イスラエルがガザに200回超空爆 救助隊員15人死亡巡り説明対立
イスラエル軍がガザ地区で3日間に200回以上の空爆を行ったと発表し、同じ日に報道された救助隊員15人死亡事件を巡って、イスラエル軍とガザ側の説明が大きく食い違っていることが改めて浮き彫りになっています。国際ニュースとして、軍事作戦と国際人道法の関係が再び問われています。
3日間で200回超の空爆、その狙い
報道によると、イスラエル軍は月曜日の声明で、過去3日間にガザ地区全域で200回を超える空爆を実施したと明らかにしました。標的は武装勢力の拠点、武装集団、ロケット発射地点や狙撃地点、武器庫、指揮所などと説明されています。
この一連の攻撃で、イスラム聖戦運動(イスラム・ジハード)のメンバーとされるアハマド・マンスール氏が死亡したとイスラエル軍は発表しました。軍は、マンスール氏がハマス主導による2023年10月7日のイスラエル奇襲攻撃に参加し、その後も続く戦闘の中でロケット攻撃を指揮していたと主張しています。
ラファと北部ガザでの地上作戦
イスラエル軍によると、ガザ南部ラファのシャブーラ地区やテル・スルタン地区では、部隊が「テロインフラ」と呼ぶ施設を破壊し、手榴弾や弾薬などの軍事装備の隠し場所を発見したとしています。
また、ラファとハーン・ユーニス、さらにガザ地区の他の地域を分断するように新たに整備された通路「モラグ回廊」沿いでも作戦が行われ、イスラエル軍は武器の発見やハマスのインフラ破壊、複数の武装勢力戦闘員の殺害につながったと説明しました。
ガザ北部では、地下施設があるとされた建物に対する空爆が実施され、周辺で複数の武装勢力メンバーが確認されたとしています。さらに、イスラエル軍の地上部隊を脅かしていたとされるハマスの狙撃拠点も無力化したと発表しました。
一方、パレスチナの通信社WAFAは、月曜日のイスラエルによる攻撃で少なくとも8人が死亡し、数十人が負傷したと伝えています。攻撃対象とされる「武装勢力インフラ」と、実際に被害を受ける人々の姿とのギャップは、ガザ情勢を巡る見方の違いを象徴しています。
救助隊員15人死亡事件 ガザ側は「略式処刑」と非難
同じ日、ガザの民間防衛当局は、ことし3月23日未明に南部ラファ近郊で起きた救助隊員15人の死亡事件について、イスラエル軍が略式処刑を行ったと非難し、軍が発表した内部調査結果を強く退けました。
ガザ民間防衛当局の幹部モハメド・アルムガイル氏は、現場にいた救急隊員が撮影したという映像を根拠に「イスラエル側の説明は虚偽であり、実際には略式処刑が行われたことを示している」と主張。さらに、イスラエルが国際法上の義務を回避しようとしていると訴えました。
この事件は、イスラエル軍がガザでの攻勢を再び強める中で発生しました。ことし3月23日未明、ラファ近郊での救難要請に応じていた救急・救助チームが攻撃を受け、15人が死亡したとされています。
国連人道問題調整事務所(OCHA)やパレスチナ側の救助関係者によると、死亡した15人のうち8人はパレスチナ赤新月社の職員、6人はガザ民間防衛当局の救助隊員、1人はパレスチナ難民支援を行う国連機関UNRWAの職員でした。この出来事は国際社会から強い非難を呼び、国連人権高等弁務官フォルカー・テュルク氏も、戦争犯罪に当たる可能性への懸念を示したと伝えられています。
イスラエル軍の内部調査と赤新月社の反発
この事件を巡り、イスラエル軍は日曜日に内部調査の結果を公表しました。報告書は、救助隊員に対する「処刑」や、無差別な銃撃を行った証拠は見つからなかったと結論づける一方で、作戦上の失敗があったことは認め、現場部隊の指揮官を解任したとしています。
イスラエル軍はまた、死亡した15人のうち6人が武装勢力の戦闘員だったと主張し、当初は9人が戦闘員だとしていた説明を修正しました。
しかし、パレスチナ赤新月社はこの報告を「事実に反する」として強く拒否しました。広報担当のネバル・ファルサフ氏は、軍の報告は「虚偽に満ちており、殺害を正当化し、責任を現場指揮官個人の過ちに転嫁しようとするものだ」と述べ、受け入れられないとの立場を示しました。
戦場の説明を誰がどう検証するのか
今回のニュースは、ガザで続く軍事作戦の激しさだけでなく、戦場で何が起きたのかを誰が、どのように検証するのかという根本的な問いも投げかけています。イスラエル軍は内部調査を通じて自らの行動を検証したと強調する一方、ガザ側の当局や救助組織は、その正当性や独立性に強い疑問を呈しています。
医療従事者や救助隊員は、国際人道法の下で特別に保護されるべき存在と位置付けられています。それにもかかわらず、今回のように救助活動の最中に命を落とす事例が報じられるたびに、現場でその保護がどこまで機能しているのかが問われます。
また、スマートフォンや小型カメラによる映像記録が、各当事者の主張を裏づけたり反証したりする材料として注目されるようになっている点も見逃せません。ガザ側が提示する映像と、イスラエル軍の内部調査との食い違いは、より独立性の高い第三者による検証を求める声につながる可能性があります。
今回のニュースから考えたいポイント
- 軍自身による内部調査は、どこまで信頼を得ることができるのか。
- 医療・救助従事者の保護という国際人道法の原則は、激しい市街戦の中でどこまで守られているのか。
- 動画や現場証言などデジタル証拠は、戦場の説明責任をどう変えていくのか。
ガザ情勢を巡る議論は、地域の安全保障のみならず、国際社会が戦争のルールをどう守り、違反をどう検証するのかという、より普遍的なテーマにも直結しています。今後も国際ニュースとして、この問題を追いかけていく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








