カーニー新首相、トランプ氏の併合要求を一蹴 対米関税を最優先課題に
カナダのマーク・カーニー新首相が就任早々、ドナルド・トランプ米大統領によるカナダ併合の発言を明確に否定し、対米関税問題への対応を政権の最優先課題とする姿勢を打ち出しました。カナダと米国の関係が大きく揺れるなか、その一挙手一投足が世界から注目されています。
カーニー新首相が就任、対米姿勢を鮮明に
カーニー氏はカナダ第24代首相として金曜日に就任し、2015年から政権を担ってきたジャスティン・トルドー氏の後任となりました。就任直後の発言で、トランプ大統領が繰り返してきたカナダ併合の可能性を強く否定しました。
カーニー氏は演説で、カナダはどのような形であれ米国の一部になることは決してないと強調する一方で、将来的にはワシントンと協力し、両国の利益を前進させたいとの期待も示しました。
トランプ政権を「一世代で最大の試練」と位置づけ
今年1月にトランプ氏が政権に復帰して以降、米国はカナダに対する関税を相次いで導入し、事実上の貿易戦争が続いています。トランプ大統領は、カナダが独立を手放して米国の51番目の州になるべきだと主張し、両国を隔てる国境線を無くすべきだと訴えてきました。
こうした動きに対し、オタワは対抗関税で応じ、カナダ国内の世論も強く反発しています。カーニー氏はトランプ政権を、カナダが一世代で直面する最大の外交・経済上の試練だと位置づけ、カナダ製品に対する米国の関税は正当化できないと批判してきました。
- 1月のトランプ政権復帰後、米加間の関税合戦が激化
- 米国側はカナダの51番目の州化や国境線の撤廃に言及
- カナダ政府は報復関税と強い言葉で対抗し、世論も支持
対米関係を担う新内閣の布陣
カーニー氏は就任と同時に24人から成る移行内閣を発表しました。対米関係を担当する主要ポストには経験豊富な顔ぶれが並び、対立が続く米国との関係管理を重視する姿勢がにじみます。
メラニー・ジョリー外相は留任し、対米外交の継続性を確保しました。ドミニク・ルブラン前財務相は、新たに国際貿易相としてカナダと米国の通商問題を統括します。また、フランソワ・フィリップ・シャンパーニュ前イノベーション・科学・産業相は財務相に昇格し、経済と財政運営のかじ取り役を担います。
首相官邸は声明で、この新しい内閣は小所帯で重点を絞り、経験豊富な閣僚と新たな顔ぶれを組み合わせることで、経済と安全保障などカナダ人にとって重要な課題に集中して取り組むと説明しました。
首脳電話協議と早期総選挙の観測
カナダ政府関係者によりますと、今後数日以内にトランプ大統領とカーニー首相の電話協議を設定する方向で調整が進められています。通商問題や関税、さらには併合をめぐる発言が、どのように議題として扱われるのかが注目されます。
自由党の党首選では日曜日の投票でカーニー氏が圧勝し、その後トルドー氏から政権を引き継ぎました。トルドー氏は就任式に先立ち、メアリー・サイモン総督に正式に辞任を提出しています。
カーニー新政権については、議会が約1週間後に再開する予定を前に、早期に総選挙を実施するとの見方が広がっています。カナダ有権者が4月末から5月初めにかけて投票を行う可能性があるとされ、対米関係や関税政策が主要な争点になるとみられます。
日本にとっての意味は
カナダと米国の間で関税が応酬され、同盟国の併合まで話題に上る事態は、世界の通商秩序や同盟関係のあり方を考えるうえで示唆に富む出来事です。日本にとっても、次のような点で無関係ではありません。
- 米国が関税を外交・安全保障と結びつけ、交渉の圧力手段として用いる傾向が一段と鮮明になっている
- 伝統的な同盟関係であっても、政権の性格によってリスクと不確実性が高まる可能性がある
今後は、トランプ・カーニー両首脳の初協議がどのような雰囲気で行われるのか、具体的な関税交渉のロードマップが示されるのか、そしてカーニー氏が早期解散に踏み切るのかが焦点となります。カナダ国民が示す民意は、北米の通商と安全保障の構図に長期的な影響を及ぼすかもしれません。
Reference(s):
Carney rejects Trump's annexation threats, prioritizes U.S. tariffs
cgtn.com








