フィンランド世論調査:米国の政策転換で安全保障不安が拡大
米国の政策転換を背景に、フィンランド人の多くが自国と欧州の安全保障に不安を抱いていることが、今年3月に実施された世論調査で明らかになりました。本記事では、その調査結果と背景にある米国の動き、そして欧州全体に広がる懸念を整理します。
フィンランド世論調査:3人に2人が不安を表明
フィンランドの21紙が参加する報道コンソーシアム、ウーティススオマライネン(Uutissuomalainen)が、今年3月11日から19日にかけて全国の1000人を対象に世論調査を行いました。その結果、フィンランドや欧州の安全保障をめぐる不安が広がっている実態が浮かび上がりました。
調査では、回答者のうち、フィンランドと欧州の安全保障に対して不安を感じる人が多数を占めました。内訳は、やや不安を感じるが44パーセント、非常に不安を感じるが22パーセントで、合わせて約3分の2に上ります。一方、まったく不安はないと答えた人は5パーセントにとどまりました。
この数字から、米国の動きがフィンランド人の安全保障観に大きく影響していることがうかがえます。
不安の背景:トランプ政権下の米国政策
不安の主な理由として、多くの回答者がドナルド・トランプ米大統領の下での米国の政策転換を挙げています。具体的には、北大西洋条約機構(NATO)への関与が弱まるのではないかという懸念や、関税引き上げを含む通商政策の変化が、欧州の安定に悪影響を与えるのではないかという見方が広がっています。
トゥルク大学の政治学講師ユハ・ヴオリ氏は、NATO加盟によってフィンランドの安全保障は強化されると期待されてきたが、トランプ氏の予測しにくさが世論に明らかに影響していると述べています。
性別と政党支持で分かれる不安の度合い
調査結果は、性別によって不安の感じ方に差があることも示しました。女性の73パーセントが少なくともある程度の不安を表明したのに対し、男性で同様の回答をしたのは59パーセントでした。
また、政党支持別では、フィンズ党(Finns Party)の支持者のわずか半数強が不安を感じるとした一方、左派連合(Left Alliance)の支持者では、およそ4分の3が不安を抱いていると答えました。
同じ安全保障環境に置かれながらも、価値観や政治的立場によって、米国の政策をどう評価するかが分かれている様子がうかがえます。
欧州全体に広がるトランプ政権への警戒
こうした懸念はフィンランドに限られないようです。フィンランド国際問題研究所の上級研究員であるヴィッレ・シンッコネン氏は、欧州各国でも同様の不安が高まっていると指摘しています。
シンッコネン氏によると、世論調査会社ユーガブの調査では、英国の49パーセント、ドイツの48パーセントが、トランプ氏を欧州の安全保障に対する非常に大きな脅威と見なしているといいます。米国の一挙手一投足が、欧州全体の安全保障議論に影響を及ぼしていることが分かります。
フィンランドと欧州に突き付けられる問い
今回のフィンランドの世論調査は、同盟関係や条約だけでは人々の不安を完全には和らげられないという現実を映し出しています。NATOという集団安全保障の枠組みに参加しながらも、米国の政策が変化すれば、安全保障の前提そのものが揺らぎかねないという感覚が広がっているためです。
フィンランドや欧州の政策当局には、米国との同盟や協力関係を維持しつつ、自らの防衛力や外交努力をどう強化していくかが問われています。今回示された不安の高まりは、単なる一時的な感情ではなく、今後の安全保障戦略や対米関係を巡る議論の重要な出発点となりそうです。
Reference(s):
Most Finns concerned about security amid shifting U.S. policies
cgtn.com








