米連邦裁判所がトランプ大統領の「解放の日」関税を差し止め
米国の連邦裁判所が、ドナルド・トランプ大統領による新たな「解放の日」関税の発動を差し止めました。通商政策と憲法の権限分担が正面から争われた今回の判断は、今後の米国の関税政策と国際経済に大きな影響を与えそうです。
トランプ大統領の「解放の日」関税とは
今回差し止めの対象となったのは、米国に対して輸出超過、つまり米国より多くの商品を売っている国からの輸入品に、一律で追加関税を課す「解放の日」関税です。対象国ごとではなく、条件に当てはまる国すべてに一律で関税を上乗せする構想でした。
マンハッタンの国際貿易裁判所が差し止め
判断を下したのは、ニューヨーク・マンハッタンに拠点を置く米国国際貿易裁判所です。同裁判所は、水曜日に出した決定の中で、憲法は他国との通商を規制する権限を米議会に専属的に与えており、大統領が緊急権限を理由にその枠を超えることはできないと指摘しました。
裁判所が示したポイント
- 外国との通商を規律する一次的な権限は議会にある
- 大統領の経済緊急権限は、その議会権限を上書きするものではない
- 輸入全般に一律関税を課す今回の措置は、その範囲を超えている可能性が高い
訴えたのは中小の輸入企業
この訴訟を起こしたのは、超党派の非営利団体リバティ・ジャスティス・センターと、それに支援された米国内の中小企業5社です。いずれも今回の関税の対象となる国から商品を輸入しています。
企業の中には、ニューヨークでワインやスピリッツ(蒸留酒)を輸入する会社や、バージニア州に拠点を置き教育用キットや楽器を製造する会社などが含まれています。これらの企業は、追加関税が課されれば仕入れコストが上昇し、価格競争力が落ちて事業継続が難しくなると訴えていました。
広がる訴訟、少なくとも7件に
今回の訴訟は、トランプ大統領の関税政策に対する最初の本格的な法廷闘争とされていますが、これだけではありません。判決によると、この訴訟以外にも13の州政府や他の中小企業グループなどが提起した訴訟を含め、少なくとも7件の裁判が進行中です。
関税は大企業だけでなく、輸入品を扱う小規模な事業者にも直接影響します。価格転嫁が難しい中小企業ほど打撃が大きく、今回の決定はそうした企業にとって一つの「防波堤」となった形です。
米国の通商政策と権力分立へのインパクト
今回の差し止め決定は、米国の通商政策だけでなく、行政と立法の権限分担という、より根本的な問題にも光を当てています。大統領が経済的な非常事態を理由にどこまで踏み込んだ関税措置を取れるのか、その線引きが改めて問われることになりました。
トランプ政権側が上級審に不服を申し立てる可能性もあり、最終的にはより高い裁判所での判断が必要になるかもしれません。いずれにせよ、大統領の裁量と議会の権限のバランスをめぐる今回の争いは、米国の通商ルールの行方を左右する重要な前例になりそうです。
日本や世界のビジネスへの意味
米国の関税政策は、日本を含む世界中の企業や投資家にとって無視できない要素です。輸出超過国を広く対象にした一律関税が本格的に導入されれば、サプライチェーンや価格設定に大きな見直しが迫られる可能性があります。
今回の裁判所の判断は、大統領の関税権限に一定の歯止めをかけた形であり、米国との貿易に依存する企業にとっては先行きの不確実性をやや和らげる材料とも受け取れます。一方で、関税をめぐる政治的・司法的な綱引きは続く公算が高く、日系企業を含む各国企業にとっては、今後も米国の動向を注意深くフォローする必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








