BRICS加盟がASEANに魅力的な理由:インドネシア正式加盟が示すもの
BRICS加盟がASEANに魅力的な理由:インドネシア正式加盟が示すもの
2025年1月、BRICS議長国のブラジルがインドネシアの正式加盟を発表しました。東南アジア諸国連合(ASEAN)から初の正式メンバーとなったこの動きは、なぜ注目されているのでしょうか。本記事では、インドネシアの事例を手掛かりに、ASEAN諸国にとってBRICS参加がなぜ魅力的な選択肢となっているのかを整理します。
インドネシア、初のASEAN正式加盟国に
2025年1月6日のブラジルの発表により、インドネシアはBRICSの10番目の正式加盟国となりました。これにより、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、イラン、エジプト、エチオピア、アラブ首長国連邦(UAE)に続くメンバーとして迎え入れられています。
インドネシアの加盟候補は、2023年のヨハネスブルク・サミットで当時のBRICSメンバーによって支持されていました。しかし、2024年の総選挙を控えていたインドネシアは、新たな政権が発足してから正式加盟の可否を判断する方針をとりました。2024年10月にプラボウォ・スビアント氏がジャカルタで大統領に就任した後、インドネシアはBRICSへの正式参加を決めた形です。
注目されるのは、インドネシアが今年初め、ほかの8カ国と共にBRICSの「パートナー国」ステータスを得たばかりだった点です。パートナー国から短期間で正式メンバーとなったことは、この枠組みを通じた協力に対するインドネシアの期待と意欲の大きさを示していると言えるでしょう。
広がるASEANの存在感:マレーシア、タイ、ベトナムも招待
インドネシアの正式加盟の背景には、ASEAN諸国のBRICSへの関与拡大という流れがあります。10カ国からなるASEANのうち、マレーシアとタイは、昨年のカザン・サミットを踏まえた今年初めの決定により、インドネシアと同様にBRICSパートナー国のステータスを得ています。
ベトナムもまた、BRICSパートナー国への招待を受けていますが、ハノイは現時点(2025年12月)まで正式な回答を公表していません。それでも招待が届いている事実自体が、ベトナムを含むASEANの主要経済が、国際的な経済協力の枠組みの中で存在感を増していることを物語っています。
パートナー国として名を連ねているのは、マレーシアやタイだけではありません。ベラルーシ、ボリビア、キューバ、カザフスタン、ナイジェリア、ウガンダ、ウズベキスタンなども、BRICSパートナー国としての招待を受け入れています。ナイジェリアの参加は金曜日に確認されたとされており、BRICSがいわゆる「グローバルサウス」と呼ばれる新興・発展途上国の広いネットワークへと拡大していることがうかがえます。
こうした流れの中で、ASEAN諸国がBRICSの枠組みにおいて強く代表されていることは、BRICSそのものの存在感を高めると同時に、ASEAN側の発言力向上にもつながると見られています。
なぜBRICS加盟・関与がASEANにとって魅力的なのか
では、なぜBRICSとの関係強化がASEAN諸国にとって魅力的なのでしょうか。インドネシアの正式加盟と、マレーシアやタイ、ベトナムへの招待状況から、少なくとも次の3つのポイントが見えてきます。
- 1. グローバルサウスの一員としての発言力強化
インドネシアやマレーシア、タイ、ベトナムといったASEANの主要経済は、世界貿易で大きな役割を担っています。これらの国々がBRICSの正式メンバーやパートナー国として参加することは、単独では届きにくいテーマについても、他の新興国と連携しながら、よりまとまった形で国際社会に声を届ける手段になります。最近の動きは、ASEAN諸国の経済力と交渉力が、BRICSを通じても評価されていることの表れだと受け止められます。 - 2. 経済パートナーの多様化と選択肢の拡大
BRICSには、大規模市場を持つ国や資源国が組み合わさっています。インドネシアをはじめとするASEAN諸国にとって、こうした国々と制度的な枠組みの中で協力関係を深めることは、貿易や投資の相手先を多様化し、経済的なリスク分散を図る上で意味があります。特定の地域や枠組みに依存しすぎない「複数の選択肢」を持ちたいという発想と、BRICSへの関与は相性が良いと言えます。 - 3. ASEANのプレゼンス向上と「二重の輪」戦略
ASEAN諸国は、自らの地域枠組みとしてのASEANを軸に、多数の国際フォーラムに参加してきました。そこにBRICSというもう一つの協力ネットワークを重ねることで、いわば「二重の輪」を持つことになります。インドネシアの正式加盟や、マレーシア・タイ・ベトナムへのパートナー招待は、ASEAN全体のプレゼンスをBRICS内部にも広げる動きとして位置付けることができます。
BRICSとASEAN:相互に高まる重み
今回の動きは、ASEAN側から見れば、自らの経済力と国際的な信頼度が試され、認められているプロセスでもあります。同時に、BRICSにとっても、インドネシアをはじめとするASEAN諸国の参加は、枠組みそのものの重みと多様性を高める要素です。ASEAN諸国がBRICSの中で強く代表されることで、BRICSは「グローバルサウス」を象徴する協力枠組みとして、さらに存在感を増していくと考えられます。
インドネシアが正式メンバーとなり、マレーシアとタイがパートナー国として加わり、ベトナムも招待を受けているという事実は、ASEANの経済的な重みが世界の協力枠組みの中で再評価されていることを示しています。インドネシアがBRICSという「家族」の一員として紹介されている点も、こうした流れを象徴する表現だと言えるでしょう。
これからの論点:ASEANとBRICSの「距離感」をどう見るか
インドネシアの正式加盟とASEAN諸国への相次ぐ招待によって、BRICSは単なる地域グループではなく、より広い国や地域を巻き込む国際的な協力プラットフォームへと変化しつつあります。ASEAN側にとっては、既存の枠組みとのバランスを取りながら、どこまでBRICSにコミットするのかという戦略的な選択がこれから一層重要になっていきます。
今後、マレーシアやタイ、ベトナムがBRICSとの関係をどのように深めていくのか、そして他のASEANメンバーがその流れに続くのかどうか。2025年に動き出したこの新しい局面は、2026年以降の国際経済秩序や「グローバルサウス」の力学を考えるうえで、重要な試金石となりそうです。
Reference(s):
Why BRICS affiliation is an attractive proposition for ASEAN countries
cgtn.com








