アラブ諸国、イスラエルの「パレスチナ国家はサウジに」案を一斉批判
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、パレスチナ国家はパレスチナではなくサウジアラビアに設立すべきだと受け取れる発言を行い、パレスチナやアラブ首長国連邦(UAE)などアラブ諸国から「主権の侵害」だとして強い非難が相次いでいます。
何が起きたのか
現地時間の土曜日、ネタニヤフ首相はイスラエルのテレビ局「チャンネル14」のインタビューで、サウジアラビアに関する考えを語りました。その中で、サウジアラビアには広大な土地があるとして、パレスチナ国家はサウジアラビアに設立できるとの趣旨の発言を行いました。
この発言に対し、アラブ諸国からは「パレスチナとサウジアラビア双方の主権を侵害する」「国際法の基本原則に反する」といった強い言葉での批判が相次いでいます。
パレスチナ側の強い反発
パレスチナ外務省は声明で、ネタニヤフ氏の提案を「人種差別的で反平和的なもの」だと非難し、「サウジアラビアの主権と安定への侵害だ」と強調しました。
声明はさらに、イスラエルによる「扇動」に対抗するサウジアラビアへの全面的な支持と連帯を表明し、国際社会に対してネタニヤフ氏の提案を公式に非難するよう訴えました。
パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のフセイン・アルシェイフ書記長も、イスラエル側の発言はサウジアラビアの主権を標的にしたものであり、国際法や各種国際条約への違反だと指摘しました。アルシェイフ氏は交流サイト「X」への投稿で、「パレスチナ国家はパレスチナの土地の上にしか存在しない」と強調しています。
UAEも「受け入れ難く挑発的」と批判
アラブ首長国連邦(UAE)も、ネタニヤフ氏の発言を「受け入れ難く挑発的」と表現し、「国際法および国連憲章に対する明白な違反だ」と批判しました。
UAEのハリファ・ビン・シャヒーン・アルマラール国務相は、自国がサウジアラビアの安全と安定、主権を揺るぎなく支持していると述べ、サウジアラビアとの連帯を改めて強調しました。
サウジアラビアの反応はまだなし
報道によると、サウジアラビア当局からは、ネタニヤフ氏の発言に対する即時の公式コメントは出されていません。2025年12月8日現在も、サウジアラビア側の詳細な反応は伝えられていない状況です。
なぜここまで問題視されるのか
今回の発言が強い反発を招いている背景には、主に次のような点があります。
- パレスチナ国家の場所を、当事者であるパレスチナ人の土地ではなく、別の主権国家の領土に「移す」発想だと受け取られたこと
- サウジアラビアの領土をどう使うかについて、サウジアラビア側の意思とは無関係に論じたと見なされ、主権の問題と結び付いたこと
- これまで国連などで議論されてきた「二国家解決」の枠組みから大きく外れていると受け止められていること
パレスチナ側は長年、自らの土地の上に主権国家としてのパレスチナ国家を樹立する権利を主張してきました。その文脈から見ると、「パレスチナ国家は別の国に設立すればよい」というアイデアは、自決権そのものを軽視していると映りやすいといえます。
国際法と二国家解決の視点
今回の議論では、「国際法」や「国連憲章」という言葉が繰り返し登場しています。パレスチナ外務省やPLO、UAEが指摘しているのは、おおまかに次のような点です。
- 各国の主権と領土保全を尊重するという国際法上の原則
- 一方的な領土の再配置や、当事者の同意なき「国家構想」が緊張を高めかねないこと
- パレスチナ問題については、当事者間の合意に基づく政治的解決が求められてきたという国際的な流れ
ネタニヤフ氏の発言は、こうした既存の枠組みから大きく外れたものと受け止められ、アラブ諸国から「反平和的」と評価されていると整理できます。
私たちが押さえておきたいポイント
通勤時間やスキマ時間にニュースを追う私たちにとって、今回の出来事から考えられるポイントを簡単にまとめてみます。
- パレスチナ国家の「場所」をめぐる議論は、領土問題だけでなく、人々の自決権や歴史的な記憶とも深く結び付いている
- 第三国の領土を前提にした解決案は、主権や尊厳の観点から強い反発を招きやすい
- 国際法や国連憲章は、対立のなかでどこまで現実の政治に影響力を持ちうるのかという問いを改めて投げかけている
サウジアラビアが今後どのような立場を示すのか、また国際社会がこの発言をどう受け止め、パレスチナ問題の政治的解決にどのような影響が出るのかが、今後の注目点となりそうです。
Reference(s):
Arab nations reject Israel's Palestinian state plans in Saudi Arabia
cgtn.com








