第2回ASEAN・GCC首脳会議、域際連携とレジリエンス強化へ前進
クアラルンプールで開催された第2回ASEAN・GCC首脳会議で、ASEANと湾岸協力会議(GCC)の首脳らが、経済の不確実性や地政学的な緊張が高まるなかでのレジリエンス(回復力)強化と、域際連携の拡大を前面に押し出しました。
複雑さを増す世界で「安定のアンカー」に
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、会議の開会あいさつで、ASEANとGCCの協力の重要性がかつてないほど高まっていると強調しました。世界経済の不確実性や地政学的な課題が重なるなかで、両地域は安定のアンカー(いかり)であり、将来の成長エンジンになるだけの力と責任を持つという認識です。
アンワル首相は、政治・安全保障、経済、社会文化という三つの柱で、両地域の協力はこの2年で急速に進展してきたものの、新たな国際情勢に対応するには一層の強化が必要だと指摘しました。そのうえで、共有するビジョンを具体的で影響力のある協力へと落とし込むことが欠かせないと呼びかけました。
リヤドからクアラルンプールへ:枠組み作りから実行フェーズへ
ASEANとGCCは、2023年にサウジアラビアの首都リヤドで初の首脳会議を開き、パートナーシップを格上げする共同声明を採択しました。このとき、2024〜2028年を対象とするASEAN-GCC Framework of Cooperation(協力枠組み)が歓迎され、今後の協力分野と具体的な取り組みの方向性が示されました。
協力枠組みには、次のような重点分野が盛り込まれています。
- 食料安全保障
- 再生可能エネルギー
- イノベーション(技術革新)
- 気候変動への適応
- テロリズムと暴力的過激主義への対策
今回の第2回首脳会議は、この枠組みで合意した方向性を、どこまで実行に移せるかが問われる場になっています。
急伸するASEAN・GCC間の貿易と投資
GCC議長国を務めるクウェートのサバーハ・ハーリド・アッサバーハ皇太子は、両地域が持つ地理的・人口的・戦略的な強みを挙げ、「加速する世界経済の変化の中で、重要な役割を担うことができる」と述べました。
皇太子によると、GCCは2023年、ASEANにとって第7位の貿易相手となり、貿易総額は1307億ドルに達しました。両地域は今後、貿易額を約30%拡大し、2032年には1800億ドル規模とすることを目指しています。
皇太子はまた、双方の投資ポテンシャルは非常に大きいとしたうえで、次のような分野での連携強化の必要性を強調しました。
- 経済・貿易・投資分野の協力
- 技術分野での協力
- 自由貿易協定(FTA)交渉の前進
- 地域のサプライチェーン(供給網)の強化
特に、現在進行中のASEAN・GCC間のFTA交渉については、投資機会をさらに広げ、地域の供給網を支えるうえで追い風になるとの期待が示されました。
レジリエンス構築のキーワード:食料、エネルギー、気候
Framework of Cooperation(2024〜2028)が掲げるテーマは、いずれも両地域のレジリエンスを高めるうえで核心的な分野です。食料やエネルギーの安定確保、気候変動への適応力の強化は、経済と安全保障の両面に直結します。
例えば、食料安全保障では、農業技術や供給網の多様化、緊急時の相互支援体制などが想定されます。再生可能エネルギーやイノベーションの分野では、新しい技術やビジネスモデルを共有し、気候変動対策と成長戦略を両立させる試みが期待されます。
また、テロリズムや暴力的過激主義への対策は、治安のみならず、人の移動やビジネス環境にも影響するテーマです。情報共有や能力構築など、ソフト面での協力も重要になっていきます。
米国の貿易関税への向き合い方:ASEANの「足並み」をそろえる動き
同じ日に行われた記者会見で、アンワル首相は、東南アジア諸国が米国の貿易関税への対応について共通理解に達したと明らかにしました。
首脳らは、いかなる決定も他国の犠牲のうえに成り立つべきではないとし、ワシントンとの二国間の貿易交渉を進める際にも、他のASEANパートナーに悪影響を与えないよう配慮することで一致しました。
これは、対米関係をめぐって各国が個別に動きがちな中でも、ASEANとして一定の足並みをそろえ、域内の結束を維持しようとする姿勢を示したものといえます。
これから何が問われるのか
第2回ASEAN・GCC首脳会議は、2023年のリヤドでの初会合で形作られた枠組みを、どこまで実のある協力へと深められるかが焦点となりました。貿易額や投資の拡大目標が示された一方で、食料やエネルギー、気候、安全保障といった分野で、具体的なプロジェクトや連携の形がどこまで見えてくるかが今後の注目点です。
経済の不確実性と地政学的なリスクが重なる2025年以降、ASEANとGCCが本当に「安定のアンカー」となれるのか。今回の首脳会議は、その試金石の一つとなりそうです。
Reference(s):
2nd ASEAN-GCC Summit boosts inter-regional ties, resilience building
cgtn.com








