メキシコ湾をGulf of Americaに改名 トランプ大統領令に揺れるメキシコ video poster
今年始まったトランプ米大統領の2期目で、象徴的な一手として注目を集めているのが、メキシコ湾の英語名をGulf of Americaに改めるという大統領令です。アメリカ国内だけでなく、海を挟んだ隣国メキシコで強い反発と議論を呼んでいます。
何が変わるのか 大統領令の中身
大統領令は、連邦政府機関が用いる公式文書や地図などで、Gulf of MexicoではなくGulf of Americaという名称を使用するよう定めたものとされています。海域そのものの範囲や国境線、資源の権利配分など、国際法上の取り決めが変わるわけではありませんが、象徴的な意味合いは小さくありません。
英語名称の変更は、米国内向けの政治的メッセージと受け止める見方もあります。一方で、名称にメキシコという国名が入っていた海をアメリカの名に置き換えることは、メキシコの人々の歴史的なアイデンティティに触れる問題でもあります。
メキシコ政府の懸念と外交的な対応
メキシコでは、この決定が明らかになって以来、政府や議会から懸念の声が相次いでいます。メキシコ外務当局は、歴史的に定着した地名を一方的に変更することは望ましくないとしつつ、対話を通じて問題を扱う姿勢を強調しています。
メキシコ側は、海の名称は複数の国が共有する資産であり、関係国の合意なく一国が決めるべきではないと主張しています。これまで築いてきた経済連携や安全保障協力に悪影響を及ぼしたくない一方で、自国の尊厳も守らなければならないという難しい立場にあります。
SNSで拡散する反発とユーモア
メキシコの市民の間では、SNS上でさまざまな反応が広がっています。名称変更に反対するハッシュタグが広まり、歴史や地理の専門家が解説を投稿する一方で、皮肉混じりのミーム画像や動画で抗議するユーザーも少なくありません。
一方で、「名前が変わっても海は変わらない」として静観する声もあり、世論は一枚岩ではありません。ただ、海の名前をめぐる問題が、国家間の力の差や歴史認識を映し出す鏡のような存在になっていることは、多くの人が意識し始めています。
国際社会はどう受け止めるのか
国際的には、各国や国際機関が独自の地名使用ルールを持っており、今後もGulf of Mexicoという呼称を使い続ける可能性が高いとみられます。海図や国際条約で用いられる名称は、短期間で大きく変わることは少ないためです。
とはいえ、世界最大級の経済・軍事大国であるアメリカが名称変更を打ち出したことは、他国の教科書や地図帳、デジタル地図サービスにも一定の影響を与える可能性があります。今後、どの名称を採用するかをめぐって、出版社やプラットフォームが判断を迫られる場面も出てくるかもしれません。
日本の私たちにとっての意味
地名をめぐる議論は、世界各地で繰り返されてきました。日本でも、海や島の呼び方をめぐる国際的な議論が続いており、「名前」が外交や世論を左右し得ることを実感している人は少なくないでしょう。
今回のメキシコ湾の改名問題は、地理的には遠い出来事に見えるかもしれませんが、言葉や名称が国際関係の微妙なバランスにどのような影響を与えるのかを考えるきっかけになります。地図アプリでその海をどう表示するのか、一人ひとりが意識して選ぶ時代に入っているのかもしれません。
これからの焦点
- メキシコと米国が、名称問題をどのレベルで協議するのか
- 国際機関や他国が、どの名称を公式に採用するのか
- 世論の反発が、貿易や治安協力など実務レベルの関係に波及するのか
2025年も残りわずかとなる中で、象徴的な「海の名前」をめぐるこの動きが、両国関係の長期的な課題として残るのか、それとも一時的な政治的パフォーマンスとして過去のものになるのか。今後の外交交渉と世論の動きを見守る必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








