トランプ大統領の大量送還計画、米建設業への影響は? video poster
トランプ米大統領が指示する不法移民の大量送還計画が、米国の建設業界に大きな影響を与える可能性があります。移民労働に支えられてきた現場で、今何が懸念されているのかを整理します。
不法移民の「大量送還」計画とは
米国では、新たに就任したドナルド・トランプ米大統領の方針に基づき、書類上の在留資格を持たない移民を対象にした大規模な強制送還が「いつ始まってもおかしくない」とされています。治安対策や法の支配の徹底を掲げる一方で、経済や地域社会への影響を懸念する声も出ています。
今回議論になっているのは、数多くの移民の拘束・送還に踏み切る可能性があるとされる計画です。対象となるのは、就労許可証などの法的な滞在資格を持たない人々で、長年米国で暮らし、家族や仕事を持つ人も少なくありません。
移民に支えられてきた米国の建設業
こうした大量送還計画の影響が特に大きいとみられているのが、米国の建設業です。住宅建設から商業施設、インフラ整備まで、建設現場では多くの移民労働者が働いてきました。
中国の国際メディアであるCGTNのニッツァ・ソレダッド・ペレス記者のリポートも、建設業が移民を多く雇用している分野の一つだと指摘しています。現場で実際に作業を担う人の中には、在留資格がないまま賃金を得て生活している人も含まれています。
大量送還が想定される主な影響
では、不法移民の大量送還が実際に始まった場合、米国の建設業にはどのような影響が出るのでしょうか。大きく次の3点が懸念されています。
- 人手不足の急激な悪化
多くの現場で、熟練した移民労働者が突然いなくなる可能性があります。代わりの人材をすぐに確保することは難しく、工事が止まったり、受注を断らざるを得ない企業が出るかもしれません。 - コスト上昇と工期の遅延
労働力が不足すれば、賃金の引き上げや残業の増加が避けられず、建設コストは上がります。工事のペースも落ち、住宅やオフィスビル、インフラの完成が遅れれば、周辺の不動産市場や地域経済にも波及します。 - 地域コミュニティへの影響
建設現場で働いてきた移民の多くは、その地域に根を下ろし、家賃や消費を通じて地元経済を支えてきました。大量送還で人口が減ると、学校や商店など日常生活の場にも影響が出る可能性があります。
現場の労働者と企業のジレンマ
在留資格のない移民労働者にとって、大量送還計画は生活の基盤そのものが揺らぐ問題です。仕事に向かう途中や現場での摘発を恐れ、外出を控えたり、仕事を辞めざるを得ない人も出るとみられます。
一方、建設会社にとってもジレンマがあります。法令を順守しつつ現場の人員を確保しなければなりませんが、短期間で大量の労働力を合法的に確保するのは容易ではありません。採用や教育にかかるコストも増え、企業の経営を圧迫する可能性があります。
安全・公正・経済をどう両立させるか
不法滞在をどう扱うかは、治安や公平性の観点から無視できないテーマです。一方で、長年社会を支えてきた人々を一度に排除することが、本当に国全体の利益につながるのかという問いも浮かび上がります。
米国社会では、法の厳格な運用を求める声と、移民の人権や家族のつながりを重視する声がぶつかっています。建設業のように移民に大きく依存してきた産業では、その葛藤が特に鮮明に表れています。
日本への示唆:人手不足の時代に
日本でも建設業の人手不足が続き、海外からの労働力をどう受け入れるかが議論になっています。制度や規模は米国と異なりますが、「誰が社会の基盤を支えているのか」「その人たちの権利と生活をどう守るのか」という問いは共通しています。
トランプ政権の大量送還計画をめぐる動きは、米国の移民政策だけでなく、世界各地で進む労働力不足とグローバルな人の移動のあり方を考える材料にもなります。ニュースを追いながら、私たち自身の社会の姿も重ねて考えてみる必要がありそうです。
Reference(s):
Trump’s mass deportation plan could impact U.S. construction industry
cgtn.com








