フィリピン中間選挙、マルコスvsドゥテルテの「代理戦」に注目
フィリピンで月曜日に行われた中間選挙で、有権者約6800万人が投票所に向かいました。大統領フェルディナンド・マルコス氏と、かつての「パートナー」だったサラ・ドゥテルテ副大統領の対立が表面化した「代理戦」として、国際ニュースとしても大きな注目を集めています。
マルコス vs ドゥテルテ――中間選挙が映す権力の綱引き
今回の中間選挙では、マルコス大統領とドゥテルテ副大統領本人は候補者として名前は出ていませんが、それぞれが支持する候補者リストのために精力的な選挙運動を展開してきました。かつては協力関係にあった両者が、今や別陣営として対峙している構図です。
選挙では上院議員、下院議員、州知事や市町村長など、1万8000を超える公職が争われています。12人の上院議員、300人超の下院議員に加え、1万7000人以上の地方自治体の首長・議員が新たに選ばれる見通しです。
なぜ今回のフィリピン中間選挙が重要なのか
大統領と副大統領が異なる陣営に分かれる異例の状況
フィリピンの有権者にとって、今回の中間選挙は単なる地方・議会選挙にとどまりません。マルコス大統領とドゥテルテ副大統領という国のトップ2が、それぞれ別の候補者陣営を率いて対決する「勢力図の再編」の場となっているからです。
選挙結果は、どちらの政治的基盤がより強いのか、そして今後のフィリピン政界でどちらの影響力が増すのかを示す「試金石」として受け止められています。
上院選が左右する「ドゥテルテ氏弾劾裁判」の行方
特に注目されているのが、24議席で構成される上院の行方です。今回選ばれる12人の上院議員は、その24議席のちょうど半分を占めることになります。
報道によると、今回選出される12人は、年内に予定されているドゥテルテ氏の弾劾裁判で「陪審」にあたる役割の半数を構成するとされています。どの陣営に近い人物が多く当選するかによって、弾劾手続きの行方やスピード感が大きく変わる可能性があります。
その意味で、この中間選挙は「政権への信任投票」であると同時に、「弾劾裁判の前哨戦」としての性格も持っているといえます。
選挙の規模と有権者の重い一票
フィリピン選挙管理委員会によると、今回の中間選挙で投票資格を持つのは約6800万人。人口の多くを占める若年層も含め、広い世代が政治の方向性を左右することになります。
主な争点となるポストは次の通りです。
- 上院議員:12議席(24議席のうち半数)
- 下院議員:300人超
- 地方ポスト:州知事・市長・町長・地方議員など、合計1万7000以上
投票は午前5時から始まり、午後7時で締め切られます。締め切り後まもなく、非公式の開票速報が伝えられる見通しです。結果は迅速に国内外へ共有されるとみられ、フィリピン政治の今後を占う指標として注目されています。
警戒続く治安当局と選挙暴力
今回のフィリピン中間選挙では、安全確保も大きな課題になっています。フィリピン国家警察(PNP)は5月3日以降、選挙に向けて警戒態勢を続けてきました。フィリピン軍や沿岸警備隊も、投票所の警備や検問所の警戒にあたる即応部隊を待機させています。
しかし、投票開始直後の早朝には、中部のネグロス・オクシデンタル州の投票所近くで銃撃事件が発生し、少なくとも2人が死亡、5人が負傷したと伝えられています。
英字紙フィリピン・スターによると、PNPは今季の選挙に関連して、全国で少なくとも13人の死亡、16人の負傷、35件の事件を確認しているということです。選挙のたびに暴力事件が問題となるフィリピンにとって、今回も例外ではないことが浮き彫りになりました。
フィリピン中間選挙をどう読むか
中間選挙は、多くの国で「現政権への評価」と「次の選挙に向けた勢力図」を同時に映し出す場になります。今回のフィリピン中間選挙も、マルコス大統領とドゥテルテ副大統領それぞれの政治基盤がどこまで広がっているのかを測る重要な機会です。
特に、
- 上院の勢力バランスがドゥテルテ氏の弾劾裁判にどう影響するのか
- 地方選でどの陣営が新たな支持基盤を築くのか
- 選挙暴力を抑えつつ、どこまで公正な選挙運営を確保できるか
といった点が、今後の政治と社会の安定を占ううえで注目されます。
日本や地域への広がりうる影響
フィリピンは東南アジアの重要な国の一つであり、その政治的な安定は、地域の安全保障や経済協力にも影響を与える可能性があります。今回の中間選挙の結果は、同国の外交姿勢や経済政策の方向性にもつながっていくとみられ、日本を含む周辺国にとっても無関係ではありません。
マルコス陣営とドゥテルテ陣営の綱引きがどのような形で決着するのか。その答えは、これから集計される一票一票の中にあります。開票の進展とともに、フィリピン政治の新たな局面が見えてくることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








