UAEがパレスチナ人移転案を拒否 ガザと二国家解決をめぐる国際ニュース
UAEがパレスチナ人の移転案を明確に拒否
アラブ首長国連邦UAEのムハンマド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン大統領は、アブダビで行われた米国務長官マルコ・ルビオ氏との会談で、パレスチナ人を自らの土地から移転させる提案を受け入れない姿勢を示しました。国営通信WAMが伝えています。
この発言は、ドナルド・トランプ米大統領がガザ地区を米国が引き受け、住民をヨルダンやエジプトへ再定住させる構想を打ち出したことを受けたものです。アラブ諸国だけでなく、西側の同盟国の間でも強い反発が広がっており、中東外交の大きな焦点になっています。
トランプ構想とは 15か月の軍事作戦後のガザを巡る案
トランプ氏の提案は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が15か月にわたり続き、ガザの大部分が廃墟と化した状況の中で示されました。約230万人とされる住民のほぼ全員がホームレス状態に追い込まれているとされています。
報道によると、構想の柱は次の二点です。
- ガザ地区を米国が事実上管理する
- ガザに住むパレスチナ人をヨルダンとエジプトへ再定住させる
しかし、この案はパレスチナ人を故郷から切り離すものであり、アラブ諸国や西側の同盟国からも強い懸念が示されています。
UAEが示した三つのメッセージ
ムハンマド大統領はルビオ国務長官との会談で、ガザ情勢と今後の和平プロセスについて、少なくとも三つの重要なメッセージを打ち出しました。
- パレスチナ人の土地からの移転を認めない
- ガザの再建を二国家解決への道筋と結び付けるべきだ
- 地域外交の枠組みの中で解決策を模索する必要がある
パレスチナ人の強制的な移転にノー
第一に、大統領はパレスチナ人の土地からの退去や移転を求める案を明確に拒否しました。ガザからヨルダンやエジプトへ人々を移す構想は、紛争当事者だけでなく周辺国の安定にも直結する問題であり、中東の主要国が異議を唱えた意味は小さくありません。
ガザ再建を二国家解決と結び付ける
第二に、ムハンマド大統領はガザの復興を、イスラエルと将来のパレスチナ国家が並び立つ二国家解決への道筋と結び付けるべきだと強調しました。
単なるインフラの再建ではなく、パレスチナ人の権利と安全、そしてイスラエル側の安全保障も含めた政治的枠組みが不可欠だという視点です。UAEは再建支援と和平プロセスを切り離さないことを重視しているといえます。
正常化した関係を背景に重み増すUAEの発言
第三に、UAEの立場そのものが重みを持っています。UAEはトランプ政権一期目の時期にイスラエルとの関係を正常化した四つのアラブ諸国の一つであり、過去のガザ紛争後には復興資金の拠出にも関わってきました。
そのUAEが、ガザの住民を他国へ移す案に反対し、二国家解決を改めて支持したことは、アラブ諸国とイスラエルの関係に新たなメッセージを送るものと受け止められています。
アラブ外交はトランプ構想への代案づくりへ
報道によると、現在のアラブ外交の大きなテーマは、トランプ構想に代わるガザの将来像と再建計画をまとめることです。長期化した軍事作戦で壊滅的被害を受けた地域をどう立て直し、誰がどのように統治するのかという難しい課題が横たわっています。
エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、UAE、カタールの各国首脳は、今月中にサウジアラビアの首都リヤドで会談を行い、ガザを巡る計画について協議する見通しです。その上で、来年3月にエジプトの首都カイロで開かれる見通しのアラブ連盟首脳会議に、アラブ側としての案を提示することが想定されています。
このニュースから考えたいポイント
今回のUAEの動きは、ガザの将来だけでなく、パレスチナ問題全体の行方にも影響しうるものです。私たちがニュースを追ううえで、次のような点を意識しておくと全体像が見えやすくなります。
- パレスチナ人の強制的な移転が、長期的な和平や地域の安定にどのような影響を与えるのか
- ガザの再建を、インフラ復旧にとどまらず、二国家解決など政治的な枠組みとどう結び付けていくべきか
- アラブ諸国と米国を含む国際社会が、どのような役割分担で和平プロセスを支えうるのか
今月中に予定されるリヤドでの首脳会談、そして来年3月のアラブ連盟首脳会議に向けて、中東の各国がどのような共通の立場を打ち出すのか。ガザの人々の暮らしと、イスラエル・パレスチナ双方の安全保障をどう両立させるのかを考えるうえで、引き続き注視したい動きです。
Reference(s):
cgtn.com








