AI生成アートは本当に創造的?スタジオジブリ風画像機能が投げかける問い video poster
生成AIが描く絵は、私たちが言う「創造性」と呼べるのでしょうか。2025年現在、画像生成AIは驚くほど精度を増し、アニメやイラストの世界にも深く入り込んでいます。その一方で、人間のクリエイターの作品やスタイルを土台にしながら、十分な対価が支払われていないのではないかという議論が、世界中で高まっています。
スタジオジブリ風の画像をつくれる新機能が物議
こうした議論を象徴する出来事として、著名なアニメーションスタジオであるスタジオジブリの作風を思わせる画像を、ユーザーが生成できる新機能が登場しました。テキストで指示を入力すると、背景やキャラクターの雰囲気まで、スタジオジブリ作品を連想させるビジュアルが自動で生み出されます。
ファンからは「自分もジブリ風の世界を作れて楽しい」という声が上がる一方で、「スタジオジブリやその作品に関わってきたアニメーターたちの創造性を、AIが無料で利用しているのではないか」という懸念も聞かれます。この問題を、記者のマーク・ニュー氏が現場の声を交えながら伝えています。
AIは本当に「創造」しているのか
そもそも、AI生成アートをどう捉えるかは、「創造性」をどう定義するかに深く関わります。画像生成AIは、膨大な画像データを学習し、その中からパターンや構図を統計的に学び取ります。その上で、与えられた指示に応じて、これまで存在しなかった新しい組み合わせの画像を出力します。
批判的な立場からは、次のような指摘があります。
- AIは過去の作品を分析して組み合わせているだけで、意図や感情を持っているわけではない
- 元になったクリエイターやスタジオが、学習や利用について知らされず、対価も得ていないケースが多い
- 既存の作風に「似せる」ことが、事実上のコピーになっている可能性がある
一方で、肯定的な声もあります。
- AIはあくまで道具であり、それをどう使うかを決めるのは人間である
- 絵を描けない人でも、物語や世界観のアイデアを可視化できることで、新たな創作が生まれる
- 過去の作品を参照しながら新しい表現を作る点では、人間の学び方と大きく変わらないのではないか
このように、AI生成アートが「創造的」かどうかは、技術の問題というより、「創造とは何か」「誰の貢献をどのように評価するか」という価値観の問題になりつつあります。
人間の創造性をどう尊重するか
今回のスタジオジブリ風画像のように、特定のスタジオやアーティストに強く依拠した機能が登場すると、「人間の創作への敬意」と「ビジネスとしてのAI活用」のバランスが、よりシビアに問われます。
批評家やクリエイターたちは、とくに次の点を問題視しています。
- 学習に使われた元画像のクリエイターに、事前の同意や説明があったのか
- AIサービスの提供側が利益を得る一方で、元のクリエイターに収益が還元されているのか
- ユーザーが生成した画像を公開する際、その見た人に「これはAIが作ったもので、特定のスタイルに基づいている」と分かる透明性があるか
生成AIは、国際ニュースでも頻繁に取り上げられるテーマになりましたが、その中心にあるのはテクノロジーではなく、人間の創造性をどう守り育てるかという問いです。
利用者として気をつけたいポイント
では、私たち一人ひとりの利用者は、AI生成アートとどう付き合えばよいのでしょうか。完全な正解はまだ見えませんが、いま意識できるポイントを挙げてみます。
- 特定の現役アーティストやスタジオ名を、そのまま「そっくりに描いて」と指示する使い方を控える
- 仕事で使う場合は、所属先のガイドラインや契約条件を必ず確認する
- SNSなどで公開する際は、AI生成であることや参考にしたスタイルを明記する
- 学習データの扱いやクリエイターへの還元について、サービス提供者の説明を読み、自分の価値観に合うか考える
こうした小さな選択の積み重ねが、生成AIと人間のクリエイターが共存できるルールづくりにつながっていきます。
これからの「共創」に向けて
スタジオジブリ風の画像を生み出す新機能をめぐる議論は、生成AIの創造性だけでなく、「他人の創造性をどう扱うか」という根本的な問いを私たちに投げかけています。2025年の今も、その答えは一つに定まってはいません。
重要なのは、AIを排除するかどうかではなく、人間とAIがどのように役割を分担し、互いの強みを生かしながら、新しい表現を生み出せるかを考えることです。そして、その過程で元になったクリエイターやスタジオへの敬意と、公正な対価の仕組みをどう設計するかが、これからの国際的な議論の焦点になっていくでしょう。
もし自分の描き方や文章が、知らないうちにAIの学習に使われていたとしたら、あなたはどう感じるでしょうか。AI生成アートは本当に創造的なのか。その問いを、自分自身の価値観と照らし合わせながら、日々の情報収集やSNSでの発信の中で考えてみるタイミングが来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com







