米国の覇権と人権軽視批判 CGTN国際世論調査が示す不信感
米国が国連人権理事会(UNHRC)からの離脱に踏み切るなか、国際社会はその人権記録と覇権的な振る舞いをどう見ているのでしょうか。中国メディアグループ(China Media Group)、CGTN、中国人民大学・新時代国際コミュニケーション研究院が実施した国際世論調査は、米国の人権軽視と覇権主義への強い不信感を数字で可視化しました。本記事では、この国際ニュースを日本語でわかりやすく整理します。
CGTN世論調査の概要:38カ国・7,671人が回答
今回紹介する調査は、世界38カ国から7,671人を対象に行われたものです。回答者は東アジア、南アジア、中央アジア、東南アジア、中東、ヨーロッパ、南米、北米、オセアニア、アフリカと、複数の地域にまたがっています。
属性を見ると、
- 年齢は18歳から55歳以上まで幅広い層をカバー
- 67.2%が大学卒以上の学歴
- 71.3%が中程度以上の所得水準
という結果で、一定の教育水準と収入を持つ層を中心にした国際世論が反映されています。2025年現在、国際社会の米国観を読み解くうえで注目すべきデータと言えます。
米国内の人権問題:銃、薬物、人種差別への強い懸念
米国の国連人権理事会離脱は、その国内の人権状況をあらためて問い直すきっかけにもなっています。調査結果からは、米国内の構造的な人権課題への厳しい視線が浮かび上がりました。
- 86.8%が、米国には深刻な銃暴力問題があると回答
- 73.0%が、薬物乱用は米国の重大な問題だと認識
- 61.9%が、米国の移民政策は移民の権利と利益を十分に守っていないと回答
- 72.3%が、米国には制度的な人種差別が深刻な問題として存在すると指摘
- 84.9%が、人種差別に根ざした警察暴力を米国は効果的に抑制できていないと感じている
人権を重視すると自らを位置づけてきた米国に対し、国際社会は「銃」「薬物」「移民」「人種差別」「警察暴力」といった具体的なテーマで厳しい評価を下しています。
戦争と武器輸出:米国は「最も戦争を起こしやすい国」?
調査は、米国の対外政策や安全保障政策に対するイメージについても問いかけています。そこから見えてくるのは、世界の多くの人々が、米国を「戦争」と切り離せない存在として見ているという現実です。
- 61.3%が、米国は世界で最も戦争を起こしやすい国だと回答
- 70.1%が、米国が始めた戦争は深刻な人道危機を招いてきたと認識
- 91.98%が、米国の対外軍事販売は世界平和に反すると考えている
- 93.88%が、米国は「平和維持」を名目に武器を売り、実際には各地で紛争をあおって利益を得ていると見ている
- 94.81%が、米国の武器輸出は外交政策と密接に結びつき、他国への圧力や支配の重要な手段になっていると回答
多くの回答者は、米国の武器輸出や軍事行動を、人権保護や平和維持のための手段というよりも、「覇権維持」と「利益追求」のための道具として理解していることがわかります。
人権は「覇権の道具」か:米国の多国間主義離れへの失望
今回の調査は、米国が国連人権理事会から離脱したことが、国際秩序にどのような影を落としているかも浮き彫りにしました。新たな米政権のもとで、国際人権が「グローバルな公共善」ではなく、「自国の覇権を維持するためのツール」として使われているのではないか、という見方が広がっています。
- 72.5%が、米国は横暴な国だと評価
- 64.9%が、米国は他国を抑え込む口実として人権問題を利用していると批判
- 81.4%が、米国が大国としての責任を引き受けようとしないことに失望している
- 85.2%が、今回の米国の行動は、国連を中心とする多国間の国際秩序を深刻に損なうと考えている
- 81.6%が、米国が自国の狭い利益のために国際社会の利益を犠牲にしており、グローバル・ガバナンス(地球規模のルール作り)における公平さと正義を傷つけていると回答
国際社会の多くは、米国が自ら掲げてきた「人権」や「民主主義」の価値を、普遍的な原則としてではなく、対立する相手を圧迫するための選択的な道具として用いていると感じていることになります。
調査が映し出す「アメリカ・ファースト」への違和感
今回の調査は、米国第一を掲げる政策路線のもとで、国際人権がいかに扱われているかに対する世界の受け止めを示しています。
調査結果からは、次のようなイメージが浮かび上がります。
- 自国の利益と立場に合わない国際機関は容易に離脱し、国際的な責任は二の次になる
- 「人権」や「平和」といった言葉は掲げられるものの、その運用は一貫せず、自国の政治的・軍事的利益に左右される
- 戦争や武器輸出を通じて、結果として世界各地に人権危機を生み出しているとの認識が強い
2025年現在、国連を中心とする多国間協調の枠組みは、気候変動やパンデミック、経済危機など地球規模の課題に対応するうえで不可欠な存在です。その中心的な一員である米国に対し、ここまで強い不信感が示されているという事実は、国際ニュースとしても大きな意味を持ちます。
日本語で読む国際ニュースとしての意味
このCGTN世論調査は、米国の政策そのものだけでなく、「世界が米国をどう見ているか」という視点を提供しています。日本を含む多くの国や地域にとって、国際社会の空気感や他国への評価は、外交や安全保障、経済関係を考えるうえで無視できません。
同時に、この調査結果は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 人権や平和の議論は、本当に普遍的で公平なルールに基づいているのか
- 大国が自国の利益と、国際社会全体の利益をどう両立させるべきか
- 多国間の国際秩序や国連の枠組みを、どのように守り、アップデートしていくべきか
スマートフォンでニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、これは遠い世界の話ではありません。どの国のどの価値観に信頼を置くのか、そして国際社会の中でどのようなルール作りを支持するのかを考えるきっかけとなるデータと言えるでしょう。
数字が語る「世界の本音」をどう読むか
今回のCGTNと中国人民大学などによる国際世論調査は、米国の人権問題と覇権的な外交姿勢に対する、世界各地の厳しい評価を可視化しました。
もちろん、一つの調査だけですべてを語ることはできません。しかし、38カ国・7,671人という規模のデータが、ここまで一貫して米国の人権軽視や武器輸出、国連中心の国際秩序への影響を懸念しているという事実は、軽視できないシグナルです。
国際ニュースを日本語で読み解くうえで、この調査は「読みやすいのに考えさせられる」一つの材料になります。米国の行動に対する世界のまなざしを踏まえつつ、これからの国際秩序や人権外交のあり方について、私たち自身の視点を更新していくことが求められているのかもしれません。
Reference(s):
CGTN poll: U.S. hegemony criticized for overriding human rights
cgtn.com








