ハンガリーが国際刑事裁判所からの脱退を表明 ネタニヤフ氏訪問直前の決断
ハンガリー政府が国際刑事裁判所(ICC)からの脱退方針を表明しました。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を迎える直前のタイミングでの決断で、国際司法と外交の関係に注目が集まっています。
木曜日に脱退手続きを開始へ
2025年12月上旬、ハンガリー政府は国際刑事裁判所から離脱すると発表しました。オルバン首相の側近であるゲルゲイ・グヤーシュ官房長官が、フェイスブックへの投稿で明らかにしました。
グヤーシュ氏は投稿で、ハンガリーが国際刑事裁判所を退出すると述べ、政府は憲法上および国際法上の枠組みに従い、木曜日に脱退手続きを開始すると説明しました。
ネタニヤフ首相訪問と微妙なタイミング
この発表は、ハンガリーのビクトル・オルバン首相が、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をブダペストで迎える直前に行われました。ネタニヤフ首相については、国際刑事裁判所が逮捕状を発付していると報じられており、その人物を招く側の国が裁判所から脱退を表明した形になります。
国際刑事裁判所の加盟国は、逮捕状の対象者が自国に入国した場合、身柄の拘束や身柄引き渡しへの協力を求められることがあります。今回のハンガリーの決定は、こうした義務との関係でも大きな意味を持つ可能性があります。
国際刑事裁判所とは
国際刑事裁判所は、戦争犯罪やジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪など、最も重大な国際犯罪を裁くために設立された常設の国際裁判所です。オランダ・ハーグに本部を置き、多くの国が条約に加盟しています。
各国の裁判所が十分に機能しない場合に国際社会が補完的に関与するという理念のもと、個人の刑事責任を問う仕組みを担ってきました。今回のように、加盟国の政府高官や現職指導者が逮捕状の対象となるケースもあり、そのたびに政治と司法の線引きが議論になります。
なぜ今、ハンガリーは脱退を選ぶのか
ハンガリー政府の真意は現時点では詳細に語られていませんが、今回の動きからはいくつかのポイントが読み取れます。
- ネタニヤフ首相の訪問と同じタイミングであることから、国際刑事裁判所の判断よりも二国間関係を優先する姿勢の表れと受け止められる可能性があること
- 自国の外交・安全保障政策に対する国際機関からの干渉を抑えたいという思惑があると見る向きも成り立つこと
- 国際刑事裁判所の権限や中立性をめぐる議論が世界的に続く中、その在り方に疑問を投げかける政治的メッセージとなり得ること
ローマ規程と呼ばれる国際刑事裁判所の設立条約では、加盟国が脱退を通告した場合、原則として国連事務総長への通告から1年後に効力が発生するとされています。そのため、今回の表明が直ちにハンガリーの義務をすべて解消するわけではありませんが、今後の捜査協力や逮捕状への対応姿勢には早い段階から影響が出るとみられます。
揺らぐ国際司法と外交のバランス
国際刑事裁判所からの脱退や批判は、これまでも一部の国で見られてきました。背景には、特定の地域や政治勢力に対する捜査が偏っているのではないかという不満や、自国の指導者や軍関係者が訴追されるリスクへの警戒があります。
ハンガリーの今回の決定は、こうした国際司法に対する不信と、特定の同盟関係を優先する外交判断が重なり合った事例として位置づけられそうです。2025年12月現在、国際秩序は安全保障や人道問題をめぐって緊張が高まりやすい状況にあり、国際刑事裁判所のような機関の役割はむしろ重要性を増しています。
一方で、加盟国が政治的な理由から離脱を選択する動きが広がれば、国際刑事裁判所の実効性や正当性が揺らぐおそれもあります。ハンガリーの決断が、他の国々の判断や国際司法の将来像にどのような影響を与えるのか、今後も注視する必要があります。
私たちが注目したいポイント
今回のニュースから、読者が押さえておきたいポイントをあらためて整理します。
- ハンガリー政府が2025年12月上旬、国際刑事裁判所からの脱退方針を表明し、木曜日に正式な手続きを開始するとしていること
- 発表は、国際刑事裁判所が逮捕状を出しているとされるイスラエルのネタニヤフ首相の訪問直前に行われたこと
- 国際刑事裁判所は重大な国際犯罪を裁く常設裁判所であり、その加盟国が離脱を選ぶ動きは国際秩序や法の支配をめぐる議論に直結すること
国際ニュースは一見遠い話に感じられますが、国際司法や戦争犯罪の責任をどう問うのかは、私たちの日常や価値観ともつながるテーマです。今回のハンガリーの決定をきっかけに、国際社会がどのように正義と主権のバランスを取るべきか、考えてみる時間を持ってもよさそうです。
Reference(s):
Hungary says will withdraw from International Criminal Court
cgtn.com








