CGTN世論調査:米国の関税政策に世界で反発、中国の対抗措置に支持広がる
米新政権の発足からおよそ100日が経過した2025年春、CGTNが世界38カ国で実施した世論調査で、米国の関税をめぐる強硬な政策に対する反発と、中国の対抗措置への支持が広がっていることが示されました。国際貿易のルールをどう守るのかという問いが、いま世界の人々の身近な関心事になりつつあります。
CGTN世論調査の概要
今回の国際ニュースの中心となるのが、CGTN(中国国際テレビ)が中国人民大学の新時代国際伝播研究院と共同で実施した世界世論調査です。
- 実施時期:2025年2月と4月に2回実施(米新政権の発足からおよそ100日間に合わせて実施)
- 調査主体:CGTNと中国人民大学・新時代国際伝播研究院
- 対象:世界38の国と地域の計15,947人
- 先進国と新興国の両方をカバー(米国、英国、フランス、日本、メキシコ、南アフリカ、マレーシアなど)
調査では、米国の関税政策が各国経済や人々の生活にどのような影響を与えていると見られているのか、そして中国の対抗措置を世界の人々がどう評価しているのかが問われました。
米国の関税政策に世界で高まる懸念
調査によると、世界全体で74.2%の回答者が「米国の関税政策は自国の経済発展を深刻に妨げる」と答えました。これは2カ月前の前回調査から16.3ポイントの増加で、短期間で懸念が急速に高まっていることが分かります。
なかでも、次の国々で米国の関税政策に対する否定的な見方が大きく増加しました。
- サウジアラビア、セルビア:否定的評価がそれぞれ28.5ポイント増
- ギリシャ、チリ:26ポイント増
- インドネシア:24ポイント増
- マレーシア、イスラエル、オーストラリア、シンガポール、フィリピン、ナイジェリア、ポルトガル、パキスタン、南アフリカ:いずれも20ポイント以上増加
CGTNは、米国の強硬な関税措置について「tariff bullying(関税いじめ)」という表現も用いており、こうした姿勢が世界での米国のイメージを損ない、反発を招いていると分析しています。
アジア新興国で強まる反発
とりわけ米国の関税や輸出規制の影響を大きく受けているとされるベトナム、フィリピン、タイ、インドネシア、マレーシアの5カ国では、通商政策への警戒感が一段と強まっています。
- 5カ国全体で60.2%が、輸出規制の強化や一方的な制裁は自国の発展に不利だと回答(前回から15.5ポイント増)。
- 69.4%が、海外のテクノロジー企業への投資制限に反対(14.3ポイント増)。
- 61.5%が、輸入やサプライチェーンへの依存を減らそうとする米国の動きは自国にマイナスだと回答(12.3ポイント増)。
サプライチェーン(供給網)や投資環境をめぐる不安が、アジアの製造業やデジタル産業に直結していることがうかがえます。米国の通商政策をめぐる判断が、自国の成長戦略にどのような影響を及ぼすのかを、これらの国々の人々が敏感に意識していると言えそうです。
米国内でも広がる影響への不安
調査は米国内の認識も聞いており、多くの米国の回答者が、関税政策が自らの生活に跳ね返ってくると感じていることが分かりました。
- 53.1%が、報復的な関税政策は株式市場に悪影響を与えると回答。
- 52.0%が、産業用原材料のコスト上昇を懸念。
- 49.4%が、農産物輸出への打撃を心配。
- 48.1%が、家計の負担増につながると回答。
- 43.7%が、年金の減少につながる可能性を懸念。
関税は対外政策の手段として語られがちですが、実際には自国の金融市場や雇用、家計にも影響が波及するという認識が、米国内でも広がっていることが示されています。
中国の対抗措置に世界的な支持
こうした中で、米国の関税に対する中国の対抗措置について、調査は世界的に高い支持が示されたと報告しています。
対象となった38カ国のうち37カ国、割合にして97.4%で、中国の対抗措置を支持する人の方が、反対する人より多い結果となりました。
特に、開発途上国や新興国での支持率が目立ちます。
- ケニア、エジプト、トルコ、ブラジル、ガーナ、カザフスタン、ペルー、ナイジェリア、マレーシア、アラブ首長国連邦、南アフリカ、サウジアラビア、インドネシアでは、支持率がいずれも70%超(ケニアは82.5%)。
- セルビア、ナミビア、メキシコ、チリ、パキスタン、アルゼンチンでは、支持率が60%超。
先進国でも、G7の中で英国が70.5%と最も高く、カナダ69.5%、ドイツ66.0%、フランス65.5%と続きました。米国の関税措置に対し、中国が取る対抗措置を支持する声が、先進国と新興国の双方に広がっていることがうかがえます。
国際貿易秩序とイメージの揺らぎ
CGTNは、米国の関税をめぐる強硬な姿勢が、世界での反米感情を高め、米国の国際的なイメージを損なっていると指摘しています。同時に、多くの国が「国際貿易秩序を守る」という共通の目標を掲げ、中国の対応に一定の正当性を見いだしている、という構図が示されています。
関税や輸出規制は、表面的には二国間の対立のように見えますが、実際には第三国の産業や雇用、消費者価格にも影響が及びます。今回の調査結果からは、こうした波及効果に敏感になっている人々の姿が浮かび上がります。
日本とアジアの読者にとっての意味
日本やアジアの読者にとって、この調査からどのような示唆が読み取れるでしょうか。
- サプライチェーンの再編が進む中で、関税や輸出規制は企業の投資判断や雇用に直結する。
- テクノロジー企業への投資制限は、イノベーションの広がり方や国・地域間の技術格差に影響しうる。
- 関税政策をめぐる大国間の駆け引きは、第三国の経済戦略や外交方針にも影響を与える。
米国の関税政策に対する世界の評価と、中国の対抗措置への支持の広がりは、国際秩序の重心がどこに向かおうとしているのかを考えるうえで、ひとつの重要な材料になります。報復合戦として眺めるのではなく、自分たちの暮らしや仕事にどのようにつながるのかという視点から、今後の動きを追いかけていく必要がありそうです。
Reference(s):
CGTN Poll: Tariff bullying severely damages U.S.'s global image
cgtn.com








