シリア暫定指導部が移行政権を発足 アサド政権崩壊から1年
シリアの首都ダマスカスで、暫定指導者アフマド・アル・シャラー氏が移行政権の発足を発表しました。アサド政権崩壊から1年、この新体制がシリアの政治をどこへ導くのかが注目されています。
何が発表されたのか
暫定指導部のトップであるシリアの指導者アフマド・アル・シャラー氏は、首都ダマスカスで移行政権と位置づけられる新政府の樹立を宣言しました。
この新政府は、シリアに新たな政治の枠組みを築くことを目指してきた暫定当局の取り組みの延長線上にあり、既存の指導部を大きく入れ替えるのではなく、体制を整える方向に重きが置かれています。
主な閣僚人事 誰が何を担うのか
今回の発表では、暫定指導部の中核を担ってきた人物が、正式な閣僚として起用されました。
- アサード・ハッサン・アル・シバニ氏:暫定的に外交当局トップを務めてきた人物で、新政府では外相に任命されました。
- アナス・ハッターブ氏:前情報機関トップであり、新たに内相に就任しました。
- マルハフ・アブ・クスラ氏:暫定政権で国防分野を管轄してきた人物で、新政府では国防相を務めます。
いずれも暫定指導部ですでに重要な役割を果たしてきた顔ぶれであり、新体制は継続性の高い布陣となっています。
新設された省庁 危機対応と若者に焦点
今回の発表では、組織構造の面でも変化がありました。新政府は次の二つの省庁を新設しています。
- 非常事態・災害省:自然災害や人道危機への対応を専門に担う省で、各種の危機に体系的に対処することを目的としています。
- 青年・スポーツ省:若者政策やスポーツ振興を専門に扱う省で、青年層への支援や社会参加の後押しを念頭に置いた組織とみられます。
長年の紛争と危機を経験してきたシリアにとって、災害対応と若者政策を前面に押し出すことは、国内の安定と社会統合を意識したシグナルとも言えます。
アサド政権崩壊から1年の節目
新政府の発足は、シリアの政治転換から一つの節目のタイミングで行われました。
バッシャール・アル・アサド前大統領の政権は、2024年12月8日に崩壊しました。ハイヤット・タハリール・アルシャーム(Hayat Tahrir al-Sham、HTS)とその同盟武装勢力による12日間の攻勢の結果とされています。
きょう2025年12月8日は、その崩壊からちょうど1年にあたります。アサド氏の退陣後、HTSの司令官でもあるアル・シャラー氏が暫定当局を率いてきました。今回の移行政権の発足は、その暫定体制をより明確な政府の形に移行させる試みとも受け止められます。
今後のシリア情勢はどう動くか
新たな移行政権のスタートによって、シリア情勢は次の段階に入りつつあります。ただし、課題は山積しています。
- 武力紛争の影響が続く中での治安維持と統治
- 行政機構の再建と、各地への基本的なサービス提供
- 自然災害や人道危機への機動的で継続的な対応
- 多様な武装勢力や政治勢力との関係調整
アル・シャラー氏が率いる移行政権が、どこまで統治能力と正当性を高められるかは、今後のシリアの安定を左右する大きな要素となります。国際社会もまた、その行方を注視することになりそうです。
紛争後の国家づくりがどのように進むのかは、中東地域だけでなく、国際秩序や人道支援のあり方を考えるうえでも重要なテーマです。シリアの新たな政治プロセスは、その一つの試金石と言えるでしょう。
Reference(s):
Syria's interim leadership announces new 'transitional government'
cgtn.com








