南キブ州で暴力激化 コンゴ民主共和国東部で避難拡大と保健危機
コンゴ民主共和国東部で、北キブ州ゴマ周辺の戦闘が一時的に沈静化する一方、南キブ州で暴力が激化し、大規模な住民避難と保健危機が深刻化しています。国連の人道機関や世界保健機関(WHO)は、数十万人規模の移動と医療体制の崩壊を警告しています。
南キブ州で暴力が再燃 爆撃で民間人負傷とインフラ被害
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、南キブ州では暴力が増加し、爆撃によって民間人とインフラが被害を受けています。
州都ブカブから北に約60キロの町ニャビブウェでは、爆撃により3人の民間人が負傷し、送電設備などの電力インフラが損傷しました。こうした攻撃は、すでに不安定な地域の生活基盤をさらに弱体化させています。
数千人が避難 ブカブ周辺に人の波が押し寄せる
南キブ州では、続く武力衝突により民間人の犠牲が発生し、数千人規模の住民が避難を余儀なくされています。多くの人々が戦闘地域から逃れ、南キブ州の中心都市ブカブ周辺へと移動しています。
しかし、そのブカブもまた、武装勢力「3月23日運動(M23)」による攻撃の脅威にさらされています。安全を求めてたどり着いた場所自体が新たな危険に直面しているという、二重のリスクが浮き彫りになっています。
ゴマ周辺では一部沈静化も NGO職員3人死亡で支援に打撃
北キブ州の占拠された都市ゴマでは、戦闘が一部沈静化しつつあるとされる一方で、人々の移動は続いています。国連の人道関係者は、現在も数十万人規模の人々がゴマ市内外を移動しているとして、現地の状況を評価しています。
OCHAの推計では、ゴマの北東に位置するニイラゴンゴ準州では、約3万3千人が村々に戻っているとされています。とはいえ、この「帰還」が長期的な安定を意味するかどうかは依然として不透明です。
一方で、人道支援の現場では深刻な犠牲も出ています。OCHAによれば、北キブ州で行われた爆撃により、3人の非政府組織(NGO)職員が水曜日に死亡しました。この攻撃を受け、同地域での食料と農業支援は一時停止を余儀なくされました。
NGO職員の安全が確保されない状況では、支援そのものが成り立たたないという厳しい現実が浮き彫りになっています。
破壊された医療施設 慢性疾患や心のケアも打撃
世界保健機関(WHO)は、北キブ州にある多くの医療施設がこれまでの戦闘で破壊され、残った施設も再開に苦しんでいると報告しています。
がん、糖尿病、高血圧などの慢性疾患の治療や、精神保健を含む日常的な医療サービスも、大きな影響を受けています。医薬品は不足し、医療従事者は不在か、あるいは過重な負担にさらされています。
感染症リスクが急増 コレラやはしかなど複合危機に
医療体制の脆弱化と避難民の急増は、感染症のリスクを一気に高めています。WHOは、北キブ州で以下の感染症が懸念されているとしています。
- コレラ
- マラリア
- はしか
- 髄膜炎
- サル痘(mpox)
- 結核
今年1月1日から27日の間だけで、北キブ州では約600件のコレラ疑い症例と14人の死亡が報告されています。
ゴマでは水道インフラも被害を受け、給水は一部地域でしか復旧していません。このため住民の多くはキブ湖の水に頼らざるを得ず、十分な浄水や衛生対策が取れないままコレラのリスクが高まっています。
WHOが緊急支援 1千床分のテントも「すでに枯渇寸前」
WHOは、北キブ州の危機に対応するため、緊急医療物資や衛生用品、水処理キット、そして病院の収容能力を拡大するためのテントを投入しました。これにより、約1,000床分の追加ベッドを確保したとしています。
しかし、こうした物資は急速に消費されており、現地ではさらなる支援が緊急に必要とされています。
現在の状況から見える優先課題としては、
- 医療施設と医療従事者の安全確保と機能回復
- 安全な飲料水と衛生環境の確保
- 避難民や受け入れ地域への継続的な食料・生活支援
- 人道支援団体が活動できるための安全なアクセスの確保
といった点が挙げられます。
日本から遠い危機をどう受け止めるか
コンゴ民主共和国東部で続く暴力と人道危機は、日本から見ると地理的にも心理的にも遠い出来事に思えるかもしれません。しかし、医療や水、電力といった「当たり前のインフラ」が一度崩れると、感染症の拡大や生活基盤の喪失が連鎖的に起きることは、どの地域にも共通する教訓です。
国際ニュースを追うことは、遠い国の出来事を知るだけでなく、自分たちの社会の脆弱性や、支え合いの仕組みを考え直すきっかけにもなります。この危機が長期化する中、私たちは何に関心を向け、どのような形で関わることができるのか。身近な人と話題にしてみることも、一つのスタートかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








