ドイツ連邦選挙後の新政権はどうなる?メルツ体制と大連立の行方
日曜日に行われたドイツ連邦議会選挙で、保守系のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU/CSU)が第1党となり、そのトップであるフリードリヒ・メルツ氏(69)が次期首相に最も近い存在となりました。今後の連立交渉の行方と、新政権の姿を整理します。
CDU/CSUが第1党に しかし「歴史的勝利」とは言い難い
CDU/CSUは得票率約28.5%で、極右政党とされるドイツのための選択肢(AfD、約20.5%)を抑え、第1党の座を確保しました。投票率は約84%と高く、有権者の関心の高さを示しました。
ただし、この結果はCDU/CSUにとって約80年の歴史の中で2番目に低い水準でもあります。勝利は勝利でも、圧勝とは言えず、単独過半数には遠く及びません。
若者の支持が押し上げたAfDと左派Linke
今回の選挙で大きく得票を伸ばしたのがAfDと、左派政党Linkeです。AfDは前回から約10ポイント伸ばし、Linkeも8%超を獲得しました。両党とも、若い世代からの支持が伸長の原動力となりました。
一方、ドイツの政界では、AfDに対して他の主流政党が連立を組まないという防波堤の原則が続いています。また、左派のLinkeはCDU/CSUとは政策面で親和性が低く、連立相手としては現実的ではありません。
5党入りの連邦議会で最有力は「大連立」
今回の選挙では、議席獲得に必要な得票率5%を超えたのは5党にとどまりました。自由民主党(FDP)は5%に届かず、連邦議会に議席を得られませんでした。ポピュリストとされるザラ・ワーゲンクネヒト連合も、わずかに5%に届かず、議会の外にとどまります。
連邦議会は定数630議席で、過半数には316議席が必要です。この条件の下で、もっとも可能性が高いと見られているのが、CDU/CSUと社会民主党(SPD)による大連立です。
SPDは今回、およそ16.5%まで支持を落としましたが、それでもCDU/CSUにとっては最も現実的な連立パートナーです。両党が組めば、辛うじて過半数に届く小幅な多数派を形成できると見込まれています。これにより、3党連立に伴う追加の緊張や不安定さを避けられる可能性があります。
メルツ体制の政策課題 移民と財政が焦点
移民・難民政策:強硬路線と慎重路線のぶつかり合い
今回の選挙戦で大きな争点となったのが、移民や庇護申請者への対応です。メルツ氏は、国境管理を恒久的に強化し、庇護申請者の受け入れを制限するなど、強硬な方針を掲げています。
これに対しSPDは、こうした措置は現行法の下では実現が難しいと主張し、より柔軟で、状況に応じた対応を求めています。大連立が成立する場合、移民・難民政策は連立協定交渉の中で最も激しい駆け引きが行われる分野の一つとなりそうです。
財政規律か債務緩和か
もう一つの大きな論点が財政政策です。SPDは、ドイツが維持してきた厳格な債務ルールを緩和し、必要な支出を拡大することを求めています。
これに対してCDU/CSUは伝統的に、借金に厳しい立場をとってきました。ただ、メルツ氏自身は選挙戦の過程で一定の柔軟姿勢も示しており、どこまで歩み寄れるかが注目されます。
外交・安全保障では比較的近い立場
一方で、ウクライナ危機、防衛政策、欧州の将来像といった対外問題では、CDU/CSUとSPDの政策は比較的近いとされています。そのため、外交・安全保障は連立交渉の中で合意しやすい分野になり得ます。
同時に、欧州ではアメリカの政策への懸念が強まっています。メルツ氏は選挙後、アメリカに対して厳しい発言も行っており、新政権がどのような対米・対欧関係を築くのかが重要な焦点となります。
緑の党との連立はハードル高く
CDU/CSUにとって、緑の党も理論上は連立相手の一つです。しかし、移民・難民をめぐる立場の違いはSPD以上に大きく、持続可能な連立合意をまとめるのは容易ではありません。
メルツ氏にとって、本来は政策面で自然なパートナーとなり得た自由民主党(FDP)が連邦議会入りを逃したことが、連立の選択肢を大きく狭めています。
いつ新政権が発足するのか
メルツ氏は、来年4月中旬ごろまでに新政権を発足させたい意向を示しています。2025年12月8日現在、これから数カ月にわたり、CDU/CSUと他党との本格的な連立協議が続く見通しです。
それまでの間、オラフ・ショルツ氏は暫定首相として職務を継続します。国内外で課題が山積する中、長期の政治空白を避けたいという思惑からも、メルツ氏としてはできるだけ早く連立合意にこぎ着けたいところです。
私たちにとってのポイント
ドイツの政権の行方は、ヨーロッパや世界の政治・経済にも影響を与えます。特に次のような点は、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。
- ウクライナ危機への対応や欧州の安全保障政策の方向性に影響する
- アメリカの政策をめぐる欧州内の議論で、ドイツがどのような役割を果たすかが変わる
- 財政政策の選択が、欧州経済の安定や成長の見通しに直結する
今後数週間から数カ月にわたり、連立協議の一進一退が続くことになりそうです。CDU/CSUとSPDによる大連立が実現するのか、それとも別の組み合わせが模索されるのか。ドイツ政治の動きは、引き続き注視する価値があります。
Reference(s):
cgtn.com








