中世ヴェネツィアとトランプの関税戦略を比べる video poster
中世後期のヴェネツィアと現代のアメリカの関税政策を並べてみると、貿易をどう位置づけるかという発想の違いが見えてきます。
交渉のテコとしての関税:トランプ大統領の発想
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、関税を他国との交渉で使うテコとして活用してきた指導者として語られます。輸入品に高い関税をかけると示すことで、相手国に譲歩を迫るスタイルです。
ただし、関税を交渉カードとして使うやり方自体は、現代だけのものではありません。歴史を振り返ると、同じように関税をめぐって駆け引きを行ってきた権力は少なくありません。
地中海を制した中世ヴェネツィアの関税
かつてヴェネツィアは、地中海で大きな影響力を持つ海洋都市でした。地中海貿易を事実上支配し、多くの外国商人がこの港を経由して交易を行っていました。
ヴェネツィアは、こうした外国商人に対して関税や港湾税を課していました。しかし、イタリアの歴史家たちは、この都市国家が関税を扱う際に、現代とは少し違うバランス感覚を持っていたと指摘します。
貿易は都市の富、だから関税は低く
ヴェネツィアのカ・フォスカリ大学の歴史家、ルチャーノ・ペッツォーロ氏は次のように説明します。
「貿易は都市の富と考えられ、関税はその交換を促進するものでなければならなかったのです。だからこそ、ヴェネツィア政府は通常、関税をできるだけ低く保とうとしていました。」
この発想の出発点にあるのは、貿易そのものが都市にもたらす利益を最大化したいという考え方です。関税は財源であると同時に、貿易の流れを細らせてしまう可能性もあるため、慎重に扱われていたといえます。
トランプとヴェネツィア、関税に対する二つの見方
トランプ大統領のアプローチと、中世後期のヴェネツィアの考え方を並べてみると、関税に対するスタンスの違いが浮かび上がります。
- トランプ大統領の関税:主に交渉の圧力をかける手段として利用する
- 中世ヴェネツィアの関税:貿易を促進し、都市全体の富を増やすためにできるだけ低く抑える
どちらも、自国や自都市の利益を守ろうとしている点では共通しています。それでも、関税で何を増やし、何を抑えたいのかという目標の置き方が違うことで、具体的な政策の形は大きく変わります。
2025年の私たちが考えたい問い
2025年の今も、国際ニュースでは関税や貿易をめぐる議論が繰り返し取り上げられています。そのたびに、誰のどのような利益を守るための関税なのかという視点を持てるかどうかが問われています。
中世後期のヴェネツィアは、関税を貿易を促す道具としてできるだけ軽くしようとしました。一方、トランプ大統領は、関税を交渉で主導権を握るための圧力の道具として活用してきました。
私たちがニュースを読むときにも、
- その関税は、交換や貿易を促すためのものか
- それとも、相手に圧力をかけるためのものか
- 結果として、長期的に豊かになるのは誰なのか
といった問いを心に留めておくことで、見えてくる景色が変わってきます。歴史上の都市国家ヴェネツィアと現代のアメリカの例を比べてみることは、今の国際ニュースをより立体的に読み解くためのヒントになるはずです。
Reference(s):
Comparing late-medieval Venice's tariff use to that of Trump
cgtn.com








