ロサンゼルスで大規模山火事が6日目 強風再来前に必死の攻防
ロサンゼルス山火事が6日目 強風が戻る前の「勝負の数日」
米カリフォルニア州ロサンゼルスで続く大規模な山火事は、現地時間日曜日で発生から6日目を迎えました。消防当局は、再び強いサンタアナ風が戻る前の短い「凪(なぎ)」の時間を利用し、懸命の消火活動を続けています。
これまでに少なくとも24人が亡くなり、数千棟の住宅が焼失、10万人規模の避難が発生しており、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、米国史上もっとも壊滅的な自然災害になりうるとしています。
被害の全体像:高級住宅地も含め12,000棟超が被害
ロサンゼルス各地では、富裕層が暮らすエリアから一般的な住宅街まで、まるごと灰と化した地域が生まれています。関係当局によると、少なくとも1万2,300棟の建物が損壊または焼失しました。
ロサンゼルス郡のリンジー・ホーヴァス監督官は「ロサンゼルス郡では、またしても想像を絶する恐怖と悲しみの一夜になった」と述べ、被害の深刻さを語りました。
主な火災の状況
- パリセーズ火災(Palisades Fire):ロサンゼルス西部で96平方キロメートルを焼失。高級住宅地ブレントウッド周辺に迫る中、現在の鎮火率は13%とされています。
- イートン火災(Eaton Fire):ロサンゼルス東部の山麓で57平方キロメートルを焼失。面積はマンハッタン島に迫る規模で、鎮火率は前日の15%から27%に上昇しました。
- ハースト火災(Hurst Fire):市の北側で発生し、鎮火率は89%に達しました。
このほか郡内で猛威を振るった3件の火災については、カリフォルニア州森林保護・消防局(Cal Fire)が「100%鎮火」と発表しています。ただし、あくまで延焼を防ぐ囲い込みが完了したという意味で、内部では依然としてくすぶり続けている場所もあるとしています。
再び強まるサンタアナ風 水曜まで「非常に高い」危険水準
週末は一時的に風が弱まりましたが、状況は楽観できません。これまでハリケーン並みの風速に達したサンタアナ風は、日曜日の夜から再び勢いを増し、水曜日まで続くと予報されています。
サンタアナ風は内陸の砂漠地帯から吹き下ろす乾いた強風で、火の粉を最前線から最大3キロ先まで飛ばし、思わぬ場所で新たな火災を発生させる要因となってきました。すでに4月以降ほとんど雨が降っていないとされるなか、地面や植生は極端に乾燥しており、ひとたび火がつけば急速に燃え広がる条件がそろっています。
ロサンゼルス郡消防局のアンソニー・マローネ局長は「これらの強風に、低い湿度、乾ききった燃料が重なり、郡全域で火災リスクは非常に高い状態が続く」と警鐘を鳴らしました。避難区域の解除は、赤旗警報(危険な火災気象条件の継続を示す警報)が木曜日まで解除されない限り、慎重に進められる見通しです。
10万人規模が避難 学校は一部再開へ
ロサンゼルス郡の人口は約1,000万人。消防当局は「郡内の誰もが、火災や有毒な煙からの避難命令を受ける可能性がある」と警告し、広範囲にわたる警戒を呼びかけています。
日曜日までに、ロサンゼルス郡で避難命令が出されている住民は10万人超とされています。ピーク時には15万人を上回っていましたが、一部エリアで危険度が下がったことから、人数はやや減少しました。一方で、避難「警告」が出ている人は8万7,000人にのぼります。
教育現場にも影響が広がりました。ロサンゼルス統一学区(生徒数42万9,000人)は、先週木曜・金曜と全校休校措置を取りましたが、日曜日時点でカルヴァーリョ教育長は、強制避難区域内の学校を除き、月曜日から授業を再開すると発表しました。
「史上最悪級」のコスト 最大1,500億ドルの損失試算
ニューサム知事は米テレビ局NBCのインタビューで、今回の山火事について「コストだけで見れば、米国史上最悪の自然災害となる可能性が高い」と述べました。ロサンゼルス郡検視局によると、すでに24人の死亡が確認されています。
民間気象会社アキュウェザーは、建物の損壊、インフラへの被害、経済活動の停滞などを含めた被害額と経済損失を1,350億~1,500億ドル(約数十兆円規模)と試算しています。
こうした甚大な被害を受け、ニューサム知事は日曜日、焼失した住宅や事業所の再建を加速させるため、一部の環境関連規制を一時的に停止する州知事令に署名しました。環境負荷と復旧スピードのどちらを優先するかという難しい判断を迫られる中で、まずは早期の生活再建に政策の軸足を置いた形です。
総力戦の消火活動 軍や他州からも応援部隊
現場では、空と陸の両面から総力戦の消火活動が続いています。海上からは、太平洋の海水をくみ上げる航空機が上空から放水・薬剤散布を行い、地上では消防隊が手作業の工具やホースを使って延焼ラインを必死に抑えています。
連邦緊急事態管理庁(FEMA)のディーン・クリスウェル長官は、テレビインタビューで「現役の軍人が、必要に応じて消火活動を支援できる体制にある」と述べ、すでに住民に対して災害支援の申請を始めるよう呼びかけていると明らかにしました。
ロサンゼルス周辺には、カリフォルニア州内の消防隊に加えて、米国7州から応援の消防隊が駆けつけているほか、カナダやメキシコからも支援部隊が合流しています。国境を越えた支援は、広域災害への対応において人員と装備を確保するうえで重要な役割を果たしています。
これから何が焦点になるのか
今回のロサンゼルス山火事は、都市部とその周辺で暮らす人々の生活が、気象条件ひとつで一気に脆弱になる現実を浮き彫りにしています。今後、注目すべきポイントとしては次の点が挙げられます。
- サンタアナ風が収まるまでの3日間:風向・風速次第で、火勢が再び拡大するリスクがあります。
- 鎮火率の推移:特にパリセーズ火災とイートン火災の封じ込めが、住宅地への被害拡大を防げるかの鍵となります。
- 避難住民の生活再建:学校再開や住宅再建がどのスピードで進むかは、地域社会の回復力を測る指標になります。
- 復旧と環境保護の両立:環境規制の一時停止が、復興と環境保全のバランスにどのような影響を与えるのかも議論の対象となりそうです。
国際ニュースとしてのロサンゼルス山火事は、単なる「遠くの災害」ではなく、大都市圏のリスク管理、インフラ、そして平時からの備えを考える上で、多くの示唆を与える出来事でもあります。日本に暮らす私たちも、自分の街に当てはめながら、今後の動きを追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
Los Angeles races to contain wildfires before high winds return
cgtn.com








