イスラエル空爆でハマス報道官死亡 ガザ北部で何が起きたか
イスラエル軍は木曜日、パレスチナ自治区ガザ北部への夜間空爆で、イスラム組織ハマスの報道官アブドル・ラティフ・アル=カヌー氏を殺害したと発表しました。停戦合意の崩壊後、軍事行動と情報戦が絡み合うガザ情勢の一端があらためて浮かび上がっています。
イスラエル軍「主要な扇動役の一人」と説明
イスラエル軍の声明によりますと、アル=カヌー氏はハマスの中で「主要な扇動役の一人」と位置づけられていました。軍は、同氏が各種メディアや通信手段を通じて宣伝活動や心理的な威嚇を行い、ガザ内外でハマスの活動に関する虚偽の情報を広めていたと主張しています。
こうした情報発信の役割を担う人物が標的となったことで、イスラエルが軍事作戦だけでなく、ハマスの広報・宣伝機能を弱体化させることも重視している姿勢がうかがえます。
ジャバリア難民キャンプでテントが空爆
一方、ハマスは、アル=カヌー氏がガザ北部ジャバリアの難民キャンプで、テントが空爆を受けた際に死亡したと発表しました。木曜未明、テントを直撃したミサイルによって命を落としたとしています。
ハマス系のアル・アクサテレビは、ガザの保健当局の情報として、同じ攻撃で複数の人が負傷したと伝えています。攻撃による正確な被害の全容は明らかになっていませんが、市民が多く暮らす難民キャンプが舞台となった点も、緊張の高まりを象徴しています。
ハマスは、報道官の殺害は組織の「抵抗」を一層強めるだけだと強調しており、今後の報復や戦闘の激化が懸念されます。
停戦崩壊後に再燃した軍事行動
イスラエルとハマスの間では、2025年1月19日から停戦合意が続いていましたが、この合意はその後崩壊し、3月18日にイスラエルによる空爆が再開されました。今回の空爆も、この再開後に続く一連の軍事行動の一つとみられます。
停戦の崩壊後、イスラエル軍はガザ南部、北部、中部で地上作戦も開始し、複数の地域で戦闘が続いています。ガザの保健当局によると、この最新のエスカレーションにより、死者はすでに855人を超えているとされています。
- 2025年1月19日 イスラエルとハマスの停戦合意が発効
- 2025年3月18日 停戦崩壊後、イスラエルによる空爆が再開
- その後 ガザ南部・北部・中部で地上作戦が展開
- 死者は855人超に達したとガザの保健当局が発表
「情報」をめぐる攻防が前面に
今回の標的は前線の司令官ではなく、メディアを通じてメッセージを発信してきた報道官でした。これは、ガザをめぐる対立が、戦闘そのものだけでなく、情報発信や世論戦、心理戦といった「情報空間」での争いにも及んでいることを示しています。
軍事力で相手の能力を削ぐだけでなく、誰がどのような物語を世界に届けるのか。その主導権をめぐる争いは、現地の人々の安全だけでなく、国際社会の受け止め方にも影響します。
停戦が崩れた今、ガザでは再び多くの命が失われています。標的型攻撃の連鎖がどこまで続くのか、そして新たな停戦や政治的解決への道筋が見いだされるのか。ガザ情勢は、引き続き国際社会と私たち一人一人の関心が問われるテーマとなっています。
Reference(s):
cgtn.com








