トランプ政権の連邦職員大量解雇、米地裁が当面容認
ワシントンの連邦地裁判事が、トランプ政権による連邦職員の大量解雇を差し止めない判断を示し、政権の「官僚機構スリム化」方針が当面続く見通しとなりました。
トランプ政権の大量解雇、当面続行へ
米ワシントンD.C.の連邦地裁で木曜日、Christopher Cooper判事が、トランプ政権による連邦職員の大規模な解雇を一時的に止めてほしいと求めていた労働組合側の申し立てを退けました。これにより、およそ230万人とされる連邦政府の職員を対象とした人員削減は、少なくとも当面は続行されることになります。
Cooper判事は、トランプ氏が就任後最初の1カ月で連発した一連の大統領令が、米社会の広い範囲に「混乱や混沌」をもたらしたとしながらも、数万人規模の職員解雇の合法性そのものを連邦地裁が判断する権限は、自身にはおそらくないとの見方を示しました。
裁判所はなぜ止めなかったのか
判決文の中でCooper判事は、連邦地裁の判事は、当事者が誰であれ、また一般の人々にどのような影響が及ぶ場合であっても、「法と判例を公平に適用する義務を負っている」と強調しました。
今回のポイントは、トランプ政権の方針が妥当かどうかではなく、「この場でそれを判断できるのか」という手続き上の問題に置かれています。判事は、連邦職員の解雇をめぐる争いは、まずは連邦労使関係局(Federal Labor Relations Authority)に持ち込まれるべきだとの考えを示しました。この機関は、連邦機関と職員組合との間の労使紛争を扱う場とされています。
こうした判断により、裁判所は差し止め命令の発出を見送り、トランプ政権側にとっては当面の勝利となりました。政権は、無駄や不正とみなす政府支出を削減するためとして、連邦官僚機構の大幅な縮小を掲げています。
労働組合は「議会の権限を迂回」と批判
今回、申し立てを行ったのはNational Treasury Employees Union(財務関連の連邦職員を組織する労組)など複数の組合です。同組合のDoreen Greenwald議長は、今回の判断を「一時的な後退」と位置づけたうえで、法的な挑戦を続ける姿勢を明らかにしました。
Greenwald氏は声明で、政権の行動について、連邦機関とその重要な任務を設置・監督する権限を持つのは連邦議会であるにもかかわらず、それを迂回する違法なやり方だと批判しています。
どの機関が対象になっているのか
労組側が提訴したのは、8つの連邦機関による大規模な人員削減と、早期退職を促す買い取り制度の実施を止めることを求めるものでした。対象とされているのは、以下のような機関です。
- 国防総省(Department of Defense)
- 保健福祉省(Department of Health and Human Services)
- 消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)
- 退役軍人省(Department of Veterans Affairs)
- そのほか4つの連邦機関
訴状によれば、これらの機関では、数千人規模の職員解雇や、自発的な退職を促す買い取り制度の導入が計画されています。連邦政府全体では約230万人が雇用されており、その一部が今回の削減の対象となっています。
連邦労使関係局に舞台が移る可能性
Cooper判事が示したとおり、この問題は今後、連邦労使関係局で本格的に争われる可能性が高まっています。同局は、連邦機関と労働組合の間の紛争を専門に扱う3人委員会で構成されています。
トランプ氏は先週、この3人委員会の民主党系委員長を解任しており、解任された委員長は自らの復職を求めて訴訟を起こしています。機関そのもののトップ人事も揺れる中で、連邦職員の雇用をめぐるルールづくりがどのような方向に進むのかが注目されます。
ホワイトハウスと司法省は沈黙
判決について、ホワイトハウスと米司法省は直ちにはコメントを出していません。政権が今後も同様の解雇や人員削減をどこまで進めるのか、また、それに対し労働組合側がどのような戦略で対抗していくのかは、引き続き不透明なままです。
相次ぐ法廷闘争とその意味
今回の判断は、トランプ政権による連邦官僚機構の縮小に対し、労組側が法廷で対抗しようとする動きにとって、最新の逆風となりました。これまでにも少なくとも2人の連邦判事が、労組側には直接的な損害が立証されておらず、訴える資格(訴訟上の地位)がないとして、大量解雇などに対する訴えを退けています。
連邦職員の雇用の安定性、連邦議会と大統領との権限のバランス、そして政権交代時にどこまで官僚機構を短期間で変えられるのか──。今回の一連の動きは、こうしたアメリカの統治システムの根幹にかかわる論点を投げかけています。
日本でも、官僚機構改革や公務員制度の議論は繰り返し起きています。アメリカで進む連邦公務員の大幅削減をめぐる攻防は、国の行政を誰がどのように支えるべきかを考えるうえで、示唆に富む事例と言えるでしょう。
Reference(s):
Judge allows Trump's mass firings of federal workers to continue
cgtn.com







