クロアチア大統領選、ポピュリスト vs 科学者の決選投票へ video poster
2025年のクロアチア大統領選は、元アマチュアボクサーで現職の大統領と、学者・科学者としての経歴を持つ挑戦者との一騎打ちになりました。今週日曜日の決選投票を前に、この「ポピュリスト vs サイエンティスト」という構図を整理します。
クロアチア大統領選、対照的な2人が決選投票へ
クロアチアの有権者は、今週日曜日に行われる大統領選の決選投票で、まったくタイプの異なる2人の候補のどちらかを選ぶことになります。国際ニュースとしても、ポピュリズムと専門知に対する信頼のせめぎ合いとして注目されています。
1人は、元アマチュアボクサーで老練な政治家。歯切れの良いメッセージとポピュリスト色のある語り口で支持を広げてきました。
もう1人は、学術の世界と科学の現場でキャリアを積んできた候補です。しかし、これまでのところ存在感を示すのに苦労しており、世論では劣勢と見られています。
現職ゾラン・ミラノヴィッチ氏とは
決選投票に進んだ1人が、現職大統領のゾラン・ミラノヴィッチ氏です。先の第1回投票では、過半数に必要な票までわずか約4,000票に迫り、あと一歩で再選を決めるところまで来ていました。
ミラノヴィッチ氏は形式上は左派の社会民主主義者とされていますが、これまでに右派寄りの主張や有権者にも歩み寄り、幅広い層から票を集めてきました。そのため、イデオロギーの線引きでは説明しきれない存在感を持つ大統領と言えます。
若い頃にアマチュアボクサーとしてリングに立っていた経歴もあり、時に対立をいとわない強気のスタイルと重ねて語られることもあります。
ただ、その発言スタイルについては賛否が分かれます。批判的な向きは、ミラノヴィッチ氏の言動にはポピュリスト(大衆迎合)的な要素が目立つと指摘しています。
スロバキアのフィツォ首相と近い世界観
ミラノヴィッチ氏の世界観は、スロバキアのロベルト・フィツォ首相に近いとされています。この比較からも、同氏の政治的な立ち位置の独自性がうかがえます。
NATO拡大とウクライナ派遣への明確な反対
ミラノヴィッチ氏を特徴づけているのが、安全保障に関する一連の発言です。北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大、つまりロシアに向けた拡大に反対してきました。
また、ウクライナで続く戦争についても距離を置き、「これは私たちの戦争ではない」と繰り返し述べています。クロアチア軍をウクライナに派遣することには、非戦闘任務であっても戦闘任務であっても、強く反対してきました。
こうした姿勢は、NATOの一員でありながら独自路線を模索する動きとして、ヨーロッパの国際ニュースの中でも注目されています。
ガザ情勢への厳しい目
ミラノヴィッチ氏は、中東のガザ情勢についても明確な意見を示してきました。ガザでのイスラエルの軍事行動のあり方について、強い言葉で批判してきたとされています。
ウクライナとガザという2つの戦争に対して、欧米の同盟国の中でも比較的距離を取る姿勢は、クロアチア国内の有権者だけでなく、海外からも注目を集めています。
学者・科学者の挑戦者はなぜ苦戦しているのか
一方の候補は、学術研究や科学分野のバックグラウンドを持つ、いわば「サイエンティスト候補」です。その専門性ゆえに、政策の緻密さや長期的な視点に期待する声もあります。
しかし、これまでのところ、強い印象を有権者に残すことには苦労しているとされています。存在感をどう示すかという点で、政治の現場で長く経験を積んだミラノヴィッチ氏との差が意識されている面もあります。
現代の選挙では、どれだけ精緻な政策を持っていても、それを分かりやすく、感情にも訴えかける言葉に変換できなければ支持につながりにくい側面があります。今回のクロアチア大統領選は、その現実を映し出しているとも言えます。
「ポピュリスト vs サイエンティスト」は世界共通のテーマ
ポピュリスト色の強い現職と、専門知を掲げる挑戦者の対決という構図は、クロアチアだけのものではありません。多くの国で、感情に訴えるリーダー像と、理性や専門性を重視するリーダー像の間で、有権者の選択が揺れています。
背景には、経済的不安や安全保障への懸念、政治への不信感など、さまざまな要因があります。人々は「自分の気持ちを代弁してくれるリーダー」を求める一方で、「複雑な課題を専門的に解きほぐしてくれるリーダー」にも期待しています。
クロアチア大統領選の行方は、こうした世界的なトレンドの一つの縮図として、日本やアジアの読者にとっても考えるヒントを与えてくれます。
日曜日の決選投票で注目したいポイント
今週の日曜日に予定される決選投票では、次のような点が注目されます。
- 第1回投票で勝利にあと一歩まで迫ったミラノヴィッチ氏が、その勢いを維持できるか
- 学者・科学者の挑戦者が、残された時間でどこまで存在感を高められるか
- ウクライナやガザをめぐる外交姿勢が、有権者の最終的な判断にどこまで影響するか
結果がどうであれ、この選挙は「誰に国を託すのか」という問いだけでなく、「どのような言葉やスタイルの政治を私たちは選ぶのか」を映し出すものになりそうです。
Reference(s):
The populist and the scientist: Croatia's presidential candidates
cgtn.com








