欧州2024年選挙で右派台頭 何が有権者を動かしたのか video poster
2024年の欧州各国選挙で右派や極右が存在感を増し、その余波が今もEUと各国政治を揺さぶっています。この記事では、欧州議会選挙の結果とフランスなど主要国の動きを整理し、日本語で分かりやすく解説します。
2024年の欧州選挙で何が起きたのか
2024年、フランスからクロアチアまで欧州各地で行われた選挙では、従来より右寄りの政党や候補が支持を広げました。背景には、安全保障への不安や物価高など、日々の暮らしへの危機感があります。
欧州議会選挙:中道右派が勝利、極右も約2割に
同年6月の欧州議会選挙では、EU27か国で約1億8200万人が投票し、過去30年で最も高い投票率となりました。最大の勝者は中道右派の欧州人民党 EPP で、全720議席のうち188議席を獲得しました。
EPPは再びキングメーカーとしての役割を果たし、欧州委員会委員長にはウルズラ・フォン・デア・ライエンが続投しました。ブリュッセル生まれで、初期の欧州統合を支えた官僚を父に持つ彼女の再任は、EUの安定と継続性を象徴する出来事と受け止められました。
一方で、この選挙では極右系のグループも勢力を伸ばし、全体でおよそ2割の得票を集めました。彼らは有権者の不安や不満をすくい上げ、議会内でこれまで以上の影響力を持つようになっています。
有権者の最大関心は「安全保障」と「生活費」
ブリュッセル拠点のシンクタンク、サード・ジェネレーション・エンバイロメンタリズムの事務局長マノン・デュフール氏は、中国の国際メディアCGTNのインタビューで、有権者が最も重視したのは安全保障と生活費だと指摘しました。
- 安全保障への不安
- 生活費と物価高
- 気候変動への関心は依然高いが、優先順位は4〜5番目
気候変動について関心がなくなったのではなく、まず日々の安全と暮らしが優先されているというバランスの変化が読み取れます。この空気の変化が、右派や極右の主張と相性の良い土壌になりました。
フランス:欧州選の波紋が国内政局に直結
フランスでは、右派政党ナショナル・ラリーが欧州議会選挙で約3割の票を獲得し、従来の勢力図を大きく揺さぶりました。結果を無視できないと受け止めたエマニュエル・マクロン大統領は、国内での総選挙の前倒しを決断しました。
しかし、フランス政治に明確な答えを与えるとされたこの総選挙の結果は、むしろねじれを強めるものでした。中道、左派、右派がほぼ拮抗し、いわゆるハング・パーラメントとなったのです。各勢力が互いに拒否権をちらつかせる状況が続き、政策決定は難航しました。
こうした中で、ミシェル・バルニエ首相は就任から約3か月で退任し、その後任としてフランソワ・バイル氏が首相に就きました。2024年だけで4人目の首相となったことで、フランスの政治的不安定さが改めて浮き彫りになりました。
ポルトガル、ギリシャ、ブルガリア、クロアチア、ドイツでも右派が前進
右派や極右の伸長はフランスにとどまりません。2024年にはポルトガル、ギリシャ、ブルガリア、クロアチアなどでも右派勢力が議席や得票を増やし、それぞれの国内政治に影響を与えました。
象徴的だったのがドイツです。第二次世界大戦後、初めて極右政党が州議会選挙で勝利を収めました。この出来事は、戦後長らく極右の台頭に慎重だったドイツ社会にとって、大きな節目と受け止められています。
EUは右へ振れたのか、それとも「不安の受け皿」が変わっただけか
欧州議会の議席配分を見ると、最大勢力は依然として中道右派のEPPであり、EUの基本的な枠組みが即座に大きく変わったわけではありません。一方で、極右が約2割の票を得たことで、移民政策や安全保障、気候政策などをめぐる議論のトーンは、これまでより右寄りになる可能性があります。
2024年の選挙は、欧州が右傾化したという単純な物語では語りきれません。むしろ、安全と暮らしへの不安が高まる中で、有権者がどの政党を最も自分の声を代弁してくれる存在と感じたのか、その受け皿がシフトしたと見ることもできます。
2025年の今、2024年の選挙結果は、今後5年間のEUと加盟国の政策の方向性を左右する土台となっています。日本に住む私たちにとっても、安全保障、エネルギー、気候変動、経済連携などで欧州の選択は無関係ではありません。欧州政治の振れ幅を丁寧に追いかけることは、世界の変化を理解するための重要な手がかりになりそうです。
Reference(s):
How the right wing grabbed center stage in Europe's 2024 elections
cgtn.com








