ドイツ防衛費拡大案に暗雲 緑の党が合意阻止も示唆 video poster
ドイツ連邦議会は8日、国防費とインフラ投資の大幅増額をめぐる臨時会合を開きました。総選挙で勝利したフリードリヒ・メルツ氏が掲げる借り入れ拡大案に対し、緑の党が強く反発し、合意そのものが頓挫しかねない局面を迎えています。
防衛費とインフラ投資を同時に拡大へ
8日の臨時会合では、ドイツの防衛費とインフラ支出を増やすための特別な予算措置が議題となりました。選挙で勝利したメルツ氏は、老朽化したインフラの近代化と国防の強化の両方に充てるため、政府の借り入れを増やす方針を打ち出しています。
計画では、防衛費を過去最大規模まで引き上げることが想定されており、インフラ投資と合わせて、今後のドイツ経済と安全保障の方向性を左右する大きなパッケージとなります。
憲法に書かれた債務ブレーキが壁に
ただし、この大規模な防衛費拡大には、ドイツの憲法に定められた財政ルールが立ちはだかります。いわゆる債務ブレーキと呼ばれる仕組みは、政府が新たに負担できる借金の額を厳しく制限するものです。
メルツ氏の計画は、防衛費を記録的な水準まで引き上げる代わりに、この債務ブレーキの適用対象から国防支出を外すことを目指しています。そのためには憲法改正が必要で、連邦議会で全体の3分の2以上の賛成を集めなければなりません。
緑の党が合意阻止も示唆
こうした中、環境重視の政党として知られる緑の党は、防衛費拡大のために例外を設けることに強い懸念を示しています。同党は、財政規律を守るためのルールに抜け道をつくるような憲法改正には同意できないとの立場を強めていると伝えられています。
緑の党は、提案されている防衛費拡大の枠組み自体を葬り去る、いわば合意を「撃沈」させる可能性も排除していません。同党が賛成に回らなければ、憲法改正に必要な3分の2の支持を確保するのは一段と難しくなります。
限られた時間と変わる議会構成
メルツ氏は、現連邦議会の任期が終わるまでの残された期間を使い、できるだけ早く合意を取り付けたい考えです。次の連邦議会は、来年3月25日に始まる予定で、その構成は大きく変わるとみられています。
とくに、防衛費増額や憲法改正に反対するポピュリスト系の政党が議席を増やすと予測されており、新しい議会で3分の2の賛成を得るハードルはさらに高くなると見込まれています。こうした事情から、メルツ氏にとって「今の議会で決めること」が極めて重要になっています。
財政規律か安全保障か、問われる優先順位
今回のドイツの議論は、財政規律をどこまで守るのか、安全保障やインフラ投資をどこまで優先するのかという、多くの国が直面するテーマを映しています。
- 防衛費を大きく増やしたいメルツ氏
- 財政規律の緩みを警戒する緑の党
- ポピュリスト勢力の台頭で、今後さらに難しくなる合意形成
どこまで例外を認めるのか、どこまでルールを守るのか。ドイツの選択は、制約の中で安全保障とインフラ投資のバランスをどう取るかを考えるうえで、各国にとっても注目すべき事例になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








