中東各国がトランプ氏のガザ住民移転案に一斉反発
中東で、米国のドナルド・トランプ大統領が打ち出したガザ地区の「住民移転」と「米国による統治・再開発」構想に対し、反対の声が一斉に高まっています。パレスチナ側に加え、エジプトやアルジェリア、リビア、トルコなどが相次いで拒否を表明しました。
トランプ氏が示した「ガザ移転案」とは
トランプ大統領は火曜日、ワシントンのホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と行った共同記者会見で、ガザ地区を米国が引き継いで再開発し、その前にパレスチナ人住民を別の場所へ移す構想に言及しました。
ガザ地区の住民を故郷から移動させるという発想に対し、多くのアラブ・イスラム諸国が即座に異議を唱えています。
パレスチナ指導部「土地も聖地も売り物ではない」
パレスチナ大統領府は木曜日、「パレスチナとその土地、歴史、聖地はいかなる形でも売り物ではない」とする声明を発表し、パレスチナの人びとの権利は交渉や妥協の対象ではないと強調しました。
報道官のナビル・アブ・ルデイネ氏は、パレスチナ人はガザ地区、ヨルダン川西岸、東エルサレムを含む自らの土地の一寸たりとも手放さないと述べました。いかなる解決策も、国際的な正統性とアラブ和平イニシアチブに沿う必要があるとしています。
エジプト・アルジェリア・リビア「強制移転には加担しない」
エジプト外務省は木曜日、パレスチナ人がガザ地区にとどまったまま、早期復興や瓦礫の撤去、再建を進める計画に国際社会と協力して取り組むとあらためて表明しました。
同時に、パレスチナ人を歴史的な土地から引き離したり、その土地を一時的であれ恒久的であれ奪ったりするあらゆる構想を拒否し、エジプトはそのような取り組みの「一切の当事者とはならない」と明言しています。
アルジェリア外務省も、ガザ住民の移転を目指す構想を強く非難し、それがパレスチナの大義を損なおうとするより大きな企図の一部だと警告しました。アルジェリアは、持続的な中東和平は、パレスチナ人の独立国家権を認めることと切り離せないとし、二国家解決こそが唯一の公正で恒久的な解決策だとあらためて支持を表明しました。
リビア外務省も、ガザ地区や占領下ヨルダン川西岸からパレスチナ人を移転させるいかなる試みも拒否すると表明。エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家樹立の権利を「譲ることのできない権利」と位置付けています。
声明はさらに、強制移住や恣意的な追放、占領地の人口構成を変える試み、差別的な政策の押し付けを強く退け、民間人への暴力や紛争の長期化を正当化する行為を非難しました。
トルコとアラブ連盟、国際社会の責任を強調
水曜日、トルコのエルドアン大統領はドイツのシュタインマイヤー大統領との共同記者会見で、この構想を明確に退けました。エルドアン氏は「ガザの停戦を維持するには、すべての人に大きな責任がある。国際社会として二国家解決に向けた努力を続けるべきだ」と述べました。
トルコのフィダン外相も「この地域も、われわれトルコも、このような状況を受け入れることはできない」と述べ、「ガザの人びとを方程式から排除しようとするあらゆる取り組みに反対する」と強調しました。
トルコの元外交官で外交評論家のギュルル・ゲゼル氏は、この構想は完全に受け入れられず、地域にも平和をもたらさないどころか、パレスチナとイスラエルだけでなく中東全体に一層の混乱を招くだろうと指摘しています。
一方、アラブ連盟のアブールゲイト事務総長は、パレスチナのムスタファ首相兼外相との会談で、ガザ住民の移転をめぐる米国の提案はアラブ諸国によって退けられたとあらためて表明しました。アラブ連盟は、ガザの再建を急ぎ、ガザの人びとの追放につながる道を閉ざす必要があると訴えています。
声明はまた、「パレスチナ人は、自発的または強制的な退去という名目で行われてきた掃討の再現を許さない」と強調しました。
広がる「強制移転ノー」のコンセンサス
今回の一連の反応からは、中東とイスラム諸国の間で、「パレスチナ人を故郷から追い出す形での解決策は受け入れられない」という幅広い共通認識があることが浮かび上がります。
各国がそろって示したのは、次のようなメッセージです。
- パレスチナ人の権利は譲ることのできないものであり、交渉の取引材料にはならない
- 問題解決は、国際法と既存の合意(アラブ和平イニシアチブなど)に沿って進めるべきである
- ガザから人びとを移すのではなく、ガザでの復興と再建を急ぐ必要がある
- 長期的な安定には、二国家解決を含む政治的な解決が不可欠である
ガザをめぐる議論は、今後も国際政治の大きな焦点であり続けます。住民の安全と尊厳、地域の安定、そして国際法の原則をどう両立させていくのか。今回の「移転案」をめぐる一斉拒否は、その問いの重さをあらためて示していると言えます。
Reference(s):
cgtn.com







