イスラエル「ガザの3分の1を掌握」 回廊で分断進む中、停戦協議は膠着
イスラエル軍がガザ地区の約3分の1を軍の管理下に置いたと発表し、ガザ南部を分断する回廊の構築を進めています。一方で、停戦協議は続いているものの、決定的な進展は見えていません。
イスラエル軍「ガザの約3割を安全地帯に指定」
イスラエル軍は現地時間の水曜日、ガザ南部に新設した分断線「モラグ回廊」の拡大を進めていると説明しました。発表によれば、ガザ地区全体のおよそ3分の1がイスラエル軍の完全な軍事管理下にある安全区域として指定されたとしています。
軍が公開したインフォグラフィック動画によると、モラグ回廊はラファとハンユニスの間を東西に走り、ラファとハンユニスおよび中部ガザを分断する形になっています。
動画では、ガザ南部最大の都市ハンユニスが、ほとんど倒壊した建物の瓦礫と、わずかながらも大きく損傷した建物だけが残る壊滅的な状態で映し出されていました。
イスラエル軍は声明で、作戦の一環としてガザ各地の主要地域や道路で「完全な作戦上の支配権」を確立したと強調し、ガザ地区のおよそ30%が作戦安全周辺地域として指定されていると述べました。
ネツァリム回廊でガザ中央部も分断
イスラエルは、ガザ中央部にも「ネツァリム回廊」と呼ばれる軍事緩衝地帯を設けています。この回廊は、ガザ市と北部ガザをそれ以外の地域から切り離すことを目的としたものと説明されています。
南部のモラグ回廊と中央部のネツァリム回廊により、ガザ地区は南北方向に複数の区画に分けられつつあり、住民の移動や物資の搬入経路にも影響を及ぼす構造になっています。
人道支援停止と高まる犠牲
イスラエルは3月2日以降、ガザへのすべての人道支援物資の搬入を停止しています。
イスラエルとハマスの間では約2カ月間の停戦が続いていましたが、イスラエル側は3月18日にこの停戦を終了し、ガザへの空爆と地上作戦を再開しました。
その後の攻撃により、これまでに1,652人のパレスチナ人が死亡し、4,391人が負傷したとガザ保健当局は発表しています。戦争が始まった2023年10月以降の累計では、死者は5万1,025人、負傷者は11万6,432人に達しているとされています。
続く停戦協議 人質と撤退をめぐる隔たり
一方で、ガザでの停戦に向けた協議は続いています。イスラエルのネタニヤフ首相は水曜日、ガザでなお拘束されている人質の解放を進めるよう、交渉団に対して協議を継続するよう指示したと首相府が明らかにしました。
首相府によれば、この指示は、交渉チームと治安当局トップが集まり、ガザに依然として拘束されている59人の人質の状況を検討した会合を受けたものです。
しかし、これまでのところ停戦協議に目立った進展はありません。ハマスは武装解除の要求を越えてはならない一線だと繰り返し主張し、恒久的な停戦の条件としてイスラエル軍のガザからの撤退を求めています。
さらにハマスは声明で、戦闘停止の保証、完全撤退、封鎖の解除、復興開始といった実質的な条件を欠く停戦案は「政治的な罠」になると警告しました。
ガザ情勢をめぐる今後の焦点
モラグ回廊やネツァリム回廊によってガザの地形と支配構造が変化するなか、軍事作戦と停戦協議は複雑に絡み合っています。国際ニュースとしても、今後の展開を見極めるうえでいくつかの論点が浮かび上がります。
- ガザ地区のおよそ3分の1が安全地帯として指定された状態がどの程度続くのか。
- 人道支援物資の搬入停止がいつ、どの条件で緩和または解除されるのか。
- 人質解放、ガザからの撤退、人道支援や復興といった要求をどのような枠組みで停戦合意に落とし込めるのか。
- 軍事回廊による分断が、戦闘後のガザの復興や統治のあり方にどのような影響を与えるのか。
戦闘当事者の主張と現地の状況のギャップは大きく、停戦への道筋は見通せません。数字や地図の裏側にある人道的な影響にも目を向けながら、ガザ情勢を中長期的な視点で追い続ける必要があります。
Reference(s):
Israel says it controls third of Gaza as ceasefire talks continue
cgtn.com







