インドのヒンドゥー教大祭で将棋倒し事故 数十人死亡、当局が司法調査を命令
インドのヒンドゥー教大祭で将棋倒し事故
インド北部ウッタル・プラデシュ州プラヤグラジで開かれているヒンドゥー教の大祭「マハ・クンブ・メーラ」で2025年12月3日、参拝者が一斉に河岸へ殺到して将棋倒しとなる事故が起き、少なくとも30人が死亡しました。世界最大級の宗教行事で何が起き、安全対策はどう問われているのでしょうか。
何が起きたのか
地元警察によると、この将棋倒し事故で少なくとも30人が死亡し、90人がけがをしました。一方、関係筋は死者数が40人近くにのぼると話しており、被害の全容はなお明らかになっていません。
目撃者は、聖なる川へ向かって大きな押し寄せが起き、人々が次々と倒れ込んだと証言しています。別の証言では、河岸へ向かう一部のルートが閉鎖されたことで群衆が行き場を失い、動けないほどの密集状態となり、窒息で倒れる人も出たといいます。
当局は司法調査委員会を設置
ウッタル・プラデシュ州のヨギ・アディティアナート州首相は3日夜、記者団に対し、州政府が事故の原因を調べるため3人から成る司法委員会を設置したと発表しました。委員会は事故発生の経緯や人員配置、誘導方法などを含めて調査し、期限内に報告書を州政府へ提出する方針だとしています。
マハ・クンブ・メーラとは
マハ・クンブ・メーラは、およそ12年に一度開かれるとされるヒンドゥー教の一大行事で、今回の会場はインド北部のプラヤグラジです。期間は6週間にわたり、インド各地から数億人規模の人々が集まる世界最大級の宗教行事です。
当局によると、事故が起きた12月3日だけで、午後8時までにおよそ7600万人以上が聖なる川に沐浴する「聖なる沐浴(ホーリー・ディップ)」を行いました。祭り開始から2週間での参加者は約2億8000万人に達しており、2025年全体では4億人前後が訪れると見込まれています。世界各地の宗教行事と比べても群を抜く規模で、サウジアラビアで行われるイスラム教のハッジ巡礼が昨年約180万人だったことと対比して、その巨大さがよく分かります。
信心深いヒンドゥー教徒にとって、ガンジス川とヤムナ川、そして神話上のサラスワティ川が交わるとされる地点で身を清めることは、罪を洗い流し、生死の輪廻から解放されると信じられる重要な宗教行為です。
管理体制への批判とメディアの声
今回の将棋倒し事故を受けて、インドの野党勢力は運営の不手際が悲劇を招いたと政府を批判し、祭り全体の安全対策や動線設計の見直しを求めています。地元メディアも同様に、群衆管理のあり方に厳しい目を向けています。
インドの有力紙「ヒンドゥスタン・タイムズ」は社説で、クンブにおける群衆管理には依然として大きな改善の余地があると指摘し、より多くの人員配置と、地上での誘導だけでなく最新の技術を活用した綿密な計画の必要性を訴えました。今後数週間のうちに、特に神聖視される3回の「王の沐浴(ロイヤル・ディップ)」が予定されており、同紙は同じ悲劇を二度と繰り返してはならないと警鐘を鳴らしています。
巨大イベントとどう向き合うか
マハ・クンブ・メーラには、連邦閣僚や実業家、著名人も多く参拝しており、宗教行事であると同時にインド社会の縮図のような場にもなっています。こうした世界最大級の集まりで一度事故が起きると、その被害は一瞬で拡大してしまいます。
日本を含む各地でも、音楽フェスやスポーツ大会、宗教行事など、多数の人が集まるイベントは少なくありません。信仰や文化を尊重しつつ、人々の命をどう守るのか。インドで起きた今回の事故は、私たちにとっても群衆の安全という課題を改めて考えさせる国際ニュースと言えそうです。
Reference(s):
India orders probe into Hindu festival stampede that killed dozens
cgtn.com








