韓国南部で過去最悪級の山火事 24人死亡・2万7千人避難【国際ニュース】
韓国南部で強風にあおられた山火事が相次ぎ、少なくとも24人が死亡、約2万7千人が避難する事態となっています。被害は住宅だけでなく寺院や文化財にも及び、現地では「これまでで最悪級」の危機と受け止められています。
何が起きているのか
韓国南部の各地で、風に乗って広がる大規模な山火事が続いています。現地当局によると、これまでに少なくとも24人が死亡し、26人がけが、そのうち12人が重体とされています。約200棟を超える建物が焼失し、およそ2万7千人の住民が避難を余儀なくされています。
犠牲者の多くは60〜70代の高齢者とされており、避難が難しい人ほど被害を受けやすいという現実が浮き彫りになりました。
- 死者:少なくとも24人
- 負傷者:26人(うち重体12人)
- 焼失した建物:200棟以上
- 避難住民:約2万7千人
- 消火にあたる人員:約4,650人とヘリコプター約130機(現地時間水曜日時点)
出火の経緯と広がる火の手
山火事は、金曜日の午後に慶尚南道の山清(サンチョン)郡で発生し、その後、強く乾いた風にあおられながら慶尚北道の義城(ウィソン)郡へと広がりました。聯合ニュースによれば、火はさらに安東(アンドン)、青松(チョンソン)、英陽(ヨンヤン)、盈徳(ヨンドク)など周辺地域にも延焼しています。
韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理代行はテレビ演説で、この山火事を「これまでで最悪」のレベルだと述べ、「被害が雪だるま式に拡大している」と危機感を示しました。
各地の被害状況——住宅から寺院、世界遺産まで
義城の寺院「孤雲寺」で大きな損失
特に大きな被害を受けた地域の一つが、義城にある寺院・孤雲寺(コウンサ)です。ここでは30棟を超える建物のうち、ほぼ半数が焼失しました。
焼けた建物の中には、韓国の「宝物」に指定されている重要な文化財も含まれます。1668年に築かれた川の上に建つ楼閣形式の建物や、1904年に建てられた朝鮮王朝時代の記念建造物などが火災で失われました。
世界遺産の民俗村にも迫る炎
山火事は、ユネスコ世界遺産にも登録されている安東の河回(ハフェ)民俗村の近くまで迫りました。強風や煙の影響で、近隣の2つの集落では住民に避難指示が出され、住民は体育館などの屋内施設に避難しています。
さらに、韓国を代表する国立公園の一つである智異山(チリサン)でも、登山客に下山を促すなど警戒が続いています。
消火活動——4,600人超が総動員
現地時間の水曜日時点で、消防隊員や軍人など約4,650人が消火活動にあたっています。ヘリコプター約130機も投入され、空からの消火や住民の避難支援が続いています。また、少なくとも4つの大きな山火事が依然として燃え続けているとされています。
しかし、夜間も続く強風が消火活動の妨げとなり、いったん鎮火したとされた火が、乾いた地形と風を受けて再び燃え広がるケースも報告されています。火災現場では、消防隊員らが「終わりの見えない戦い」に直面している状況です。
韓悳洙代行は、木曜日には5〜10ミリ程度のわずかな雨が見込まれているとしつつも、「これまで経験したことのない規模の山火事になる恐れがある」として、週内は総力を挙げた対応を続けると強調しました。
一人の犠牲になったヘリコプター操縦士
消火活動の最前線では、新たな犠牲も出ています。義城での消火作業中、ヘリコプター1機が墜落し、操縦士1人が死亡しました。機体には他に搭乗者はいなかったとされています。
危険な条件下で続く消火活動の過酷さが、改めて突きつけられる出来事となりました。
原因は「人為的ミス」の可能性
韓国山林庁は、国内の山火事警報レベルを全国一律で最高段階に引き上げました。これにより、自治体は非常勤務体制の強化や、山林・公園への立ち入り制限の強化、自衛的な訓練や行事の見直しなどを求められています。また、軍には実弾射撃訓練の自粛を勧告しています。
政府関係者は、いくつかの火災について「人為的なミス」が原因の可能性があるとみています。先祖の墓の周辺で枯れ草を焼いていた際の火の不始末や、溶接作業の火花などが引火した疑いがあるとされています。
自然条件としての強風や乾燥に加え、日常のささいな行為が大規模災害につながり得ることが、今回の山火事で浮き彫りになりました。
高齢化社会と避難——日本にも突きつけられる課題
今回の山火事では、犠牲者の多くが60〜70代の高齢者とされています。避難情報を受け取ってから実際に動き出すまでの時間、移動手段の有無、家族や地域とのつながりなど、さまざまな要因が生死を分けた可能性があります。
高齢化が進む社会では、災害時に「誰が高齢者を支えるのか」「どうやって迅速に避難をサポートするのか」が、ますます重要になります。これは韓国だけでなく、日本を含む多くの国や地域に共通する課題です。
私たちがこのニュースから考えたいこと
韓国南部の山火事は、自然条件と人為的要因が重なったとき、災害がどこまで拡大し得るのかを示しています。同時に、文化財や世界遺産、高齢者を含む地域社会など、「守りたいもの」をどう守るのかという問いも投げかけています。
遠くの国の出来事として眺めるのではなく、身近な山林の管理や、火の扱い、家族との避難の話し合いなど、自分たちの生活に引き寄せて考えることが、次の被害を減らす一歩につながるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








