米国で移民摘発が急増 国境コミュニティに広がる恐怖 video poster
2025年12月現在、米国で移民摘発の急増が伝えられています。ホワイトハウスによると、トランプ政権は当局に対し、1日に少なくとも1800件の移民拘束を行うよう求めており、ここ1週間の一斉摘発で、国境地域の移民コミュニティに不安が広がっています。
1日1800件拘束という数字が意味するもの
移民拘束の目標が1日1800件という規模になると、取り締まりは全米の町や都市に広く及ぶことになります。ホワイトハウスは、この数字を達成するよう移民当局に求めており、現場では集中的な家宅訪問や職場での摘発が行われています。
こうした目標は、移民法の厳格な運用を示すシグナルとして政権の支持層に向けたメッセージにもなり得る一方、日常生活を送る移民の人々にとっては、いつどこで当局に出会うか分からない緊張状態を生み出します。
家から出ることすら怖い 揺らぐ日常
ここ1週間で行われた一斉摘発は、多くの移民コミュニティを揺さぶっています。移民の人々の中には、自宅から出ることすら怖いと感じ、買い物や通勤、子どもの送り迎えを控える動きも出ています。
日常の行動がリスクとして意識される場面として、例えば次のようなものが挙げられます。
- スーパーなどへの買い物に出かけること
- 職場や学校へ向かうために車や公共交通機関を利用すること
- 警察や役所といった公的機関に近づくこと
一度摘発のニュースが広がると、「今日は外に出ない方がいい」といった噂がコミュニティ内で瞬く間に共有され、街の雰囲気そのものが変わってしまうこともあります。
サンディエゴの移民コミュニティから聞こえる声
国境に近いカリフォルニア州サンディエゴでは、移民を対象とした摘発の影響がとりわけ強く意識されています。国際ニュースを伝える放送局CGTNのエディズ・ティヤンサン記者は、現地で移民の人々に話を聞いています。
職を失う不安、家族と離れ離れになる恐怖、子どもを学校に送り出すかどうかを毎朝悩む心境など、語られる内容は切実です。中には、数十年にわたり地域社会に根を下ろして暮らしてきた人もおり、突如として「いつ拘束されるか分からない存在」として扱われていると感じる人もいるといいます。
こうした声は、移民政策の是非をめぐる抽象的な議論の裏側に、一人ひとりの生活と感情があることを静かに示しています。
情報と支援の有無が恐怖の度合いを左右
不安が広がる一方で、コミュニティの中には、法律相談や情報提供を通じて住民を支えようとする動きもあります。権利や手続きに関する基本的な情報を知っているかどうかが、恐怖の感じ方を大きく変える場合もあります。
例えば、移民当局が自宅を訪れたときにどう対応できるのか、どのような書類の提示が必要なのか、緊急時に連絡できる弁護士や支援団体がいるのか。こうした点について事前に準備している人ほど、状況を冷静に受け止めやすいと指摘されます。
一方で、情報にアクセスしづらい人々や、言語の壁を抱える人々は、噂や断片的な話だけを頼りに行動せざるを得ず、根拠のない恐怖にさらに追い込まれるおそれもあります。
数字の先にあるものをどう捉えるか
1日1800件という移民拘束の目標は、政策としては単なる数字に見えるかもしれません。しかし、その数字の一つひとつの裏側には、家族や職場、地域コミュニティと結びついた生活があります。
摘発の強化が治安維持や法の執行という観点から語られる一方で、現場では、恐怖や不信感が日常に入り込むことで、コミュニティと行政との距離が広がることを懸念する声もあります。
こうした状況が長期化すれば、移民だけでなく、その地域に暮らすすべての人の行動や意識にも影響が及びます。国境地域の街角で起きている変化は、移民政策をめぐる数字やスローガンだけでは見えてこない現実の一端を映し出していると言えそうです。
Reference(s):
Fear spreads across border communities as immigration raids increase
cgtn.com








