トランプ政権が連邦研究費を凍結 米名門大学で抗議広がる video poster
アメリカのコーネル大学とノースウエスタン大学で、トランプ政権による連邦研究費の支払いが停止され、大学側や学生から強い抗議の声が上がっています。ガザ情勢をめぐる学生デモへの対応として、連邦政府が研究資金をてこに大学に圧力をかけているのではないかという懸念が広がっています。
何が起きているのか:研究費凍結の対象はコーネルとノースウエスタン
報道によると、トランプ政権は複数のアメリカの大学に対し、連邦政府からの研究資金の支払いを停止、もしくは停止をちらつかせる措置を取っています。2025年12月現在、新たにコーネル大学とノースウエスタン大学がその対象となり、両大学は連邦研究費の「一時停止」が確認されたとしています。
この措置は、イスラエルによるガザのパレスチナ人への対応をめぐる学生の抗議行動を背景に取られたものとされ、学生デモやキャンパスでの抗議活動が活発な大学ほど標的になっているとの指摘があります。
背景にあるのはガザ情勢とキャンパス抗議
今回の研究費凍結は、ガザ情勢をめぐるアメリカ国内の分断が大学キャンパスにも波及していることを象徴する事例です。多くの大学では、イスラエルによるガザでの軍事行動やパレスチナ人への対応に抗議する学生デモが続いており、以下のような動きが見られてきました。
- キャンパス内での座り込みや集会、追悼イベント
- 大学に対し、関連企業や団体からの資金提供を見直すよう求める運動
- 教員や研究者による共同声明や公開書簡
これに対し、一部の政治家や支持者は、学生や教員の抗議活動を問題視し、大学側の対応が不十分だと批判してきました。こうした政治的圧力の延長線上で、連邦研究費が「てこ」として使われているとの見方が出ています。
研究費凍結は何を意味するのか
連邦研究費は、理工系だけでなく、医学、社会科学、人文科学など広範な分野の研究を支える重要な財源です。コーネル大学やノースウエスタン大学のような研究大学にとって、連邦政府からの資金は次のような領域に直結します。
- 基礎科学研究(物理学、化学、生物学など)
- 医療・公衆衛生研究
- 気候変動やエネルギー政策に関する研究
- 社会調査や公共政策研究
この資金が一時的にでも止まれば、進行中のプロジェクトが遅延したり、雇用されている若手研究者や大学院生の生活に影響が出たりするおそれがあります。大学側からは、研究そのものが政治的な争点の「人質」にされているとの危機感もにじみます。
大学側と学生の反応:学問の自由をどう守るか
コーネル大学とノースウエスタン大学は、連邦研究費の凍結を認めたうえで、その影響を精査しつつ、連邦当局との協議を続けているとされています。詳細な声明内容は限られていますが、学問の自由と大学の自律性を守る姿勢を強調する動きが広がっています。
学生たちの間では、次のような懸念や声が上がっていると伝えられています。
- 大学の抗議活動に対する「見せしめ」として研究費が使われているのではないか
- 政治的に敏感なテーマを研究することへの萎縮効果が生まれるのではないか
- ガザの状況への関心や連帯の表明が抑え込まれる危険があるのではないか
一方で、大学には安全確保や差別的言動の抑止も求められており、表現の自由とキャンパスの秩序をどう両立させるかという難しい舵取りも続いています。
「資金による圧力」はどこまで許されるのか
今回のように、連邦研究費が学生デモや大学の方針に影響を与える手段として使われることについて、アメリカでは賛否が分かれています。
- 賛成の立場:連邦資金は納税者の資金であり、大学が適切な環境を維持しない場合には見直しも正当だとする見方
- 懸念の立場:資金をてこに意見や抗議活動を抑え込むことは、学問の自由と表現の自由を脅かすとの見方
特に研究費は長期的な科学技術・医療・社会政策の基盤となるため、短期的な政治的対立によって左右されることへの危惧が専門家からも示されています。
日本の読者にとっての意味:キャンパスと政治の距離を考える
日本から見ると、「アメリカの大学の話」として受け止めがちですが、今回の問題は日本の大学や研究機関にとっても他人事ではありません。研究費と政治との関係、大学の自治、学生の抗議活動の位置づけなど、共通するテーマが多く含まれています。
日本の読者にとって、次のような問いを投げかけるニュースでもあります。
- 研究費や補助金は、どこまで政治的判断と切り離されるべきか
- 大学キャンパスは、政治的な議論や抗議をどの程度受け止める場であるべきか
- 国際情勢への関心を表明する学生の行動を、社会はどう見守るべきか
今後の焦点:法的争いと国際的な注目
コーネル大学とノースウエスタン大学での研究費凍結をめぐっては、今後、次のような展開が焦点になるとみられます。
- 大学や研究者団体による法的措置や差し止め請求の可能性
- アメリカ議会での予算審議や監視活動を通じた議論の本格化
- 他の大学への適用拡大や、逆に凍結措置の解除が進むのかどうか
- 国際的な学術ネットワークからの反応や連帯表明
2025年も終わりに近づくなか、アメリカの大学キャンパスは、ガザ情勢をめぐる国際政治と、学問の自由・学生の抗議権という根源的なテーマが交差する場になりつつあります。研究費凍結をめぐる動きは、今後も国際ニュースとして注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Universities protest Trump’s freezing of Federal research funding
cgtn.com








