ブラジル、米国の新関税に対抗法案 トランプ大統領の発表受け video poster
今年4月2日に米国のドナルド・トランプ大統領が発表した新たな関税に対し、ブラジルが対抗措置を可能にする法案の準備を進めています。幅広い輸入品を対象とするこの関税は、ブラジルへの最も厳しい適用は避けられたものの、将来の影響への警戒感が強まっています。
トランプ大統領の新関税 ブラジルは「最悪」を回避
4月2日水曜日、トランプ大統領は新たな包括的関税を発表しました。関税は幅広い国や地域からの輸入品に及ぶとされますが、ブラジルは今回、最も厳しい措置の対象からは外れたと伝えられています。
それでも、ブラジル政府や産業界には、今後の追加措置や、間接的な影響への不安があります。中国の国際メディアCGTNのパウロ・カブラル記者によると、ブラジリアでは、次に備えるための「法的な余地」を確保しようとする動きが加速しています。
議会が主導する「対抗措置法案」とは
ブラジリアの議員たちは、政府が米国の関税に対して報復措置を取れるようにする法案を準備しています。狙いは、政権に次のようなカードを与えることです。
- 米国からの特定品目に対して関税を引き上げる権限
- 交渉の状況に応じて柔軟に発動できる仕組み
- 国内産業を守るための追加的な保護措置
重要なのは、この法案が「今すぐ報復する」という宣言ではなく、「必要になった時にすぐ動けるようにしておくための保険」として設計されている点です。関税による衝撃を最小限に抑えつつ、政治的にも国民に対して「黙ってはいない」という姿勢を示す狙いがあります。
国内向けのメッセージと政権への圧力
ブラジルの議員たちにとって、対抗措置法案は国内向けの政治メッセージでもあります。農業や製造業など、米国市場に依存する産業は少なくありません。議員たちは、地元の有権者や企業に対し、「ブラジルも主張すべきところは主張している」とアピールする必要があります。
同時に、この法案は行政府に対する圧力にもなります。議会が先に枠組みを作ることで、政府に対し、米国との交渉で弱腰にならないよう牽制する効果も期待されています。
米国との関係維持と対抗措置のジレンマ
ブラジルにとって米国は依然として重要な貿易相手であり、投資パートナーでもあります。強硬な報復に踏み切れば、短期的には国内の不満を抑えられても、長期的には貿易と投資の関係に悪影響が出るリスクがあります。
そのため、ブラジルが取ろうとしている戦略は、次の二つの間でバランスを取ることだと言えます。
- 米国に対し、ブラジルも対抗措置を取り得ると示して交渉力を高める
- 一線を越えた「報復合戦」には発展させず、協議の余地を残す
対抗措置法案は、あくまでカードを手元に置きつつ、実際には外交と交渉で解決を探るための道具とも言えます。
広がる通商摩擦 世界経済への波紋
ブラジルと米国の駆け引きは、一国間の問題にとどまりません。包括的な関税は、国際貿易のルールや、多国間の枠組みにも影響を与えます。ある国に例外が認められ、別の国には厳しい措置が課されると、他の国や地域も「自国も守らなければ」という圧力を感じやすくなります。
その結果として、次のような連鎖が生じる可能性があります。
- 各国が防衛的な関税や補助金を導入し、保護主義が強まる
- 企業がサプライチェーンを頻繁に組み替えなければならず、コストが上昇する
- 不確実性の高まりにより、投資や雇用の判断が慎重になる
日本にとっての意味合い
日本は、ブラジルとも米国とも深い経済関係を持つ国です。直接ブラジル向けの輸出が関税の対象にならなくても、世界的な通商摩擦の高まりは、日本企業にとって次のような影響をもたらし得ます。
- ブラジルや米国向けに投資している日本企業の収益や戦略が揺さぶられる
- 一次産品やエネルギー、食料の価格変動を通じて、日本国内の物価にも影響が及ぶ
- 国際ルールに基づく貿易体制の先行きが不透明になり、中長期の計画が立てにくくなる
国際ニュースとしてのブラジルと米国の関税問題は、日本にとっても「遠い国の話」ではなく、サプライチェーンや物価、投資のリスク管理などを考える上で重要な示唆を含んでいます。
今後の注目ポイント
2025年12月時点で、この問題はなお進行中のテーマです。今後、特に次の点が焦点となりそうです。
- ブラジル議会での対抗措置法案の最終的な内容と成立のタイミング
- 米国が関税の適用範囲や例外をどのように運用していくか
- ブラジルと米国の間で進められる実務レベルの協議や妥協点
- 他の新興国や地域が、ブラジルにならって類似の法案や対抗措置を検討するかどうか
関税は一見、数字と税率の問題のように見えますが、その背後には、国家間のパワーバランスや国内政治、そして私たちの日常の物価や雇用まで、さまざまな要素が絡み合っています。ブラジルの動きは、これからの国際通商ルールのあり方を考えるうえで、一つの重要なケーススタディと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








