トランプ政権がハーバードの留学生受け入れ認可を停止
米国のトランプ政権がハーバード大学の留学生受け入れ認可を取り消し、既に在学する国際学生にも転学か在留資格喪失を迫ると発表しました。世界の名門大学と政権の対立が、留学制度そのものに波紋を広げています。
何が起きたのか:ハーバードの認可取り消し
米国土安全保障省(DHS)は木曜日、ハーバード大学の学生・交流訪問者プログラム(Student and Exchange Visitor Program, SEVP)に基づく認証を取り消したと発表しました。この認証は、大学が新たな国際学生を公式に受け入れるために必要な制度です。
認証取り消しにより、ハーバード大学は今後、新規の留学生を受け入れることができなくなります。DHSはさらに、「既存の外国人学生は転学するか、法的地位を失うことになる」としており、既に在籍している学生も重大な影響を受ける可能性があります。
発表を行ったDHSのKristi Noem長官は声明で、「留学生を受け入れることは権利ではなく特権だ。その特権は、ハーバードが連邦法を繰り返し順守しなかったために取り消された」と述べ、他の大学への「警告」だと強調しました。政権は、ほかの大学に対しても同様の措置を検討しているとしています。
ハーバード大学は「違法で有害」と反発
これに対し、ハーバード大学は声明を発表し、政権の決定は「違法であり、有害だ」と批判しました。声明は、国際学生や研究者について「ハーバード、そしてこの国を計り知れないほど豊かにしてきた存在だ」とし、その受け入れを維持する決意を示しました。
大学側は、「コミュニティの構成員に向けた具体的な指針と支援策の検討を急いでいる」としつつ、「この報復的な措置は、ハーバードのコミュニティと米国に深刻な損害をもたらし、大学の教育・研究の使命を損なう」と懸念を表明しました。
背景:トランプ政権とハーバードの対立
今回の決定の背景には、トランプ政権とハーバード大学の間で続いてきた数カ月にわたる対立があります。政権側はハーバードに対し、キャンパスのプログラム運営、方針、人事、入学選考のプロセスなどを見直すよう圧力をかけてきました。
トランプ政権は、ハーバードを含む大学に対し、反ユダヤ主義(ユダヤ人への差別や憎悪)への厳しい対策を求める一方で、いわゆる多様性・公平性・インクルージョン(DEI)に関する取り組みの一部を「人種差別的な慣行だ」と批判し、その排除を迫っています。
4月には政権高官がハーバードに書簡を送り、「意味のあるガバナンス改革と再編」を要求し、応じなければ連邦資金の削減もあり得ると警告しました。これに対しハーバードは要求を拒否し、Alan M. Garber学長が「大学の独立性や憲法上の権利を交渉の対象にはしない」として、法的代理人を通じて政権側に伝えたとしています。
留学生と他大学への影響は
今回の措置により、ハーバードに在籍する留学生は、短期間で進路の再検討を迫られることになります。転学先を探すのか、それとも在留資格喪失のリスクを負うのかという厳しい選択を迫られ、不安が広がっているとみられます。
また、政権が「ほかの大学にも同様の措置を検討している」としていることから、米国内の他の名門大学や研究機関も、留学生受け入れ制度やキャンパス運営の在り方について圧力を受ける可能性があります。留学生をめぐる政策が、大学の自治や学問の自由とどのように折り合いをつけていくのかが、今後の大きな焦点になりそうです。
「国際教育」の意味が問われる局面
ハーバード大学は、国際色豊かな学生・研究者コミュニティを持つことで知られてきました。今回の認可取り消しは、単に一つの大学の問題にとどまらず、米国の高等教育が担ってきた「世界の人材を受け入れる場」としての役割そのものを問い直す動きとも受け取れます。
留学を考える学生や、海外大学と連携する日本の教育機関にとっても、今回の事態は無関係ではありません。安全で予見可能な制度のもとで学びたいという学生のニーズと、政治的な思惑や安全保障上の懸念とのバランスをどう取るのか。ハーバードとトランプ政権の対立は、国際教育のあり方をめぐるより広い議論の起点になりそうです。
Reference(s):
Trump cracks down on Harvard, international students in limbo
cgtn.com








