エクアドルで若者失業が深刻化 10人中8人が正式雇用なし video poster
エクアドルで若者の失業と不安定な雇用が深刻化しています。非営利団体の共同調査によれば、若者10人のうち8人が正式な仕事を見つけられていないとされ、ラテンアメリカ全体の構造的な雇用危機を象徴する数字になっています。
若者10人中8人が「正式な仕事」を持てない現実
非営利団体のChildren InternationalとEmpleo Joven Ecuadorが実施した共同調査は、エクアドルにおける若者の雇用状況の厳しさを浮き彫りにしました。調査によると、多くの若者が仕事を探しているにもかかわらず、社会保障や安定した契約がある「正式な雇用」に就くことができていません。
ここでいう正式な仕事とは、労働契約書が交わされ、年金や医療保険などの社会保障にアクセスでき、最低賃金や労働時間が法律で守られる雇用形態を指します。エクアドルでは、そのような条件を満たす仕事に就けない若者が圧倒的多数を占めているということになります。
ILOが警告するラテンアメリカの「若者雇用リスク」
エクアドルの状況は、ラテンアメリカ全体の傾向とも重なります。最新の国際労働機関(ILO)の報告書は、地域の若者をめぐって次のような懸念を示しています。
- インフォーマル(非公式)な働き方の拡大
- 男女間の雇用・賃金ギャップの拡大
- 短期契約や不安定な仕事の増加による将来不安
ILOの報告は、ラテンアメリカの多くの若者が、景気の波や社会情勢の変化に対して非常に脆弱な立場に置かれていることを示しています。エクアドルの数字は、その問題がもはや一部の国だけの課題ではないことを物語っています。
インフォーマル雇用に押し出される若者たち
正式な仕事が見つからない若者の多くは、インフォーマル雇用と呼ばれる領域で働くことになります。例えば、日雇いの仕事、小規模な家族経営の商売、路上販売、プラットフォーム経由の配達やサービスなどです。
インフォーマル雇用は、収入がその日暮らしになりがちで、病気や事故が起きても補償を受けにくいという特徴があります。景気が悪化した際には真っ先に仕事を失いやすく、教育やスキルを積み上げる機会も限られます。
エクアドルで若者10人中8人が正式な仕事を持てないという状況は、多くの若者がこうした不安定な働き方に追い込まれている可能性を示唆しています。
見えにくいジェンダー格差
ILOの報告書が指摘するように、ラテンアメリカでは若者の雇用をめぐるジェンダー格差も問題になっています。家事やケアの負担が女性に偏りがちな社会では、若い女性ほどフルタイムでの就業やキャリア形成が難しくなりやすいとされます。
正式な雇用が限られるなかで、育児や介護と両立しやすい仕事はさらに少なくなり、結果としてインフォーマルな仕事や、より低賃金の仕事を選ばざるを得ないケースも出てきます。エクアドルの厳しい雇用環境は、こうしたジェンダーの不均衡をさらに拡大させるリスクをはらんでいます。
「働いても不安」は社会全体の課題
若者が仕事を見つけられない、あるいは見つけても不安定な仕事しかないという状況は、単に個人の問題にとどまりません。長期的には、次のような影響が懸念されます。
- 消費や投資を控えることで、内需の回復が遅れる
- 教育への投資が難しくなり、次世代のスキル形成が阻害される
- 将来への期待が持ちにくくなり、社会への信頼感が揺らぐ
エクアドルの若者が直面する就労不安は、ラテンアメリカ全体に共通する「しごとがあっても安心できない」という感覚とつながっています。
どのような対策が議論されているのか
若者の雇用危機に対して、ラテンアメリカ各地ではさまざまな政策や取り組みが議論されています。一般的には、次のような方向性が注目されています。
- 教育と職業訓練の連携を強め、企業が求めるスキルを身につけやすくする
- インターンシップや見習い制度を通じて、初めての職務経験を積む機会を増やす
- 若者の起業を支えるための小規模融資やメンター制度を整える
- 女性や社会的に脆弱な立場にある若者を対象にした就労支援プログラムを拡充する
こうした取り組みは一朝一夕で成果が出るものではありませんが、若者が「働きたいのに働けない」状態から抜け出すための重要な足がかりとみなされています。
キト発・若者の声が映す未来
エクアドルの首都キトから伝えられる現地の様子には、複雑な空気が漂っています。大学を卒業しても希望する仕事が見つからず、複数の短期の仕事を掛け持ちする若者。家計を支えるために学業をあきらめ、インフォーマルな仕事に就く若者。将来の計画を立てたくても、収入が不安定なため踏み出せない若者もいます。
一方で、地域のコミュニティや非営利団体が連携し、職業訓練や相談窓口を設ける動きも広がっています。Children InternationalやEmpleo Joven Ecuadorのような団体による調査・支援活動は、問題の「見える化」と同時に、解決への手がかりを探る試みでもあります。
エクアドルでの若者失業危機は、ラテンアメリカの未来を占う重要なシグナルです。若者が安心して働き、生活を築ける環境をどう整えていくのか。その問いは、エクアドルだけでなく、世界各地で静かに共有されつつあります。
Reference(s):
cgtn.com








