韓国大統領警護トップを事情聴取 尹錫悦氏逮捕状阻止の疑い
弾劾訴追中の尹錫悦大統領に対する逮捕状の執行を妨害した疑いで、韓国の大統領警護機関トップが警察の事情聴取に応じました。2024年末から続く韓国政治の混乱は、司法と行政府の緊張が正面からぶつかる局面に入っています。
大統領警護トップが警察に出頭
韓国の大統領警護室長パク・ジョンジュン氏が、金曜日の午前10時ごろ、警察の国家捜査本部の要請に応じて出頭しました。容疑は、尹錫悦大統領に対する逮捕状の執行を妨害したとされる特別公務執行妨害の疑いです。
パク氏は出頭時、記者団に対し「どのような場合でも、物理的な衝突や流血があってはならない」と述べ、政府機関同士の対立を懸念する世論に理解を示しました。そのうえで、尹氏が現在も大統領の地位にあることを踏まえた捜査が行われるべきだと主張し、逮捕状の執行は適切ではなかったとの認識を示しました。
警察はこれまで、2025年1月4日と7日にパク氏に出頭を要請しましたが、いずれも応じませんでした。3度目の召喚状の後、ようやく事情聴取が実現した形です。
大統領公邸での逮捕状執行はなぜ阻まれたか
問題となっているのは、2025年1月3日に捜査当局が大統領公邸で尹錫悦氏の逮捕状を執行しようとした場面です。このとき、大統領警護室が執行を阻み、逮捕は失敗しました。パク氏がどのような指示を出し、現場で何が起きていたのかが、捜査の大きな焦点となっています。
逮捕状を巡っては、ソウルの裁判所が火曜日、尹氏に対する逮捕状の有効期間を延長するため、2回目となる新たな逮捕状を発付しました。報道によれば、この2回目の逮捕状は、有効期間が1週間だった最初の逮捕状よりも長く設定されているとされています。
弾劾と大統領権限停止の流れ
尹錫悦氏を巡る政治危機は、2024年12月にさかのぼります。同月14日、韓国の国会は尹氏に対する弾劾訴追案を可決し、案件は憲法裁判所に送付されました。弾劾審理は最大180日間行われることになり、その間、尹氏の大統領としての権限は停止される取り扱いとされました。
尹氏は捜査当局から、内乱容疑に関する首謀者の一人として名前が挙がっています。2024年12月3日には戒厳令を宣言しましたが、国会が数時間後にこれを撤回する決議を可決し、戒厳令は短時間で失効しました。戒厳令は本来、戦争や大規模な社会不安など、国家の安全が重大な危機に直面した際に軍が治安維持を担う仕組みであり、その発動が政治的に大きな波紋を呼んだ形です。
司法と行政府の綱引きが示すもの
大統領警護機関トップが捜査の対象となる今回の事態は、韓国の司法と行政府の関係を象徴的に映し出しています。パク氏が強調した「物理的な衝突や流血はあってはならない」という言葉の背景には、逮捕状執行を巡って警察や検察と大統領警護機関が現場で正面衝突しかねない緊張感があります。
この一連の動きは、次のような問いを投げかけています。
- 弾劾審理中の現職大統領に対し、どのように逮捕状を執行すべきか
- 大統領の身辺警護を担う機関は、捜査機関の命令にどこまで従う義務があるのか
- 国家機関同士の対立をどう抑え、法の支配と民主的な統治を両立させるのか
韓国の政治と司法を巡るこの国際ニュースは、日本を含む周辺地域にとっても、権力の制限と危機管理を考えるうえで多くの示唆を与えています。今後も、大統領警護機関への捜査の行方と、弾劾手続きが韓国社会にどのような影響を与えるのかが注目されます。
Reference(s):
S. Korea's presidential security chief appears for questioning
cgtn.com








