米国関税の脅威、カナダのメープルシロップ産業に懸念広がる video poster
米国がカナダ産品への関税発動を30日間一時停止する中で、その「脅威」だけがカナダ経済にじわじわと影を落としています。なかでも、カナダのメープルシロップ産業が将来への不安を強めています。
米国関税の「30日間の一時停止」とカナダ経済
米国によるカナダ産輸出品への関税は、2025年初めの時点で30日間の一時停止措置が取られていました。しかし、あくまで「猶予」であり、いつ関税が実際に発動されるか分からない状況が続いています。
この不透明さは、製造業や農業などカナダのさまざまな産業に広がる懸念の一因となっています。その中には、カナダの象徴的な産業のひとつであるメープルシロップ産業も含まれています。
メープルシロップ産業が直面する可能性のある打撃
関税が発動されれば、メープルシロップをはじめとするカナダ産品の価格は、米国市場で相対的に高くなる可能性があります。そうなれば、需要の減少や取引条件の悪化につながるおそれがあります。
カナダのメープルシロップ産業からは、次のような懸念が示されています。
- 将来的な関税負担を見通せないため、投資や生産計画を立てにくくなること
- 輸出先が限られている場合、米国市場での販売減少がそのまま収益悪化につながりかねないこと
- 価格が上昇すれば、消費者が代替品に流れる可能性があること
現時点で関税はまだ発動されていないにもかかわらず、「発動するかもしれない」というリスクだけで企業や生産者の心理に影響が出ている点が注目されます。
トルドー首相が呼びかけた2月7日の会合
こうした緊張感が高まる中、カナダのジャスティン・トルドー首相は、2025年2月7日に国内のビジネスリーダーを招いて会合を開く方針を示していました。
この会合では、米国との関係が不安定になるリスクを踏まえ、貿易の多角化を進めることや、カナダ経済をどのように底上げしていくかが議題となる見通しでした。メープルシロップ産業を含む各業界にとっても、自らのビジネスモデルを見直すきっかけとなり得る場だと受け止められています。
「貿易の多角化」が意味するもの
トルドー首相が掲げた「貿易の多角化」とは、簡単に言えば特定の国や地域への依存度を下げ、新しい市場やパートナーを開拓していく取り組みです。
具体的には、
- 輸出先の国・地域を増やすこと
- 原材料や販売先を一国に集中させないサプライチェーン(供給網)づくり
- 新しい製品やサービスを開発し、別の市場にも展開できるようにすること
といった方向性が考えられます。関税の脅威にさらされるメープルシロップ産業にとっても、新たな販路の開拓やブランド戦略の再構築は、リスク分散の鍵となりそうです。
日本にとっても他人事ではないテーマ
米国とカナダの間で起きている関税をめぐる駆け引きは、日本にとっても無関係ではありません。特定の国に輸出や調達を依存する構造は、多くの国や企業が抱える共通の課題だからです。
たとえば、
- 「どこまで一つの市場に依存してよいのか」
- 「政治や外交の変化がビジネスに与える影響をどう見極めるか」
- 「リスクを織り込んだうえで、どのように長期戦略を描くか」
といった問いは、日本企業や日本の農業・食品産業にもそのまま当てはまります。
カナダのメープルシロップ産業が直面する不安と、トルドー首相が呼びかけた貿易多角化の議論は、グローバル経済のなかでどの国も避けて通れないテーマを映し出しています。こうした動きを追うことは、日本で暮らす私たちにとっても、自国の経済や産業の在り方を考えるヒントになりそうです。
今回の状況については、CGTNのダン・ウィリアムズ記者が現地から伝えています。
Reference(s):
Canada’s maple syrup industry could be hit from U.S. tariff threats
cgtn.com








