レバノン大統領がナワフ・サラーム氏を新首相に指名 ICJ長が政権づくりへ
レバノンの新首相にナワフ・サラーム氏 国際司法裁判所長が政治の最前線へ
レバノン大統領府は月曜日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)で長を務めるナワフ・サラーム氏を新たな首相に指名し、新政権の樹立を正式に託したと発表しました。イスラエルとヒズボラの14か月にわたる紛争を経て復興に向かうレバノンにとって、国際法と外交の専門家が国内政治を率いる展開は、国際ニュースとしても注目を集めています。
84票を獲得 大統領との協議を経て指名
大統領府の声明によると、サラーム氏の指名は、ジョセフ・アウン大統領が実施した拘束力のある議会協議の結果を受けたものです。この協議でサラーム氏は、全128議席のうち84票を獲得しました。
アウン大統領は協議後、サラーム氏を大統領府に招き、首相職を正式に要請しました。ただし、サラーム氏は現在国外におり、火曜日に帰国する予定とされています。帰国後、本格的に組閣協議に入る見通しです。
宗派ごとのポスト配分とサラーム氏の立ち位置
レバノンでは、長年の政治慣行として、主要ポストが宗派ごとに配分されています。
- 首相:スンニ派ムスリム
- 大統領:マロン派キリスト教徒
- 国会議長:シーア派ムスリム
サラーム氏は1953年生まれのスンニ派ムスリムで、レバノンでも指折りの名門政治一家の出身です。叔父のサエブ・サラーム氏は、1975〜1990年の内戦前に複数回首相を務め、いとこのタマム・サラーム氏も2014〜2016年に首相職に就きました。
こうした背景から、サラーム氏は宗派バランスの中で伝統的なスンニ派首相ポストを担いつつ、政治名門出身として各勢力との調整役も期待されています。
ハーバードとソルボンヌで学び、国連大使も歴任
サラーム氏は法学、歴史、政治学を横断する学問的な経歴でも知られています。
- ハーバード大学で法学修士号を取得
- ソルボンヌ大学で歴史学と政治学の2つの博士号を取得
外交の現場でも長く経験を積んでおり、2007年から2017年まで、レバノンの国連大使兼常駐代表を務めました。その後、オランダ・ハーグの国際司法裁判所で要職に就き、現在はICJの長として国際法の最前線に立っています。
国際法と外交の両方に精通した人物が首相に就くことで、レバノンの対外関係や国際的な信頼回復にどのような変化が生まれるかが、今後の焦点となりそうです。
14か月の紛争後に直面する課題
今回の指名は、レバノンがイスラエルとヒズボラの14か月にわたる紛争から抜け出しつつあるタイミングで行われました。国としては、戦後の復興と同時に、深刻な経済問題にも直面しています。
サラーム新首相に託される主な課題は、少なくとも次の3点です。
- 新政権の速やかな発足と政治の安定化
- 紛争で被害を受けたインフラや地域の復興
- 長く続く経済的困難への対応と生活再建
経済の立て直しには、国民の信頼を得る改革と、国際的な支援の確保が不可欠とみられます。その意味で、国連や国際司法の場をよく知るサラーム氏の経歴は、国内外をつなぐ資源ともなり得ます。
国際社会が注目する理由
今回の人事が国際ニュースとして注目されるのは、単に新首相が選ばれたからではありません。国際司法裁判所の長という立場にある人物が、一国の政権トップとして危機対応にあたるという点に、今の世界情勢を映すような特徴があるからです。
法学者であり外交官でもあるサラーム氏が、宗派間のバランスと政治的利害が複雑に絡み合うレバノン政治で、どこまで合意形成と改革を進められるのか。紛争後の復興と深刻な経済問題に向き合う同国にとって、今後の政権運営は大きな試金石となります。
レバノンの新たな一歩が、地域の安定や国際秩序にどのような影響を与えるのか。新首相ナワフ・サラーム氏の動きは、これからもしばらく国際ニュースの重要なトピックとなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








