カナダ・米国の貿易摩擦がハリウッド直撃か 関税強化の波紋 video poster
カナダと米国の貿易摩擦が強まるなか、新たに導入された関税がハリウッドの映画・ドラマ制作にどのような影響を与えるのか、懸念の声が広がっています。新型コロナウイルスからの回復が遅れるなかでの二度の労働ストライキや、ロサンゼルスでの大規模火災に見舞われたハリウッドにとって、さらなる逆風になりかねないためです。
パンデミック、ストライキ、火災…続くハリウッドの試練
ここ数年、ハリウッドの制作現場は経済的な打撃が続いています。新型コロナウイルスの影響で撮影が長期間止まり、観客の戻りも想定より遅いとされています。その後も二度にわたる労働ストライキが起き、作品の企画や撮影スケジュールが大きく乱れました。
さらに、最近のロサンゼルスでの大規模火災は、多くの住民やビジネスに被害を与え、エンターテインメント産業にも影響を及ぼしました。スタジオ周辺のインフラや地域経済が打撃を受けるなかで、制作現場は「これ以上のコスト増に耐えられるのか」という不安を抱えています。
カナダ・米国の貿易摩擦と新たな関税
そうしたなかで、新たに導入された関税が、米国の貿易相手国との関係に緊張を生んでいます。カナダと米国の貿易関係もその一つとされ、両国間の摩擦がハリウッドに波及するとの見方が出ています。
関税は、輸入品やサービスに上乗せされる税金です。映画やドラマの制作では、撮影機材、資材、特殊効果、ポストプロダクション(撮影後の編集・加工)など、多くの工程で国境を越えた取引が行われています。貿易摩擦が深まれば、こうした取引コストが上昇し、制作予算を圧迫する可能性があります。
ハリウッドから現地を取材したエディズ・ティヤンサン記者によると、一部の専門家は「新たな関税は映画産業にとって見えにくい形でコストを押し上げ、企画段階から作品数や規模の見直しを迫るおそれがある」と指摘しています。
制作コストと雇用への不安
制作費の大半は人件費とロケーション費用ですが、そこに関税による追加コストが重なれば、スタジオは次のような選択を迫られかねません。
- ハイリスクなオリジナル作品より、確実に売れる続編やシリーズものを優先する
- 撮影日数やスタッフ数を削減し、低コストで制作する
- 為替や関税の影響が小さい地域へのロケーション変更を検討する
こうした動きが進めば、制作現場の雇用や、地域の中小ビジネスへの発注が減少する懸念があります。特に、スタジオ周辺の飲食業や宿泊業、レンタル会社など、映画産業に支えられてきた企業への影響は小さくありません。
視聴者にも影響は及ぶのか
関税や貿易摩擦は、一見すると視聴者の日常から遠い話に聞こえます。しかし、制作費がかさめば、次のような形で影響が表れる可能性があります。
- 新作公開のペースが落ちる、または配信開始時期が遅れる
- 安全確保の観点から、撮影場所や表現内容が制限される
- 中規模の作品や実験的なプロジェクトが減り、作品の多様性が損なわれる
短期的には、すでに撮影や編集が終わっている作品が公開され続けるため、大きな変化は見えにくいかもしれません。しかし、2025年以降に企画される作品ほど、今回の貿易摩擦やコスト増の影響を受けやすいとみられます。
これからの焦点:貿易協議と産業の持続可能性
現在、業界関係者の関心は大きく三つの点に集まっています。
- カナダと米国を含む貿易相手国との協議が、どの程度早期に落ち着くのか
- 映画・ドラマ産業に対して、どのような支援策や税制上の配慮が検討されるのか
- 制作現場が、サプライチェーンの見直しやデジタル技術の活用でコスト増にどう対応していくのか
ハリウッドはこれまでも、技術革新やビジネスモデルの転換を通じて危機を乗り越えてきました。今回のカナダ・米国間の貿易摩擦と新たな関税も、単なる「映画業界のニュース」ではなく、グローバル経済とカルチャーがどれほど密接につながっているかを示す一つの事例といえます。
2025年の今、視聴者としてできることは限られていますが、作品の背景にあるこうした国際ニュースや経済の動きを知ることで、エンターテインメントをめぐる世界の変化をより立体的に捉えることができます。
Reference(s):
cgtn.com








