米下院議長にマイク・ジョンソン氏が再選 薄氷の多数派と共和党内対立
米国の連邦議会下院で、共和党のマイク・ジョンソン議長がわずか2票差で再選されました。薄い多数派と激しい党内対立を抱える共和党にとって、この「ぎりぎりの勝利」は今後の米国政治を占う重要なシグナルになっています。
何が起きたのか
現地時間の金曜日に行われた採決では、ジョンソン氏が下院議長(House speaker)への再選を賭けて、わずかな多数をめぐる攻防に臨みました。最終的な投票結果は218対216で、ジョンソン氏が再び議長の座を守りました。
票の内訳は、次の通りです。
- マイク・ジョンソン氏:218票
- ハキーム・ジェフリーズ下院少数党(民主党)院内総務:215票(民主党議員は全員がジェフリーズ氏に投票)
- トム・エマー下院共和党幹事:1票(共和党のトマス・マッシー議員が投票)
採決の過程では、共和党のラルフ・ノーマン議員(サウスカロライナ州選出)とキース・セルフ議員(テキサス州選出)が当初は別の候補に投票していました。しかし、ジョンソン氏との土壇場の交渉を経て態度を変え、最終的にはジョンソン氏支持に回ったことで、再選が確定しました。
共和党内の深まる亀裂
今回の再選劇は、共和党内の対立が依然として収束していないことを改めて浮き彫りにしました。複数の保守派議員は以前からジョンソン氏の再選に反対の姿勢を示しており、議長選は終始不安定な展開となりました。
次期大統領のドナルド・トランプ氏が公然とジョンソン氏支持を表明していたにもかかわらず、採決の初期段階では3人の共和党議員が反対に回りました。最終的に2人は賛成に転じたものの、トマス・マッシー議員は姿勢を変えず、エマー氏に票を投じています。
マッシー氏は最近、ジョンソン氏は下院議長の職にふさわしくないと主張し、このままジョンソン氏が議長を続ければ、いずれ共和党がかろうじて維持している多数派を失うことになると警告しています。
マッシー氏は以前、マージョリー・テイラー・グリーン議員が主導したジョンソン氏解任の動きも支持してきました。その背景には、ジョンソン氏が十分な共和党票を確保できないにもかかわらず、議長の座を守るために民主党と協力する道を選んだのではないかという不信感があります。
ジョンソン氏はどうやって議長になったのか
ジョンソン氏は、もともと共和党内の混乱の「産物」として下院議長に選ばれた経緯があります。2023年10月3日、カリフォルニア州選出の共和党議員ケビン・マッカーシー氏が、党内の強硬な保守派の反発を受けて議長職を解任され、下院は事実上の空白状態に陥りました。
その後3週間にわたり下院はリーダー不在のまま機能不全に陥り、複数の候補者が浮上しては消える混乱が続きました。最終的に、2023年10月25日に行われた4回目の投票で、ルイジアナ州選出の52歳、マイク・ジョンソン氏が新議長に選出されました。
さらに細った多数派 2人の造反で多数喪失の危機
2024年11月の米下院選挙では、共和党は辛くも多数派を維持しましたが、その差は一層縮まりました。
現在の議席数は、全435議席のうち共和党が219議席、民主党が215議席を占めています。つまり、共和党からわずか2人が重要な採決で離反すれば、多数派を失いかねない極めて不安定な状況です。
今回のように、少数の議員の動きが下院議長の去就を左右する構図は、今後の立法プロセスにも影響を与えます。共和党指導部は、重要な法案や政策を通すたびに、党内保守派との厳しい駆け引きを強いられることになりそうです。
トランプ時代の共和党を映す鏡
ジョンソン氏の再選をめぐる攻防は、トランプ氏の影響力のあり方も映し出しています。トランプ氏は依然として共和党支持層に強い支持基盤を持ち、次期大統領としての存在感も大きい一方で、議会共和党を完全に一枚岩にする決定的な力ではないことが示されました。
トランプ氏が支持を明確に打ち出しても、マッシー氏のように公然と異を唱える議員が出ていることは、共和党が「トランプ支持」を掲げつつも、具体的な政策や議会運営をめぐっては内部で激しい意見対立を抱えていることを意味します。
日本から見た注目ポイント
ジョンソン氏の再選劇は米国内の政局にとどまらず、日本を含む海外からの視点でも重要な意味を持ちます。薄氷の多数派と党内対立が続く下院では、米国の外交・安全保障、経済政策に関する重要法案の行方がこれまで以上に不透明になりかねません。
2024年の選挙を経て多数派の差が縮まったことで、今後の米下院運営には次のような点が注目されます。
- 共和党指導部が、保守派を含む党内各勢力をどこまで取りまとめられるか
- マッシー氏らジョンソン氏に批判的な議員が、今後も議長交代を求める動きを続けるのか
- 民主党が、内部対立を抱える共和党とどう向き合い、自らの政策を前に進めるのか
ジョンソン氏の再選は、ひとまず下院の指導部人事に区切りを付けたものの、共和党内の対立要因が解消されたわけではありません。ごく少数の造反で政権運営が揺らぎうるいまの下院情勢は、今後の米国政治の不安定さと、その先にある政策の振れ幅を占う試金石となりそうです。
Reference(s):
Mike Johnson re-elected House speaker after last minute negotiations
cgtn.com







