水不足に揺れるボゴタ 都市拡大と湿地保全のせめぎ合い video poster
ボゴタの湿地が問い直す「水と都市」の関係
コロンビアの首都ボゴタは、この1年にわたり給水制限を経験しました。市当局は、2033年以降の水資源をどう確保するかという大きな課題に直面しているとしています。その一方で、この都市はもともと湿地の上に築かれ、今も湿地に囲まれた場所にあります。急速な都市拡大の中で、この湿地をどう守るかが、水不足対策と結びついた重要なテーマになっています。
都市を支える「見えないインフラ」湿地とは
ボゴタを取り巻く湿地は、単なる自然の残りかすではなく、水を蓄え、ゆっくりと放出する自然の貯水池として機能します。また、水質を浄化し、多様な生き物のすみかにもなっています。こうした機能は、ダムや配水管のような人工のインフラに匹敵する、いわば自然のインフラだといえます。
しかし都市開発が進むと、湿地はしばしば「空き地」や「開発余地」とみなされがちです。短期的には住宅や道路をつくることができますが、長期的には、水をため、都市を冷やし、洪水を和らげる力を失うことにつながります。
給水制限が浮き彫りにしたリスク
ボゴタで続いた1年間の給水制限は、市民の生活に直結するかたちで水資源の脆弱さを示しました。行政は水源の多様化やダム管理など、2033年以降の水の安定供給に向けて複数の課題を抱えているとしています。
そうした中で、都市のすぐ足元にある湿地をどう扱うかは、単なる自然保護ではなく、水安全保障の問題でもあります。湿地が失われれば、雨が少ない年に水不足が深刻化しやすくなり、逆に大雨の際には洪水リスクが高まる可能性があります。
都市拡大と湿地保全のせめぎ合い
現在、ボゴタでは急速な都市拡大が続いており、住宅地や商業施設、交通インフラの整備が進行しています。そうしたプロジェクトは、湿地の近くや内部にまで広がることもあり、もろい生態系に圧力をかけています。
環境活動家たちは、この脆弱な湿地を守ろうと、市の計画に対して意見を述べたり、保全の必要性を市民に訴えたりと、さまざまな形で動いています。彼らは、短期的な開発の利益を優先すれば、将来の水不足や災害リスクの増大という、より大きなコストを払うことになると警鐘を鳴らしています。
2033年以降に向けて問われる選択
ボゴタが2033年以降も安定した水を確保していくためには、次のような視点が重要になりそうです。
- 都市計画の中に湿地保全をきちんと位置づける
- 給水制限の経験を踏まえ、市民とともに節水と水の再利用を進める
- 湿地の役割や価値について、学校教育や地域の対話を通じて理解を深める
- 気候変動による降水パターンの変化を前提に、長期的な水資源戦略を組み立てる
これらはどれも、行政だけでなく、市民や企業、地域コミュニティが関わることで初めて実現していくものです。
ボゴタから見える、世界の都市へのメッセージ
ボゴタの湿地をめぐる議論は、世界の多くの都市にとっても他人事ではありません。湿地や川沿いに広がった都市は少なくなく、開発と自然保全のせめぎ合いは共通の課題です。
水不足や気候変動への適応策を考えるとき、私たちはつい、新しいダムや配水システムなど「ハード」な対策に目を向けがちです。しかし、足元の湿地や森林などの自然環境を守ることも、同じくらい重要な「水インフラ」になり得ます。
1年間の給水制限を経験したボゴタの選択は、今後の国際ニュースとしても、都市と自然の関係をどう再設計していくのかを考える手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








