、戦時下における医療部門と医療従事者の保護を求める国際法や各種条約に対する明白な違反だと非難しました。
声明はまた、国際的な保健機関に対し、医療従事者や患者、負傷者を守るための取り決めを実際に機能させるよう呼びかけています。戦闘の長期化で医療体制が逼迫する中、こうした訴えは、単なる政治的メッセージにとどまらず、現場で治療を続ける人々の安全に直結するものになっています。
イスラエル軍は「ハマス拠点」と主張、ハマスは関与を否定
一方、イスラエル国防軍(IDF)は金曜日に出した声明で、カマル・アドワン病院周辺での作戦は「病院周辺にテロリストのインフラや要員が存在するという情報」に基づいて開始したと説明しました。病院がガザ北部におけるハマスの拠点となっていて、「戦争を通じて戦闘員が活動してきた」と主張しています。
IDFは、作戦実施に先立って「民間人や患者、医療従事者が安全に退避できるよう支援した」として、民間人への被害を最小限に抑えようとしたと強調しました。ただし、具体的にどのような経路や方法で避難が行われたのかについては、詳細を明らかにしていません。
これに対し、ハマスが任命した副保健相ユセフ・アブ・リシュ氏は、イスラエル軍が外科病棟や検査室、倉庫などに火を放ったと非難しました。ハマスは声明で「病院内に軍事活動や戦闘員は一切存在しない」と強調し、「敵の主張は、全ての病棟を退去させ焼き払ったという凶悪な犯行を正当化するためのものだ」としています。
さらにハマスは、今回の行為は「住民の抹消と強制的な追放を狙った計画の一部だ」と主張し、国連に対してガザ北部で進行している行為の実態を調べる調査委員会の設置を求めました。
変わりゆく北ガザの地図と、安全な場所の喪失
報道によれば、ガザ北部のジャバリアやベイトハヌーン、ベイトラヒヤ周辺では、多くの住民が既に避難し、建物が系統的に破壊されている地域もあります。戦闘終結後、この一帯を封鎖的な緩衝地帯として維持する意図があるのではないかという観測も出ています。
医療施設が戦闘の焦点となるたびに、住民にとって「ここにいれば比較的安全」という場所はさらに狭まっていきます。軍事的な説明や安全保障上の主張が交錯する中で、どこまで医療施設を特別な保護対象とみなすのかという、国際社会にとって古くて新しい問いが改めて突きつけられています。
現地から届く情報は、当事者の立場によって大きく食い違っています。しかし、いずれの主張であっても、その背後には病院で治療を受けていた人々や、そこを最後の避難先と信じて集まった家族の存在があります。ガザ北部の病院をめぐる今回の攻防は、戦争の「最前線」が市民生活や医療の現場そのものに重なりつつある現実を映し出しています。
Reference(s):
cgtn.com







