デンマーク政府、グリーンランド発言巡りトランプ次期大統領と対話模索
デンマーク政府、グリーンランド巡る緊張の中でトランプ次期大統領と電話協議を要請
デンマーク政府は、グリーンランドをめぐる発言で波紋を広げたアメリカのドナルド・トランプ次期大統領に対し、電話での協議を求めています。グリーンランドはデンマークの自治領であり、今後の米デンマーク関係や地域の安定にも関わる動きとして注目されています。
グリーンランド発言が生んだ緊張
ことの発端は、トランプ氏がグリーンランドについて、支配権を得るために軍事的な手段も排除しないとの考えを示したことにあります。グリーンランドはデンマークの下で自治権を持つ地域であり、この発言はデンマーク側にとって見過ごせないものとなりました。
こうした状況を受けて、デンマーク政府は外交ルートを通じた対応を進めており、その一環としてトランプ次期大統領との電話協議を要請しています。しかし、メッテ・フレデリクセン首相によると、木曜日に開かれた記者会見の時点で、アメリカ側から公式な返答はまだ得られていません。
フレデリクセン首相「現時点で軍事行動に踏み切る理由はない」
フレデリクセン首相は記者会見で、トランプ氏の発言そのものは看過できないとしつつも、現時点で実際に軍事的な行動に踏み切ると考える理由はないと強調しました。過度に不安をあおるのではなく、冷静な分析と対話によって事態を管理しようとする姿勢がうかがえます。
また、ラース・ロッケ・ラスムセン外相は、トランプ氏の発言について「真剣に受け止めるべきだが、言葉通りに受け取るべきではない」と述べました。このコメントは、発言の政治的な重みを無視しない一方で、そのまま現実の政策として直結させないという、慎重かつ現実的な立場を示しています。
選挙後すでに始まっている非公式な対話
フレデリクセン首相は、今年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、次期政権側との間で非公式な対話がすでに始まっていることも明らかにしました。正式な政権発足前からのこうした対話は、発言によって生じた緊張を和らげ、今後の関係をスムーズにする狙いがあるとみられます。
首相は、トランプ氏の正式な就任後には、より踏み込んだ協議が行われることへの期待も表明しました。デンマーク政府としては、対話のチャンネルを途切れさせずに保つことが、外交上の最優先課題の一つになっているといえます。
デンマーク議会でも賛否分かれる対応評価
フレデリクセン首相の記者会見に先立ち、デンマーク議会(フォルケティング)の全ての政党代表が集まり、政府のこれまでの外交努力について説明を受けました。しかし、説明の後も、国内政治では一枚岩とは言えない状況が浮かび上がっています。
デンマーク国民党は、グリーンランドの自治に関する政府の方針をより明確に示すべきだと主張しました。トランプ氏の発言が、グリーンランドの立場やデンマークとの関係を揺るがしかねないとの懸念が背景にあります。
一方、左派の紅緑同盟は、政府の姿勢がアメリカに対して「甘すぎる」と批判し、デンマークとしてより強いメッセージを発する必要があると訴えました。安全保障や同盟関係を重視する姿勢と、自治や主権を守ろうとする視点との間で、国内の議論が揺れている様子がうかがえます。
グリーンランド、アメリカ、デンマークをどう結びつけて考えるか
今回の動きは、一人の政治家の発言に対して、小さな国がどう対応するかという典型的なケースでもあります。デンマーク政府は、感情的な反発ではなく、対話と説明責任を重ねることで、アメリカとの関係とグリーンランドの自治の両方を守ろうとしているように見えます。
一方で、国内の政党からは、より強い姿勢を求める声も上がっており、政府がどこまで踏み込んだメッセージを出すのかは、今後の焦点の一つです。国際ニュースとしてこの問題を追う私たちにとっても、次のような点が注目ポイントになりそうです。
- トランプ次期大統領側が、デンマークの電話協議の要請にどう応じるのか
- デンマーク政府が、グリーンランドの自治をめぐる方針をどこまで明確化するのか
- フォルケティング内の議論が、今後の対米外交にどう影響していくのか
グリーンランドをめぐる今回のやり取りは、領土や自治をめぐる問題が、どのように国際政治と結びつき、国内政治の論点にもなっていくのかを考えるきっかけになります。スマートフォンでニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、どのような外交姿勢を望むのか、自分なりの視点を持つことが問われているのかもしれません。
Reference(s):
Danish govt seeks dialogue with Trump amid Greenland tensions
cgtn.com








