ウクライナ停戦後を見据える有志連合 米国抜きで進む準備
ウクライナとロシアの停戦案が取り沙汰される中、米国を除く西側諸国が「停戦後」を見据えた安全保障の準備を加速させています。英国のキア・スターマー首相は各国首脳とのオンライン会合を主導し、「有志連合」によるウクライナ支援と停戦の履行確保に向けた議論を進めました。
英主導の「有志連合」、米国抜きで結束確認
スターマー首相は土曜日、記者団に対し、米国以外の同盟国がウクライナ支援と停戦後の安全保障に向けた準備を強化していると説明しました。今週には各国の軍制服組トップらが英国に集まり、「強固で実行力ある計画」を詰める予定だとしています。
首相が主催したオンライン会合には、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、オーストラリアのほか、ウクライナのゼレンスキー大統領やNATO(北大西洋条約機構)の事務総長ら、およそ20超の国や機関のリーダーが参加しました。ただし、米国は参加しませんでした。
スターマー氏は、自らが「coalition of the willing(有志連合)」と呼ぶ枠組みについて、次のような点で意思統一が図られたとしています。
- ロシアとの紛争が続く限り、ウクライナへの軍事支援を継続する
- ロシア経済への制裁を強化し、「プーチン大統領の戦争マシン」を弱体化させる
- トランプ米大統領が推し進める停戦合意がまとまった場合、その履行とウクライナの将来の安全を共同で支える
トランプ大統領の停戦案とロシアの条件
今回の動きの背景には、ドナルド・トランプ米大統領が推し進める停戦案があります。スターマー首相は、オンライン会合の目的について、ロシアのプーチン大統領に停戦案を受け入れさせるための圧力を高めるとともに、合意が成立した際にそれを守らせるための各国のコミットメント(関与)を集めることだと説明しました。
トランプ大統領は、停戦合意を支える主な役割は欧州側が担うべきだとの考えを示しており、ウクライナと欧州の安全保障を「これ以上一方的には支えない」との立場をとっています。この方針が「ショック療法」となり、欧州やその他の西側諸国が自ら負担を引き受けざるを得なくなった、という見方が出ています。
一方、ロシアは停戦案を「原則として歓迎する」としつつも、自国の軍事的な目標をほぼそのまま条件として突きつけているとされます。これにより、実際の停戦合意までの道のりは依然として長い可能性が高いとみられます。
停戦後を見据えた軍事・安全保障の準備
スターマー首相は、「われわれの軍は今週木曜日、英国で会合を開き、和平合意を後押しし、ウクライナの将来の安全を保証するための強固な計画をまとめる」と述べました。停戦が実現した場合を想定し、その直後から機能する安全保障の枠組みを用意しておこうという狙いです。
具体的には、英国とフランスが停戦成立後のウクライナに平和維持部隊を派遣する可能性に言及しているほか、オーストラリアのアルバニージー首相も要請があれば応じる姿勢を示しています。一方で、ロシア側はウクライナ領内への西側部隊の展開を受け入れないと明言しており、平和維持の形をめぐっては難しい調整が続きそうです。
スターマー首相は、「トランプ大統領はプーチン大統領に、持続的な平和への道筋を提示した。今度は我々がそれを現実のものにしなければならない」と強調しました。停戦が成立するかどうかにかかわらず、ウクライナ支援と対ロシア圧力を続けることで、交渉のテーブルに引き出すというのが有志連合側の基本線といえます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回のニュースから、日本の読者にとっても考えておきたい論点がいくつか浮かび上がります。
- 米国頼みからの転換 — 米国を含まない枠組みがウクライナ支援と停戦後の安全保障を議論している点は、欧州が自ら負担を引き受ける方向に舵を切りつつあることを示唆します。
- 「停戦後」を先に設計するアプローチ — まだ合意に至っていない段階から、停戦後の安全保障や平和維持の仕組みを具体的に議論していることは、紛争解決の一つのモデルとして注目できます。
- 平和維持部隊の難しさ — 英仏やオーストラリアが平和維持への関与に前向きである一方、ロシアが西側部隊の駐留を拒んでいることは、停戦合意だけでなく、その「実行の仕方」こそが今後の最大の争点になることを物語っています。
ウクライナ情勢は依然として流動的ですが、すでに各国は「停戦が実現した後の世界」を見据え、誰がどのような形で安全を保障するのかという、新たな駆け引きを始めています。
Reference(s):
UK: 'coalition of willing' boosts preparations for post-truce Ukraine
cgtn.com







