イラン外相「米国とまだ交渉なし」 核問題巡り間接交渉に含み
イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相が、米国との間でいまだ「いかなる交渉のラウンドも始まっていない」と明かしつつ、核問題を巡る間接交渉には前向きな姿勢を示しました。トランプ米大統領が軍事攻撃も辞さない構えを見せるなか、米イラン関係の行方に改めて注目が集まっています。
イラン外相「これまで交渉は一度も開かれていない」
イラン外務省のセイエド・アッバス・アラグチ外相は日曜日、イラン議会の国家安全保障委員会に出席し、米国との交渉状況について説明しました。イランの公式通信社IRNAによりますと、外相は「これまで米国との間で交渉のラウンドが開かれたことはない」と述べ、現時点で公式な協議は始まっていないと強調しました。
一方でアラグチ外相は、イランとしては間接的な形での交渉には前向きであるとし、第三国や仲介者を通じたやり取りの可能性を示唆しました。直接対話は拒みながらも、外交的なチャンネル自体は閉ざしていないという姿勢です。
「リビア方式」との比較を一蹴
イラン国内では一部で、米国との交渉が進めば、2003年に米国とリビアが合意した枠組みに似た形になるのではないかという見方も出ています。この合意では、リビアが大量破壊兵器の計画を放棄する代わりに、米国との関係正常化などを受け入れたとされています。
しかしアラグチ外相は、こうした見方を強く否定しました。外相は「そのような合意に至ると思っているのなら、よほどの夢を見ている」と述べ、イランが一方的な譲歩を行う可能性を退けました。米国との交渉を検討する余地は残しつつも、リビアのケースを単純に当てはめることには明確に距離を置いた形です。
トランプ米大統領の圧力外交
アラグチ外相の発言の背景には、トランプ米大統領の発言があります。トランプ氏は今年3月30日に行われた米NBCニュースのインタビューで、イランが核計画を巡る交渉を拒み続けるのであれば、イランに対して前例のない軍事攻撃を行う用意があると警告しました。
またトランプ氏は3月上旬、アラブ首長国連邦を通じてイラン指導部に書簡を送ったと明らかにし、テヘランの核活動を巡る直接協議を提案しました。これに対しイラン側はワシントンとの直接交渉を拒否する一方で、間接的な外交には余地を残す姿勢を示していました。
なぜ「間接交渉」なのか
今回、アラグチ外相が改めて「交渉は始まっていない」としつつも、間接交渉を支持すると表明したことで、イラン側は対話のカードを完全には捨てていないことが明らかになりました。
直接交渉を避け、間接交渉を選好する背景には、米国との関係をめぐる国内世論への配慮や、主導権を手放したくないという思惑があると読むことができます。仲介国を挟むことで、メッセージの出し方や歩み寄りのペースを細かく調整できるためです。
一方で、トランプ米大統領は軍事的圧力と対話の呼びかけを同時に行うことで、イランに選択を迫る構図を作ろうとしているといえます。両者の駆け引きが続くなか、いつ・どのような形で間接交渉が具体化するのかが今後の焦点となります。
これからの注目ポイント
現時点で、イランと米国の間で正式な交渉のラウンドは一度も開かれていないとされています。ただし、イランは間接交渉の可能性を明確に残しており、対立と対話の両方のシナリオが並行して進んでいる状況です。
今後、
- アラブ首長国連邦など第三国を通じた間接交渉の枠組みが実際に立ち上がるか
- トランプ米大統領が軍事的な圧力を強めるのか、それとも対話路線を前面に出すのか
- イラン議会や国内世論の議論が、交渉の枠組みや条件にどのような影響を与えるか
といった点が、核問題を巡る米イラン関係を読み解くカギとなりそうです。これからも、両国の発言や仲介役となる第三国の動きが、国際ニュースの重要なテーマであり続けると考えられます。
Reference(s):
Iranian FM says Iran not yet hold any negotiations with U.S.
cgtn.com







