ガザ停戦案受け入れ表明 ハマスとイスラエル、ラファ地上作戦の中で駆け引き
ガザ停戦案で動き ハマスが受け入れ表明、なお続く地上作戦
ガザ地区の停戦をめぐり、ハマスが仲介国から提示された新たな停戦案を受け入れたと明らかにしました。一方でイスラエル側は対案を提示するとともに、南部ラファでの地上作戦を新たに開始・拡大しており、交渉と軍事行動が同時進行する緊張した状況が続いています。
ハマス「停戦案を承認」 武装抵抗は「赤い線」と強調
ハマスのガザ側の幹部ハリル・アルハイヤ氏は声明で、「私たちの人々と家族への責任から、戦争を終わらせることを目指して、すべての提案に責任ある前向きな姿勢で取り組んできた」と述べました。
アルハイヤ氏によると、ハマスは仲介役の「兄弟たち」から2日前に新たな停戦案を受け取り、これに「前向きに応じて承認した」としています。そのうえで、「占領側がこれを妨げたり、仲介者の努力を損なったりしないことを望む」と、イスラエル側をけん制しました。
ただし、声明は武装抵抗の継続を明確に打ち出しています。武装抵抗は「赤い線」であり、イスラエルの占領が続くかぎり、「抵抗の武器」は人々と国家の手に残ると強調しました。また、「人々に屈辱や恥辱を受け入れることはない。追放や国外退去も認めない」と述べ、住民の強制的な移動や排除を拒む姿勢を示しました。
さらにハマスは、他の勢力とともに、エジプトに対してガザ地区を管理する委員会の設立に向けた「独立した専門家や有識者」の名簿を提出したと明らかにしました。停戦と並んで、ガザの行政運営を誰が担うのかという問題も交渉の重要な論点となりつつあります。
イスラエルは新提案に対案 人質解放をめぐる溝
イスラエル側も、ガザ停戦に向けた新たな提案を受け取ったことを確認し、仲介国に対して対案を送ったと発表しました。イスラエル首相府は、この対案は米国と「完全に連携」して作成されたものだと説明しています。
メディア報道によれば、主な争点の一つとなっているのが、人質解放の条件です。イスラエルの国営テレビ、カン・ニュースは、提示された案のもとでは、ハマスが依然拘束している59人のうち「少数」の人質を解放する見返りに、ガザで50日間の停戦が行われるとしていると伝えました。
人質を何人解放し、その対価としてどれだけの停戦期間を設けるのか。このバランスをどう取るかが、交渉の行方を左右する大きな要素となっています。
ラファ・アルジャニナ地区で地上作戦 空爆も継続
停戦へ向けた仲介が続くなか、イスラエル国防軍(IDF)は声明で、ガザ南部ラファのアル・ジャニナ地区で新たな地上作戦を開始したと明らかにしました。IDFは、この作戦は「安全地帯を拡大する」ことを目的としていると説明しています。
IDFは、作戦の過程でハマスの「テロ組織のインフラ」を破壊したと主張しました。また、イスラエルの治安機関シンベトと共同で、ガザ全域にあるハマスやイスラム・ジハードの軍事目標に対する空爆も行い、「数十人」の戦闘員を殺害したとしています。その中には、イスラエル領内に迫撃砲を発射していたとされる戦闘員も含まれると述べています。
交渉と軍事作戦が同時に進む構図は、停戦の実現がなお不透明であることを物語っています。現場の状況が悪化すればするほど、停戦に向けた政治的な決断も一層難しくなりかねません。
1〜3月の停戦は3月18日に事実上終了
イスラエル軍は今年3月18日にガザへの攻撃を再開し、1月19日に始まっていたハマスとの停戦合意は、この時点で事実上終了しました。今回の新たな提案と対案のやり取りは、その後も続いてきた仲介の試みが新たな段階に入ったことを示しています。
短期間の停戦とその間の人質解放、そしてガザの統治をめぐる枠組みづくり――こうしたテーマが複雑に絡み合うなかでの交渉は、一度の合意ですべてを解決するというよりも、段階的に条件を積み上げていくプロセスにならざるをえないようにも見えます。
停戦は実現するのか 読み取れる三つの論点
現時点で、仲介案やイスラエル側の対案の詳細はすべて明らかになっているわけではありません。ただ、今回示された情報からは、少なくとも次の三つの論点が浮かび上がります。
- ハマスが拘束する59人のうち何人を、どの段階で解放するのか
- 人質解放と引き換えに設定される停戦期間をどの程度とするのか
- 停戦中および停戦後のガザを、どのような委員会や勢力が管理するのか
ハマスは停戦案の受け入れを表明しながらも、武装抵抗の継続を「赤い線」と位置づけています。一方のイスラエルは、米国と連携した対案を示しつつ、ラファでの地上作戦や空爆を続けています。このギャップをどう埋めるのかが、今後の最大の焦点です。
停戦案の行方は、人質となっている人々とその家族、そしてガザ全域の住民の日常に直結しています。2025年の今、国際社会には、軍事的な圧力や政治的駆け引きだけでなく、現地の人々の安全と尊厳を守るという視点から、この交渉を見守り続けることが求められています。
Reference(s):
Hamas accepts truce deal as Israel launches Rafah ground offensive
cgtn.com








